4 / 4
4
しおりを挟む
山から下りて、まずひとつ願う。
みんなの誤解が解けるように。
半信半疑であったが、それからすぐして王宮の者が私を見つけ出し、私は王宮へ帰ることになった。
本当だったんだ……。
ずっと願いを叶えてくれるというのは山に住む神だと思い込んでいたが、あの山にすんでいたのは神ではなく精霊だったんだ。
これでフィリップのやつを凝らしめてやる!!
フィリップに普通に罰をくわえるのじゃつまらない。
私は目が覚めたら極上の美女になっていることを願いながらこの夜は眠りについたのだった。
翌朝、私の姿はこの世のものとは思えない美しい姿になっていた。
だからといって、みんな新しい私をちゃんと私と認識してくれている。
これでフィリップをギャフンと言わせてやるのだ。
早速フィリップの元へ向かおうとしたとき、王宮から出るなり、フィリップと出くわした。
「マリー! 僕は本当に愛すべき人は実はきみだったんだと気づいたよ」
は?
フィリップが面食いなのは知っていたが、さすがに呆れを通り越す。
どうやら美女になっただけでなく、すでに私が美女だということが周囲に認知されているようだ。
フィリップの後ろには、いましがたフラれたのであろう哀れな恋人が立っている。
少し前までは、私は今のあの恋人と同じ立場だったのだろう。
そのときから決してフィリップのことなど愛していなかったが。
「お言葉だけどフィリップ、あなたに婚約破棄されて、私は気が変わったの」
そして、私は最後の願いを心の中で唱えた。
すると向こうの方から、立派な格好をした王子がこちらに歩いてくる。
誰もが振り返るような整った容姿をもった王子は、私のところに来ると膝まずいた。
「マリー! 私と結婚してくれ!」
「はい、喜んで」
王子の手を取ると、優しく抱き寄せられる。
そして、王子はフィリップの姿を見るなり顔色を変えた。
「お前は、マリーに濡れ衣を着せて婚約破棄したくせに、新たな公爵令嬢との婚約も破棄した。公爵令嬢は、私の大切な友人の妹だというのに。マリーも大切な友人の妹も傷つけて赦せない」
「王子、そんな、僕はマリーではなくそこの彼女のことは大切にするつもりです」
「嘘をつくな! 先程のマリーとの話も聞いていたぞ。みんな、このフィリップを凝らしめてやれ!」
王子と一緒にいた家来がフィリップを囲むと、フィリップを連れ去ってしまう。
しっかりと反省するがいい、フィリップ。
私は新たな幸せを噛み締めながら、フィリップへの復讐に成功したことに、にこやかな笑みを浮かべたのだった。
おしまい
みんなの誤解が解けるように。
半信半疑であったが、それからすぐして王宮の者が私を見つけ出し、私は王宮へ帰ることになった。
本当だったんだ……。
ずっと願いを叶えてくれるというのは山に住む神だと思い込んでいたが、あの山にすんでいたのは神ではなく精霊だったんだ。
これでフィリップのやつを凝らしめてやる!!
フィリップに普通に罰をくわえるのじゃつまらない。
私は目が覚めたら極上の美女になっていることを願いながらこの夜は眠りについたのだった。
翌朝、私の姿はこの世のものとは思えない美しい姿になっていた。
だからといって、みんな新しい私をちゃんと私と認識してくれている。
これでフィリップをギャフンと言わせてやるのだ。
早速フィリップの元へ向かおうとしたとき、王宮から出るなり、フィリップと出くわした。
「マリー! 僕は本当に愛すべき人は実はきみだったんだと気づいたよ」
は?
