4 / 127
第二章 普通の女の子の筈でした……
4本目
しおりを挟む
「あーちゃん……見つかった!!」
息を切らせたまーくんの手には、自分のとわたしの鞄を持っている……まさか、学校から走って?
「どうして先に帰ったんだよ!! なーちゃんも探しているぞ、家にもいないって!!」
「あ……ごめんね」
わたしが勝手に避けたのに二人はわたしを心配して探してくれたんだ……その嬉しさと申し訳なさに胸が痛くなってきた。
「あの……ごめ……あれ?」
これ以上変に思われたくないのに、なぜか涙がこぼれてきた……やだ、泣いちゃ駄目。
「あーちゃん、何があったんだ」
「ちがう、なんでもないの……目にゴミが入ったの」
「だったら手で擦るなよ、まってろよ」
まーくんは二つの鞄をそっと地面に降ろしてわたしに顔を近づける……わっ、ち、ちかいよ!! そんなわたしの焦りを物ともせずにハンカチと目薬を取り出して……ピリピリッと目薬の包装を解きつつ……ハンカチを持った手でわたしの顔に触れた。
「人の目薬って使っちゃ駄目だけど、これは今開けたやつだからな」
何かまーくんが言っているけれどわたしは心臓の音がうるさくて何も聞こえないよ……あ、なんかこれってキスする姿勢に似ていない?
なんてばかーーっっ!! なんで余計な事を考えちゃうの、もういま、まーくんがわたしにキスしようとしているとしか思えなくなってきたじゃない!!
あぁぁぁぁ、お願いだから心臓の音よ~静まってぇ~
わたしはそっと目を閉じて心なしか顎をそっと上げる……そんなわけ無いんだけれどいつでもキスが来てもOKの状態だ。
ポタッっと目に冷たい物が落ちてきて。
みよん! っとわたしの目が上に引っ張られ強制的に目が開かれた。
「こうやって目薬でゴミを押し流す」
ですよね~キスされるわけないよね~ちゃんとわかっていたんだからね。
まーくんは何度も目薬を流して、流れたそれをハンカチでキャッチするを繰り返す。
「どうだあーちゃん、まだ痛いか?」
「ううん、もう大丈夫、ありがと、まーくん」
いつでもわたしを気遣ってくれて、泣いたら一生懸命に助けてくれるまーくん。大好きだよまーくん……きっと今は夕焼けがわたしのほっぺたの色を隠してくれているよね?
まーくんは鞄を持ち上げるとポンポン叩いてからよこしてきた。
「まーくん、ありがとう」
鞄を受け取った後もまーくんが難しそうな顔をしていた。
「あのな、えーとな……男の前で無防備に目を瞑るのは良くないぜ」
「え? でも目薬をしてくれるんだから、ああなっちゃうよね?」
「あーちがう、なんだ、その……とにかく俺以外にあんな事をするなよ!」
「え? どういうこと?」
「いいから行くぞ!! はやくなーちゃんに連絡入れて帰るぞ」
まーくんは早足で歩いて行ってしまう……私の足だとあっという間に置いて行かれちゃう!?
「まってよー、まーくーーん!!」
「またない!!」
ねぇ、まーくん、もしかしてわたしを心配してくれているの? 後ろから見える耳が赤く見えるのは夕日のせいなのかな? もしかして……わたし……希望を持ってもいいのかな?
「ほら、急がないと……!?」
振り返ったまーくんの顔がこわばったと思うと、わたしに向かって飛びついてくる……え?
そのまま、まーくんに抱きかかえられると地面に倒れこむ……膝が痛い!! でもまーくんが下になるように倒れたからそれだけですんだけど。
その途端にバーーーンっと大きな音が聞こえた。
二人で起き上がって振り返るとマンションの塀が倒れていた……もしもまーくんに助けられていなかったらわたしは……
「あーちゃん、大丈夫か!?」
「うん、わたしは平気……でも、まーくんわたしのせいでごめんね、凄いすりむいて血が出てる」
「これくらい平気だよ」
まーくんは笑って見せてくれた。二人とも無事で良かった……でもなんでこんな頑丈そうな塀が倒れるんだろう?
