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6.突然の襲撃

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「何事だ!」

 真っ先に騒ぎの中心になっている現場に駆けつけたルキが叫ぶ。


「アラウエラのやつらだよ! おかげで市場はめちゃくちゃだ、兄ちゃんたち」


 そこに子どもを抱える男性が、ルキに向かって告げる。

 アラウエラは、隣国ではあるが、最近国同士の意見が合わず対立傾向にあった。

 戦争になるというほどではないとは聞いていたが、一部のよく思わない隣国の国民がデモを起こしていると聞く。

 遠目で見る限り、そのデモ隊のようにも見えるが、まさか隣国まで攻めてくるなんて……。

 そうしているうちに、子どもを抱えた男性はその場を去る。

 私とルキは一直線に暴動の起こった中心部へ駆ける。


 逃げゆく人の波を駆け抜けて、視界が開けた瞬間見えたのは、敵国アラウエラの騎士団と民間人だった。


「侵入者を捕えろ!」


 私たちが騒ぎを聞きつけて駆けつけたように、私の父親の率いる騎士団はすでに駆けつけて戦闘に加わっていた。

 さすがだ。

 日に日に騎士に対する思いが膨らむのと同時に、私も頑張りたいと思う。

 足を引っ張らないか心配ではあるが、最近はそういったマイナスな気持ちよりもやってみたい気持ちのほうが勝る。


 私が剣を抜いて暴動の中に立ち向かおうとしたとき、ルキが口を開いた。


「イルアはここにいろ!」

「ちょ! どうしてよ!」

「どうしてって、危ないからに決まってるだろ!」

「危ないって……。でも、いっぱい訓練してきたのに……」

 ここで見てるだけだなんて、私は何のために訓練してきたのかわからないじゃない!


「確かにイルアはいっぱい訓練を積んできて実力を上げているが、まだ一人前に戦うには不十分だ」

「そんなの、やってみないとわからないじゃない!!」


 もう、出来損ないだなんて言わせない。

 世の中を見返してやるんだから!!


「イルア!!」

「ルキや騎士団の足は引っ張らないから! それに、ルキの今日まで指導してくれたことは嘘をつかないと思う。私はここで見学なんて嫌!」


 時間がないのもあるのだろう。
 ルキは少し困ったように、ため息を落とすと、力強い笑みを浮かべた。


「わかった。そのかわり、無茶はするな。危険だと思ったら自分だけでも逃げろ!」

「……はい!」


 その言葉にルキは私の意思を尊重してくれたということがわかり、私は力強く返事をした。


 剣をぶつけ合うことを繰り返し、日が暮れるまでにはアラウエラの人たちは全員捕らえられ、収容所へ送り込まれた。

 私たちは、何とか自国を守りきったのだ。


「ルキ、戦力にくわわってくれて助かった。イルアもよくやった」


 騎士団長である父親は大活躍していたルキに感謝の言葉を伝えるのと同時に、私にもあたたかい笑みをくれる。


「ありがとうございます!」


 こうして無事に敵国アラウエラの突然の襲撃は見事に終焉を迎えた。
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