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 山から下りて、まずひとつ願う。

 みんなの誤解が解けるように。

 半信半疑であったが、それからすぐして王宮の者が私を見つけ出し、私は王宮へ帰ることになった。

 本当だったんだ……。


 ずっと願いを叶えてくれるというのは山に住む神だと思い込んでいたが、あの山にすんでいたのは神ではなく精霊だったんだ。


 これでフィリップのやつを凝らしめてやる!!


 フィリップに普通に罰をくわえるのじゃつまらない。

 私は目が覚めたら極上の美女になっていることを願いながらこの夜は眠りについたのだった。





 翌朝、私の姿はこの世のものとは思えない美しい姿になっていた。

 だからといって、みんな新しい私をちゃんと私と認識してくれている。

 これでフィリップをギャフンと言わせてやるのだ。


 早速フィリップの元へ向かおうとしたとき、王宮から出るなり、フィリップと出くわした。


「マリー! 僕は本当に愛すべき人は実はきみだったんだと気づいたよ」

 は?

 フィリップが面食いなのは知っていたが、さすがに呆れを通り越す。

 どうやら美女になっただけでなく、すでに私が美女だということが周囲に認知されているようだ。

 フィリップの後ろには、いましがたフラれたのであろう哀れな恋人が立っている。

 少し前までは、私は今のあの恋人と同じ立場だったのだろう。

 そのときから決してフィリップのことなど愛していなかったが。


「お言葉だけどフィリップ、あなたに婚約破棄されて、私は気が変わったの」


 そして、私は最後の願いを心の中で唱えた。

 すると向こうの方から、立派な格好をした王子がこちらに歩いてくる。

 誰もが振り返るような整った容姿をもった王子は、私のところに来ると膝まずいた。


「マリー! 私と結婚してくれ!」

「はい、喜んで」


 王子の手を取ると、優しく抱き寄せられる。

 そして、王子はフィリップの姿を見るなり顔色を変えた。


「お前は、マリーに濡れ衣を着せて婚約破棄したくせに、新たな公爵令嬢との婚約も破棄した。公爵令嬢は、私の大切な友人の妹だというのに。マリーも大切な友人の妹も傷つけて赦せない」

「王子、そんな、僕はマリーではなくそこの彼女のことは大切にするつもりです」

「嘘をつくな! 先程のマリーとの話も聞いていたぞ。みんな、このフィリップを凝らしめてやれ!」

 王子と一緒にいた家来がフィリップを囲むと、フィリップを連れ去ってしまう。

 しっかりと反省するがいい、フィリップ。

 私は新たな幸せを噛み締めながら、フィリップへの復讐に成功したことに、にこやかな笑みを浮かべたのだった。



 おしまい
 
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みんなの感想(2件)

コハク
2020.12.30 コハク

二回目にわけて送ると言ったのですが、自分で内容を忘れてしまい送れなくなりますた。

大変、申し訳ございません_(._.)_

解除
コハク
2020.12.16 コハク
ネタバレ含む
香取鞠里
2020.12.18 香取鞠里

コハク様

感想をありがとうございます。
詳しく教えてくださりありがとうございます。
まだまだ勉強中のため助かります。
もう少し身分とか場所とか詳しく調べてみようと思います。
丁寧な解説をありがとうございました!

解除

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