……その時、なぜかわたしはさっき神社でお祈りをした事を思い出した。
息を切らせたまーくんの手には、自分のとわたしの鞄を持っている……まさか、学校から走って?
「どうして先に帰ったんだよ!! なーちゃんも探しているぞ、家にもいないって!!」
「あ……ごめんね」
わたしが勝手に避けたのに二人はわたしを心配して探してくれたんだ……その嬉しさと申し訳なさに胸が痛くなってきた。
「あの……ごめ……あれ?」
これ以上変に思われたくないのに、なぜか涙がこぼれてきた……やだ、泣いちゃ駄目。
「あーちゃん、何があったんだ」
「ちがう、なんでもないの……目にゴミが入ったの」
「だったら手で擦るなよ、まってろよ」
まーくんは二つの鞄をそっと地面に降ろしてわたしに顔を近づける……わっ、ち、ちかいよ!! そんなわたしの焦りを物ともせずにハンカチと目薬を取り出して……ピリピリッと目薬の包装を解きつつ……ハンカチを持った手でわたしの顔に触れた。
「人の目薬って使っちゃ駄目だけど、これは今開けたやつだからな」
何かまーくんが言っているけれどわたしは心臓の音がうるさくて何も聞こえないよ……あ、なんかこれってキスする姿勢に似ていない?
なんてばかーーっっ!! なんで余計な事を考えちゃうの、もういま、まーくんがわたしにキスしようとしているとしか思えなくなってきたじゃない!!
あぁぁぁぁ、お願いだから心臓の音よ~静まってぇ~
わたしはそっと目を閉じて心なしか顎をそっと上げる……そんなわけ無いんだけれどいつでもキスが来てもOKの状態だ。
ポタッっと目に冷たい物が落ちてきて。
みよん! っとわたしの目が上に引っ張られ強制的に目が開かれた。
「こうやって目薬でゴミを押し流す」
ですよね~キスされるわけないよね~ちゃんとわかっていたんだからね。
まーくんは何度も目薬を流して、流れたそれをハンカチでキャッチするを繰り返す。
「どうだあーちゃん、まだ痛いか?」
「ううん、もう大丈夫、ありがと、まーくん」
いつでもわたしを気遣ってくれて、泣いたら一生懸命に助けてくれるまーくん。大好きだよまーくん……きっと今は夕焼けがわたしのほっぺたの色を隠してくれているよね?
まーくんは鞄を持ち上げるとポンポン叩いてからよこしてきた。
「まーくん、ありがとう」
鞄を受け取った後もまーくんが難しそうな顔をしていた。
「あのな、えーとな……男の前で無防備に目を瞑るのは良くないぜ」
「え? でも目薬をしてくれるんだから、ああなっちゃうよね?」
「あーちがう、なんだ、その……とにかく俺以外にあんな事をするなよ!」
「え? どういうこと?」
「いいから行くぞ!! はやくなーちゃんに連絡入れて帰るぞ」
まーくんは早足で歩いて行ってしまう……私の足だとあっという間に置いて行かれちゃう!?
「まってよー、まーくーーん!!」
「またない!!」
ねぇ、まーくん、もしかしてわたしを心配してくれているの? 後ろから見える耳が赤く見えるのは夕日のせいなのかな? もしかして……わたし……希望を持ってもいいのかな?
「ほら、急がないと……!?」
振り返ったまーくんの顔がこわばったと思うと、わたしに向かって飛びついてくる……え?
そのまま、まーくんに抱きかかえられると地面に倒れこむ……膝が痛い!! でもまーくんが下になるように倒れたからそれだけですんだけど。
その途端にバーーーンっと大きな音が聞こえた。
二人で起き上がって振り返るとマンションの塀が倒れていた……もしもまーくんに助けられていなかったらわたしは……
「あーちゃん、大丈夫か!?」
「うん、わたしは平気……でも、まーくんわたしのせいでごめんね、凄いすりむいて血が出てる」
「これくらい平気だよ」
まーくんは笑って見せてくれた。二人とも無事で良かった……でもなんでこんな頑丈そうな塀が倒れるんだろう?
……その時、なぜかわたしはさっき神社でお祈りをした事を思い出した。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる