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第十八章 悪役令嬢VS学院四天王
89本目
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「まさか、カルス家の令嬢が返り討ちに遭うとは」
「エレガンスキャトルの面汚しだな」
「仕方ありません、彼女はキャトルの中でも最弱……キャトル参入したのも一番遅かったですから」
「どうやら次はこの僕の出番のようだな」
「頼みましたよ、我らの栄光のために……」
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
私は先日の学食の件をおじさまに確認している。
「一体どういう事ですか! 学食の件はおじさまが許可を出していると聞いていますよ!!」
「確かに許可を出したけど会議で学業に積極的な教師陣が全員賛成していた事と、生徒のやる気を出す分かりやすいやり方だったから特に反対をする理由が無かったのだよ。それにまさかこんなに早く完成するとは夢にも思わなかった」
相変わらず小賢しい真似をしてくる子だわ。数の利と学院だという理由を最大限に生かして反対出来ない大義名分を掲げてこられると対策がなにも出来ないじゃ無い。おまけに嗾けた貴族の令嬢もちっとも役に立たなかったし。
「せめてあの場所を自由に使わせるように言えないのですか?」
「それは難しい。生徒達を競争させる為にあの場所を作るという話だったし。それを覆すには教師陣を納得させられる理由が必要だ。それに貴族だけでは無くそれ以外の身分の者も使えるようにしている時点で学院の理念にマッチしてしまっているからな」
それなのだ……憎らしいのは身分は問わないという条件はあっても貴族と平民が一緒には使えないルールをにしてある事だ。
私も例のバッジはもらっているけど、貴族学部と経済学部で利用出来る日をわけているせいでアーリャと王子様は一緒にランチを過ごせても私はそこに入れないのだ。あの小狡いアーリャのことだ50人という人数も計算して決めたのだろう。
あれから私の王子様へのアプローチもいまいち上手くいっていない。王子様は騎士学部の授業も受けているのでその時はアーリャを遠くの教室へ、私を近くの教室にして会いに行っても物の数分で現れて邪魔をしてくる。
この前もせっかく相棒の効果が出て王子様から一緒の授業を受けようと誘ってくれたのに、あの憎らしいアーリャは学院のルールを持ち出して邪魔をしてきた。
このままでは私の計画が台無しになってしまう。何とかしなければ……あの何とかって言う学院四天王みたいのがしっかりやってくれるといいのだけれど……思わず私の口からため息が出てしまうのだった。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
「アーリャさん、次は芸術の授業です」
「たしか先週は歌を創作すると言ってましたね」
「芸術は確定した答えがあるわけでは無いですから難しいですよね」
今わたし達は芸術の授業を受けるために防音設備のある講堂へ向かっている。芸術と言っても絵画も音楽も一括りになっているため、授業内容によって向かう場所も毎回違うのです。
芸術的なセンスがわたしにあるわけじゃ無いんだけどまーくんに良いところを見せるためには頑張らないとね。
そんな事を考えている間に目的地に着いた。
「やあ、アーリャ……おや、髪型が少し違うな。そのスタイルも似合っているよ」
「まぁ、マクシス様、嬉しいです」
今日は少し寝坊して髪型が整わないからマリナが苦肉の策でそれを誤魔化してくれたんだけど、怪我の功名というのかまーくんに褒められちゃった、しあわせ。
「今日はマクシス様の歌、楽しみにしています」
「俺もアーリャの綺麗な声を聞きたいな」
「綺麗だなんて、そんな」
照れているわたしを見てベスさんとヘレナさんは微笑んでいる。
そこへ人影が近づいてきた……
「待ちたまえ……君がアーリャ・アルダークか?」
「はい? そうですが、どなたでしょうか?」
「やれやれ、この学院にいて僕を知らないとは……やはり成り上がり者は仕方がないな」
……これわたし知ってる。前も似たようなことあった。つまりキャレルさんから送られてきた次の刺客って事だよね?
