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第一章 姫城主
五
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深夜、誾千代は闇の中で、目を見開いた。
何が、自分を目覚めさせたのだろう?
誾千代は、布団の中で凝然と身を固まらせ、静かに息を吸い込んだ。
ざわざわと、遠くの部屋で就寝している、立花城の誰かの眠りが、誾千代の神経を刺激している。
眠りの中での想念は、輪郭がはっきりとしない、ぼんやりとした光景で、誾千代は一人一人の区別がつきにくかった。
目覚めている時の、人の想念は、かなり特徴が把握できる。だが、眠りの中では、水中で目を見開いたようで、物の形もはっきりとは判別できない。
あちこちに誾千代は、心の触手を伸ばしてみて、急にぎくりと立ち止まるように、一箇所に神経を集中させた。
見知らぬ誰かが、この部屋に潜んでいる!
それは、確信だった。
むっくりと、誾千代は上掛けを跳ね除け、上体を起き上がらせた。
「誰じゃ?」
誾千代は掠れ声で、闇に声を掛けた。声を震わせぬよう、と腹に力を込めたが、その努力は甲斐がなかったようだ。
目の前は真の闇だが、障子の辺りは、ほんのりと明るく、灰色に切り取られている。誾千代の記憶が確かなら、今夜は満月のはずだ。
そろそろと、手探りで、誾千代は寝具から抜け出し、障子に近づいた。
さっと障子を開け放つと、室内に青白い、月の光が差し込んできた。
月の光で、部屋の隅に、蹲る影を認めた。
「誰じゃっ?」
今度は、誾千代は、はっきりと高い声で誰何できた。目に、相手の姿を認め、俄かに女城主としての気概が湧き上がった。
「立花城主の、誾千代様で御座いますな?」
蹲る人影が、静かな口調で話し掛けた。声には微塵も動揺はなく、口調は平静だった。まるで、時候の挨拶をしているような、声調子だった。
誾千代はしっかりと、頷いた。
「左様。妾が誾千代である! かく申す、其方は何者なのじゃ? 賊か、それとも、妾を害する不埒者であるか?」
問い詰めながら、誾千代はなぜか、相手の心に、自分に対する害意が、欠片も存在しない感触を得ていた。少なくとも、自分は安全だ、と対話の間、感じていた。
目が闇に慣れて、ようやく物の形を把握できるようになった。薄闇の中で蹲る人影も、誾千代は見分けがついた。
どうやら、若い男のようだ。
身体つきはほっそりとして、手足が長く、全身を忍び装束で包んでいる。顔は頭巾で隠し、目だけが闇の中に光っていた。
「拙者は、姫君を害するような者では御座いませぬ。単なる通りすがりで……」
今度は、相手の口調に、面白がっているような調子が含まれていた。誾千代は声を高めて身を乗り出した。
「ほう、通りすがりか! その縁もゆかりもないただの通りすがりが、わざわざ、妾の寝所に忍び込んだとは、胡乱ではないか?」
誾千代はなぜか、激しく興味をそそられていた。
家臣でもない他人と話すのは、誾千代にとって初めての経験だった。本来なら、大声を上げ、宿番侍を呼び寄せるべきだが、誾千代はこの貴重な時間を、逃したくないという欲望に駆られていた。
「筑前に、女城主が御座ると噂で聞き申して、その尊顔を拝そうと参り申した。さすが聞きしに勝る美貌に、拙者、感服いたしました」
誾千代は「ふん!」と顎をつん、と上げて見せた。
相手の言葉に、空々しいお世辞が含まれていたので、腹が立った。誾千代にとって、相手の感情は手に取るように判る。
「其方は素破、乱破の類であろう。それとも、偸盗を生業とする者であるか? ここには、盗賊が狙うような珍宝は、一切ないぞ!」
喋りながら、誾千代は縁側に移動した。相手に視線を当てつつ、月の光の下に立った。
「そこでは其方の顔が見づらい。妾に、顔を見せてたもれ」
「拙者の顔、で御座るか? 何ゆえに」
誾千代は高々と命令した。
「すでに其方は、妾の顔を盗み見ているであろう! 妾が其方の顔を知らぬのは、不公平というもの!」
「なるほど、理屈で御座るな」
