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   許可は出ている②

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「獣人が人間の・・・花を迎えることになった理由は知っているか?」
 唐突に始まった彼の話に、正直落ち着かないが、諦めて向き合うことにする。
「はい、アティーネに聞きました」
「そうか。獣人同士の繁殖率は年々減少している。けれど、人間の女となら、繁殖率はぐっと上がる。そこで、獣人は・・・・アウロの女を花として迎え入れることにしたのだ」
 マティアスの表情は硬い。
 言いにくそうに、眉間に眉を寄せて、世奈から視線を外した。

「本来、花は・・・女性優位とは名ばかりで、こちらが求めれば拒否出来ず、希望した獣人の元に送られる」
 それはあの日、目の前で見た光景を思えば納得できることで。泣き叫ぶ娘たちは数人係で支えられ、扉の向こうへ消えていった。アティーネも、彼女達には拒否権はないのだと、述べていた。

「けれど、白い花は違った。白い花は花が希望し了承した場合のみ、見合いは成立し、相手に引き合わされるそうだ」
 アティーネは確かに世奈に誰が良いか、聞いてくれた。だから世奈は答えた。自分を求めてくれている人がいるなら、嫁に行くと。それが自分の選択肢で、求めてくれる相手がいるのなら、誰でもいい、誰でも一緒だろうとは思っていた。だから、目の前に、彼が現れた時、嬉しかった。
 誰でもいいと、言いながら、結局目で追っていたのは彼だったから。

 だから、その彼が自分を望み、花として迎え入れられたのだと思っていた。けれど、マティアスの話を聞くと、どうやら違うようだった。

 今更何を確認するの。
 彼は自身が花を望んだわけじゃなかった。だから、花は必要なかったんだと、押し付けられただけだったんだと、言いたいのだろうか。

「では、マティアス様は私を希望していた・・・わけでは・・・ないのですね・・・」
 落胆に声のトーンが落ちる。

「いいや・・・俺は自分が望んだから、花が宛がわれたのだとずっと信じて疑わなかった」
 マティアスの言葉に、彼に多少でも望まていたことが解り、ホッとして、顔をあげると、目の前に彼の顔があった。

「俺は仕事上、過去に送られてきた花を知っている。と、言っても花の末路だったが。彼女たちの末路は、決して幸せなものとは言えるようなものじゃなかった。
 獣人だって心がある。人間に対して敵対心を持っていない種族だっている。彼らの殆どは歴史の中で人と寄り添い生活してきた。だからこそ、人を大事にしたいという、気持ちをもった獣人だっていた。けれど、人間は、誰も獣人を獣人の個を見ようとしない。泣いて叫び、そして精神を病んで、壊れていく。どれほど大事に扱い、友愛を示そうと、信愛を示そうと、ね」
 マティアスはその時の花や獣人の事を思い出したのか、酷く苦痛に満ちた目をした。
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