……もう、せっかくまーくんとラブラブな雰囲気になっていたのに邪魔するなんてゆるせないよ!!
「エレガンスキャトルの面汚しだな」
「仕方ありません、彼女はキャトルの中でも最弱……キャトル参入したのも一番遅かったですから」
「どうやら次はこの僕の出番のようだな」
「頼みましたよ、我らの栄光のために……」
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私は先日の学食の件をおじさまに確認している。
「一体どういう事ですか! 学食の件はおじさまが許可を出していると聞いていますよ!!」
「確かに許可を出したけど会議で学業に積極的な教師陣が全員賛成していた事と、生徒のやる気を出す分かりやすいやり方だったから特に反対をする理由が無かったのだよ。それにまさかこんなに早く完成するとは夢にも思わなかった」
相変わらず小賢しい真似をしてくる子だわ。数の利と学院だという理由を最大限に生かして反対出来ない大義名分を掲げてこられると対策がなにも出来ないじゃ無い。おまけに嗾けた貴族の令嬢もちっとも役に立たなかったし。
「せめてあの場所を自由に使わせるように言えないのですか?」
「それは難しい。生徒達を競争させる為にあの場所を作るという話だったし。それを覆すには教師陣を納得させられる理由が必要だ。それに貴族だけでは無くそれ以外の身分の者も使えるようにしている時点で学院の理念にマッチしてしまっているからな」
それなのだ……憎らしいのは身分は問わないという条件はあっても貴族と平民が一緒には使えないルールをにしてある事だ。
私も例のバッジはもらっているけど、貴族学部と経済学部で利用出来る日をわけているせいでアーリャと王子様は一緒にランチを過ごせても私はそこに入れないのだ。あの小狡いアーリャのことだ50人という人数も計算して決めたのだろう。
あれから私の王子様へのアプローチもいまいち上手くいっていない。王子様は騎士学部の授業も受けているのでその時はアーリャを遠くの教室へ、私を近くの教室にして会いに行っても物の数分で現れて邪魔をしてくる。
この前もせっかく相棒の効果が出て王子様から一緒の授業を受けようと誘ってくれたのに、あの憎らしいアーリャは学院のルールを持ち出して邪魔をしてきた。
このままでは私の計画が台無しになってしまう。何とかしなければ……あの何とかって言う学院四天王みたいのがしっかりやってくれるといいのだけれど……思わず私の口からため息が出てしまうのだった。
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「アーリャさん、次は芸術の授業です」
「たしか先週は歌を創作すると言ってましたね」
「芸術は確定した答えがあるわけでは無いですから難しいですよね」
今わたし達は芸術の授業を受けるために防音設備のある講堂へ向かっている。芸術と言っても絵画も音楽も一括りになっているため、授業内容によって向かう場所も毎回違うのです。
芸術的なセンスがわたしにあるわけじゃ無いんだけどまーくんに良いところを見せるためには頑張らないとね。
そんな事を考えている間に目的地に着いた。
「やあ、アーリャ……おや、髪型が少し違うな。そのスタイルも似合っているよ」
「まぁ、マクシス様、嬉しいです」
今日は少し寝坊して髪型が整わないからマリナが苦肉の策でそれを誤魔化してくれたんだけど、怪我の功名というのかまーくんに褒められちゃった、しあわせ。
「今日はマクシス様の歌、楽しみにしています」
「俺もアーリャの綺麗な声を聞きたいな」
「綺麗だなんて、そんな」
照れているわたしを見てベスさんとヘレナさんは微笑んでいる。
そこへ人影が近づいてきた……
「待ちたまえ……君がアーリャ・アルダークか?」
「はい? そうですが、どなたでしょうか?」
「やれやれ、この学院にいて僕を知らないとは……やはり成り上がり者は仕方がないな」
……これわたし知ってる。前も似たようなことあった。つまりキャレルさんから送られてきた次の刺客って事だよね?
……もう、せっかくまーくんとラブラブな雰囲気になっていたのに邪魔するなんてゆるせないよ!!
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