するりと、蹲る人影が立ち上がった。足音もなく、人影は縁側に移動した。顔を覆う頭巾を後ろに引っ張り、相手は素顔を月光に晒した。
意外と整った顔立ちだと、誾千代は評価した。身体つきと同じく、細長い顎をして、尖った鼻先と、大きな口許が印象的だ。眉は太く、両目がひどく大きい。大きな口許には、常に微笑が漂っているようだった。
「御満足で?」
男の問い掛けに、誾千代はさらに命令を下した。
「名を名乗ってたもれ! 其方が盗賊でもなく、妾に何らの害意もないと主張するならば、名前を名乗っても構わぬではないか?」
「佐田彦四郎と申す。誾千代殿には、このたびの御婚約、お祝い申し上げまする」
彦四郎と名乗った男は、気取った様子で、片手を前に出して、頭を下げた。
「なぜ、妾の寝所に忍び入った?」
誾千代は間髪を入れず、問い詰めた。
「ただの、興味本位。拙者は、気の向くまま、風の吹くまま、あちらこちらを、飛び回って御座る。ただ、それだけで……」
「嘘じゃ!」
誾千代は改めて、彦四郎という男に、興味を募らせた。なぜなら彦四郎の想念に、厳しい顔つきの、領主らしき男が浮かんでいたからだった。
誾千代は反射的に、彦四郎はこの領主に雇われているのではないかと、推理した。
「誰に雇われている?」
彦四郎の想念に、丸に十字の紋所が浮かんでいた。誾千代は頷いた。
「そうか、薩摩か……。薩摩の島津が、其方を差し向けたのじゃな?」
彦四郎は表情を変えなかったが、心は激しく動揺している。誾千代には、丸判りだ。思いもかけない勝利感に、誾千代は笑い声を上げていた。
「そうか、先般、島津は龍造寺やら、我が主君、大友宗麟殿に対し、ちょっかいを出し始めておると聞く。立花城の城主が、何も知らぬ小娘と聞いて、攻め滅ぼす良い時節だと、考え始めておるのじゃな。じゃが、生憎じゃが、妾は何も知らぬ箱入り娘ではない! 島津に申し伝えよ。妾は戦の時が来たれば、先頭に立って、戦うとな!」
ふうう……と、彦四郎は低く、息を吐き出した。
「なるほど……。確かに拙者が睨んだとおり、誾千代姫は、他人の心が読み取れる力が、御座るな……。島津の名を暴いたのは、姫が拙者の心を読み取ったので御座ろう……」
今度は、誾千代が驚愕に打たれる番だった。
「なぜそれを! 其方は妾の力を、なぜ知っておるのじゃ?」
ふっと、彦四郎の片頬に、笑いが浮かんだ。
「姫の力は〝サトリ〟の力。なぜ拙者が、姫の能力を言い当てたか。それは、姫と同じ力を持つ人物を知っておるからで御座る」
誾千代は反射的に問い掛けた。
「そ、それは何者じゃ? どこの、誰が妾と同じ人間なのじゃ?」
彦四郎の心を読もうとしたが、何も読み取れなかった。彦四郎は誾千代に対し、心を閉ざしていた。
このような技を、誾千代は初めて体験した。今まで沢山の人々の心を読み取ってきたが、誾千代に対し、心に蓋ができる相手は、存在しなかった。
ふらり、と彦四郎は後ろに下がった。
「誾千代姫は、賢い御方で御座る。しかし、聡いといっても、まだ広い世間を知らぬ。世の中には、様々な人間が御座る」
彦四郎は言い聞かせるように誾千代に話し掛けながら、後ろに下がっていった。
するすると彦四郎が遠ざかり、誾千代は思わず、歩を進めて手を伸ばした。
「待って! 教えて! 妾と同じ力を持つ人の名前を教えてたも!」
「健やかにお過ごしなされ……」
「彦四郎──っ!」
ふわりと、彦四郎は、闇に溶け込んだ。誾千代に気配も悟らせず、彦四郎の姿は、目の前から消えていた。鮮やかな、忍びの技であった。
どたどたと、複数の足音が、誾千代の周囲に近づいてきた。
最後に誾千代が大声を上げたので、さすがに宿番の家来たちが聴きつけたのだろう。
「姫! 何事です?」
手に手に、松明を掲げ、周囲の闇を払っていた。俄かに明かりを受け、誾千代は不機嫌になっていた。
「何でもない! 皆、下がれ!」
「姫……」
「下がれと申したぞ! 妾の命令に、逆らうと申すか?」
「いえ、そのような……」
家来たちは渋々、引き下がった。
ようやく静かになった縁側に立ち、誾千代はいつまでも、満月を見上げていた。
何が、自分を目覚めさせたのだろう?