フィリップが面食いなのは知っていたが、さすがに呆れを通り越す。
どうやら美女になっただけでなく、すでに私が美女だということが周囲に認知されているようだ。
フィリップの後ろには、いましがたフラれたのであろう哀れな恋人が立っている。
少し前までは、私は今のあの恋人と同じ立場だったのだろう。
そのときから決してフィリップのことなど愛していなかったが。
「お言葉だけどフィリップ、あなたに婚約破棄されて、私は気が変わったの」
そして、私は最後の願いを心の中で唱えた。
すると向こうの方から、立派な格好をした王子がこちらに歩いてくる。
誰もが振り返るような整った容姿をもった王子は、私のところに来ると膝まずいた。
「マリー! 私と結婚してくれ!」
「はい、喜んで」
王子の手を取ると、優しく抱き寄せられる。
そして、王子はフィリップの姿を見るなり顔色を変えた。
「お前は、マリーに濡れ衣を着せて婚約破棄したくせに、新たな公爵令嬢との婚約も破棄した。公爵令嬢は、私の大切な友人の妹だというのに。マリーも大切な友人の妹も傷つけて赦せない」
「王子、そんな、僕はマリーではなくそこの彼女のことは大切にするつもりです」
「嘘をつくな! 先程のマリーとの話も聞いていたぞ。みんな、このフィリップを凝らしめてやれ!」
王子と一緒にいた家来がフィリップを囲むと、フィリップを連れ去ってしまう。
しっかりと反省するがいい、フィリップ。
私は新たな幸せを噛み締めながら、フィリップへの復讐に成功したことに、にこやかな笑みを浮かべたのだった。
おしまい
0
お気に入りに追加
86
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
いまさら「愛してる」と言われて信じるとでも?
水垣するめ
恋愛
主人公の伯爵令嬢マリル・ホストンは伯爵家のロイス・フォードと婚約していた。
ロイスとは三年前に婚約して、長らく手紙でのやり取りを行ってきた。
ロイスは手紙では「愛してる」とか「どんなに離れていても君のことを想っているよ」と情熱的に口説いてきていたので、マリルは嫁ぐのを楽しみにしていた。
そして遂に結婚式を挙げる一ヶ月前となり、マリルはフォード家の屋敷へと移動してきた。
これからの生活に期待を膨らませながらマリン応接室へと案内されたが、案内されている間妙に違和感を感じた。
しかし気のせいだろうと思い直し、外の風に当たりにいくと、門の前で婚約者のロイスが見知らぬ女性が抱き合っているところを発見してしまう……。
そして軒並み発覚する浮気の事実。
あまりにも酷いロイスの仕打ちに、マリルは呆れ返り、婚約を破棄することを決意する。
妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
婚約者の手作りスイーツに「何これ、ごみ?」とか言うなんて……どうかしていますよ!? さすがに酷すぎません!?
四季
恋愛
婚約者の手作りスイーツに「何これ、ごみ?」とか言うなんて……どうかしていますよ!?
婚約破棄されました。あとは知りません
天羽 尤
恋愛
聖ラクレット皇国は1000年の建国の時を迎えていた。
皇国はユーロ教という宗教を国教としており、ユーロ教は魔力含有量を特に秀でた者を巫女として、唯一神であるユーロの従者として大切に扱っていた。
聖ラクレット王国 第一子 クズレットは婚約発表の席でとんでもない事を告げたのだった。
「ラクレット王国 王太子 クズレットの名の下に 巫女:アコク レイン を国外追放とし、婚約を破棄する」
その時…
----------------------
初めての婚約破棄ざまぁものです。
---------------------------
お気に入り登録200突破ありがとうございます。
-------------------------------
【著作者:天羽尤】【無断転載禁止】【以下のサイトでのみ掲載を認めます。これ以外は無断転載です〔小説家になろう/カクヨム/アルファポリス/マグネット〕】
夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。
光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。
最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。
たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。
地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。
天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね――――
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
天才少女は旅に出る~婚約破棄されて、色々と面倒そうなので逃げることにします~
キョウキョウ
恋愛
ユリアンカは第一王子アーベルトに婚約破棄を告げられた。理由はイジメを行ったから。
事実を確認するためにユリアンカは質問を繰り返すが、イジメられたと証言するニアミーナの言葉だけ信じるアーベルト。
イジメは事実だとして、ユリアンカは捕まりそうになる
どうやら、問答無用で処刑するつもりのようだ。
当然、ユリアンカは逃げ出す。そして彼女は、急いで創造主のもとへ向かった。
どうやら私は、婚約破棄を告げられたらしい。しかも、婚約相手の愛人をイジメていたそうだ。
そんな嘘で貶めようとしてくる彼ら。
報告を聞いた私は、王国から出ていくことに決めた。
こんな時のために用意しておいた天空の楽園を動かして、好き勝手に生きる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
二回目にわけて送ると言ったのですが、自分で内容を忘れてしまい送れなくなりますた。
大変、申し訳ございません_(._.)_
コハク様
感想をありがとうございます。
詳しく教えてくださりありがとうございます。
まだまだ勉強中のため助かります。
もう少し身分とか場所とか詳しく調べてみようと思います。
丁寧な解説をありがとうございました!