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 私は、これまでの本来、自分の功績になるはずだったものを確認した。
 今更、これを全て私がしたものだなんて言っても信じてもらえないだろうから、そんなことは言わない。

 ただ、それを自信に、私は一切姉に加担しないように、キャシーが結婚したことを理由に、キャシーと仕事を分けてもらうように両親に提案した。

 表面は、キャシーを気遣ってのものだ。我ながら良いアイディアである。


 少しして、すぐにその成果は現れた。

 これまでなんでも私に押し付けて、私のやったことを横取りしてきた姉は、こちらが引くくらいに無能だったのだ。


「キャシー、一体どうなっているんだ。お前は、結婚して、頭が花畑になってしまったの
か!?」

 日に日に両親の怒鳴り声や悲痛の叫びが屋式内を飛び交うようになった。
 けれど、だからといって公爵家の外部からの信頼を落とすようなことにはならなかった。

 なぜなら、こここそが私の出番だからだ。

 私は内心ほくそ笑みながら姉の尻拭いをした。

 当然ながら、みるみるうちに両親の目は私に向き、外からの信頼もキャシーから私に向くようになった。


 そしてとうとうキャシーは、両親から無能認定されたのだ。


「キャシー。お前に全てを相続させるつもりでいたが、考えなおすことにする」


 そして、両親が秘密裏に調査させた結果、これまでの姉の怠惰まで証明されてしまったのだ。

 これにより、晴れて私が公爵家の跡継ぎとして指名される決定的な理由ができたのだ。


「そんな……っ」


 悔しげに歯を食いしばるキャシー。
 自業自得だ。
 ちなみに彼女の旦那のエリックは、まだキャシーが相続権を失ってしまったことを知らない。

 プライドの高いキャシーが、自らそのことをエリックに言えるはずがないからだ。
 そんなエリックは、今や、一日中キャシーの金で商店で遊び呆けているらしいと、風の噂で聞いている。
 もちろん、キャシーはそんなことは知らないだろう。

 私に惨めな思いをさせた二人にトドメを刺せるのも時間の問題だろう。


 一方で、私はある出逢いを果たしていた。

「カレン、俺と結婚してほしい」

「え……!?」

 同じく公爵家の騎士団長のトナーに告白されたのだ。トナーは、実は幼なじみ。
 最近になって、婚約者と破局してしまったらしいトナーと再会して、瞬く間に告白された。

 トナーは、私の初恋の人だ。
 婚約者がいることや、私自身にも家が決めた婚約者がいたことから諦めていたが、こんなチャンスが巡ってくるとは思わなかった。
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