誾千代は、布団の中で凝然と身を固まらせ、静かに息を吸い込んだ。
ざわざわと、遠くの部屋で就寝している、立花城の誰かの眠りが、誾千代の神経を刺激している。
眠りの中での想念は、輪郭がはっきりとしない、ぼんやりとした光景で、誾千代は一人一人の区別がつきにくかった。
目覚めている時の、人の想念は、かなり特徴が把握できる。だが、眠りの中では、水中で目を見開いたようで、物の形もはっきりとは判別できない。
あちこちに誾千代は、心の触手を伸ばしてみて、急にぎくりと立ち止まるように、一箇所に神経を集中させた。
見知らぬ誰かが、この部屋に潜んでいる!
それは、確信だった。
むっくりと、誾千代は上掛けを跳ね除け、上体を起き上がらせた。
「誰じゃ?」
誾千代は掠れ声で、闇に声を掛けた。声を震わせぬよう、と腹に力を込めたが、その努力は甲斐がなかったようだ。
目の前は真の闇だが、障子の辺りは、ほんのりと明るく、灰色に切り取られている。誾千代の記憶が確かなら、今夜は満月のはずだ。
そろそろと、手探りで、誾千代は寝具から抜け出し、障子に近づいた。
さっと障子を開け放つと、室内に青白い、月の光が差し込んできた。
月の光で、部屋の隅に、蹲る影を認めた。
「誰じゃっ?」
今度は、誾千代は、はっきりと高い声で誰何できた。目に、相手の姿を認め、俄かに女城主としての気概が湧き上がった。
「立花城主の、誾千代様で御座いますな?」
蹲る人影が、静かな口調で話し掛けた。声には微塵も動揺はなく、口調は平静だった。まるで、時候の挨拶をしているような、声調子だった。
誾千代はしっかりと、頷いた。
「左様。妾が誾千代である! かく申す、其方は何者なのじゃ? 賊か、それとも、妾を害する不埒者であるか?」
問い詰めながら、誾千代はなぜか、相手の心に、自分に対する害意が、欠片も存在しない感触を得ていた。少なくとも、自分は安全だ、と対話の間、感じていた。
目が闇に慣れて、ようやく物の形を把握できるようになった。薄闇の中で蹲る人影も、誾千代は見分けがついた。
どうやら、若い男のようだ。
身体つきはほっそりとして、手足が長く、全身を忍び装束で包んでいる。顔は頭巾で隠し、目だけが闇の中に光っていた。
「拙者は、姫君を害するような者では御座いませぬ。単なる通りすがりで……」
今度は、相手の口調に、面白がっているような調子が含まれていた。誾千代は声を高めて身を乗り出した。
「ほう、通りすがりか! その縁もゆかりもないただの通りすがりが、わざわざ、妾の寝所に忍び込んだとは、胡乱ではないか?」
誾千代はなぜか、激しく興味をそそられていた。
家臣でもない他人と話すのは、誾千代にとって初めての経験だった。本来なら、大声を上げ、宿番侍を呼び寄せるべきだが、誾千代はこの貴重な時間を、逃したくないという欲望に駆られていた。
「筑前に、女城主が御座ると噂で聞き申して、その尊顔を拝そうと参り申した。さすが聞きしに勝る美貌に、拙者、感服いたしました」
誾千代は「ふん!」と顎をつん、と上げて見せた。
相手の言葉に、空々しいお世辞が含まれていたので、腹が立った。誾千代にとって、相手の感情は手に取るように判る。
「其方は素破、乱破の類であろう。それとも、偸盗を生業とする者であるか? ここには、盗賊が狙うような珍宝は、一切ないぞ!」
喋りながら、誾千代は縁側に移動した。相手に視線を当てつつ、月の光の下に立った。
「そこでは其方の顔が見づらい。妾に、顔を見せてたもれ」
「拙者の顔、で御座るか? 何ゆえに」
誾千代は高々と命令した。
「すでに其方は、妾の顔を盗み見ているであろう! 妾が其方の顔を知らぬのは、不公平というもの!」
「なるほど、理屈で御座るな」
するりと、蹲る人影が立ち上がった。足音もなく、人影は縁側に移動した。顔を覆う頭巾を後ろに引っ張り、相手は素顔を月光に晒した。
