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第八章 ダンジョンに種付けおじさん ~特別の損害~

プロローグ 種付け

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「ドルップが失敗したそうやの?」

 薄暗い密室の机にレッジョの地図を広げ、
 リラックスして椅子に座った男が、
 物憂げそうに問いただす。

「はい。勝手に植物ゾンビなる
 モンスターを大量に作り、
 レッジョの緑化を目論んだそうです」

 男の部下と思しき影が、
 淡々と状況を報告する。

「ふう、ま~ったく。
 何の相談もせんと
 勝手に突っ走りおって」

 そう言うと退屈した様に、
 男は欠伸をする。

「緑地化っちゅうモンは、
 もっと時間をかけじっくりと機を
 窺わねばならんねんで。
 洗練されてへんちゅうこっちゃ」

「そのようで」

「まぁええ、次の策はわしみずから、
 仕込んだろやないかい」

 能書きはここまでと、
 男が椅子から立ち上がる。

「総帥自ら、となりますと?」

「わしがやる事と言ったら
 そら決まっとるやろ。
 種付けやで」

 レッジョの地図を見ながら、
 男がじっとりとした目線で笑う。
 部屋を出る男の背後の壁を、
 ろうそくの炎が怪しく照らし出す。
 壁にはある文言が刻まれていた。

「レッジョに新生なる緑ノーヴォヴェルデを」

 しかしてその心に、
 貪欲なる野心を抱くなり。
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