意外と整った顔立ちだと、誾千代は評価した。身体つきと同じく、細長い顎をして、尖った鼻先と、大きな口許が印象的だ。眉は太く、両目がひどく大きい。大きな口許には、常に微笑が漂っているようだった。
「御満足で?」
男の問い掛けに、誾千代はさらに命令を下した。
「名を名乗ってたもれ! 其方が盗賊でもなく、妾に何らの害意もないと主張するならば、名前を名乗っても構わぬではないか?」
「佐田彦四郎と申す。誾千代殿には、このたびの御婚約、お祝い申し上げまする」
彦四郎と名乗った男は、気取った様子で、片手を前に出して、頭を下げた。
「なぜ、妾の寝所に忍び入った?」
誾千代は間髪を入れず、問い詰めた。
「ただの、興味本位。拙者は、気の向くまま、風の吹くまま、あちらこちらを、飛び回って御座る。ただ、それだけで……」
「嘘じゃ!」
誾千代は改めて、彦四郎という男に、興味を募らせた。なぜなら彦四郎の想念に、厳しい顔つきの、領主らしき男が浮かんでいたからだった。
誾千代は反射的に、彦四郎はこの領主に雇われているのではないかと、推理した。
「誰に雇われている?」
彦四郎の想念に、丸に十字の紋所が浮かんでいた。誾千代は頷いた。
「そうか、薩摩か……。薩摩の島津が、其方を差し向けたのじゃな?」
彦四郎は表情を変えなかったが、心は激しく動揺している。誾千代には、丸判りだ。思いもかけない勝利感に、誾千代は笑い声を上げていた。
「そうか、先般、島津は龍造寺やら、我が主君、大友宗麟殿に対し、ちょっかいを出し始めておると聞く。立花城の城主が、何も知らぬ小娘と聞いて、攻め滅ぼす良い時節だと、考え始めておるのじゃな。じゃが、生憎じゃが、妾は何も知らぬ箱入り娘ではない! 島津に申し伝えよ。妾は戦の時が来たれば、先頭に立って、戦うとな!」
ふうう……と、彦四郎は低く、息を吐き出した。
「なるほど……。確かに拙者が睨んだとおり、誾千代姫は、他人の心が読み取れる力が、御座るな……。島津の名を暴いたのは、姫が拙者の心を読み取ったので御座ろう……」
今度は、誾千代が驚愕に打たれる番だった。
「なぜそれを! 其方は妾の力を、なぜ知っておるのじゃ?」
ふっと、彦四郎の片頬に、笑いが浮かんだ。
「姫の力は〝サトリ〟の力。なぜ拙者が、姫の能力を言い当てたか。それは、姫と同じ力を持つ人物を知っておるからで御座る」
誾千代は反射的に問い掛けた。
「そ、それは何者じゃ? どこの、誰が妾と同じ人間なのじゃ?」
彦四郎の心を読もうとしたが、何も読み取れなかった。彦四郎は誾千代に対し、心を閉ざしていた。
このような技を、誾千代は初めて体験した。今まで沢山の人々の心を読み取ってきたが、誾千代に対し、心に蓋ができる相手は、存在しなかった。
ふらり、と彦四郎は後ろに下がった。
「誾千代姫は、賢い御方で御座る。しかし、聡いといっても、まだ広い世間を知らぬ。世の中には、様々な人間が御座る」
彦四郎は言い聞かせるように誾千代に話し掛けながら、後ろに下がっていった。
するすると彦四郎が遠ざかり、誾千代は思わず、歩を進めて手を伸ばした。
「待って! 教えて! 妾と同じ力を持つ人の名前を教えてたも!」
「健やかにお過ごしなされ……」
「彦四郎──っ!」
ふわりと、彦四郎は、闇に溶け込んだ。誾千代に気配も悟らせず、彦四郎の姿は、目の前から消えていた。鮮やかな、忍びの技であった。
どたどたと、複数の足音が、誾千代の周囲に近づいてきた。
最後に誾千代が大声を上げたので、さすがに宿番の家来たちが聴きつけたのだろう。
「姫! 何事です?」
手に手に、松明を掲げ、周囲の闇を払っていた。俄かに明かりを受け、誾千代は不機嫌になっていた。
「何でもない! 皆、下がれ!」
「姫……」
「下がれと申したぞ! 妾の命令に、逆らうと申すか?」
「いえ、そのような……」
家来たちは渋々、引き下がった。
ようやく静かになった縁側に立ち、誾千代はいつまでも、満月を見上げていた。
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