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第一章 覚醒
第23話 #漂泊者イーリス #最初の晩餐会
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「さー、ここがご飯食べる所だよ~?」
愛美がイーリスの手を引きながらリビングまで来ると、そのままダイニングへ行こうとしてこっちを見た。
「あ! お姉ちゃんお帰りー! 帰って来たんだ! セレスさんも、おかえりー!」
二人の姿に気づいて立ち止るとそう言ったが、イーリスは後ろに隠れている。
あいつ、案外人見知りなのか?
俺はそう思ってイーリスに声を掛ける。
「イーリス、お風呂でっかいだろ? びっくりしたかー?」
すると、愛美の後ろから顔を出して声を上げた。
「おおおー! すっごく気持ちよかったぞ!」
満面の笑みでそう言ったが、すぐにまた愛美の後ろに隠れる。
「ねえ、お姉ちゃん。この子、お腹空いてるの。何か食べさせてあげたいんだけどー」
愛美がダイニングの方を見ると、悠菜は無言のままダイニングへ入って行った。
「イルちゃん、もう少しだけ待ってね? すぐご飯にしようね」
愛美はイーリスの顔の近くまでしゃがんでそう言った。
「うん! もう少し待つ!」
「ありがと、イルちゃん! さ、こっちで待ってようね?」
そう言ってイーリスの手を引いてダイニングへ行こうとした。
「待って」
急に、イーリスがそう言って、俺の前まで歩いて来た。
リビングのソファーに座る俺の前で、腰に手をやっている。
「お前の家、中々良いな! 気に入ったぞ!」
「そ、そうですか。それはどーも」
そう言って愛美の前へ戻り、手を握った。
なんで上から目線なんだよ。
軽くため息をついてセレス見ると、彼女は意外そうな顔をしてイーリスを見ていた。
そして、イーリスが愛美とダイニングへ消えると、この時を待っていたかの様に俺にその顔を近づけた。
「ハルト、あれがイーリスだと?」
そして、出来る限りの小声でそう聞いて来た。
何故、小声?
俺は、どうしてそんなに警戒するのか、不思議に思いながらも頷いた。
「どうしたんだよ。そんなに小さな声で」
同じ様に小声で聞き直した。
すると、セレスはソファーに背をもたれながら腕を組む。
そして、ゆっくりと首を横に振る。
「わからん」
そうつぶやいた。
あ、そうだった!
コンビニのお菓子があったっけ。
「そうそう、セレスに見せたいものがあるんだぜ?」
そう言うと俺は、さっきコンビニで買って来た袋を見せた。
「ほう? 何だ? カサカサしてるな」
「まあ、食べ過ぎは良くないけど、ポテトチップスとかお菓子を、色々買って来たんだ」
「ポテトチップス? お菓子か?」
「食べた事ないだろ?」
セレスは、袋の中身を凝視しながらもうんうんと頷いている。
「うん、何だかカラフルだな。虹の様だ」
ここから虹を連想する所が凄いよな。
セレスのはしゃいでいる姿を見ると、そのギャップに少しにやけてしまう。
だがその時、包装紙のガサガサした音に反応したのか、キッチンの方からイーリスが声を上げた。
「あっ! その音は!」
突然上げたその声と共に、リビングに居る俺らに駆け寄って来た。
まるで座敷犬だな……。
だが、突然イーリスが走って来た事で驚いたセレスは、その場で硬直している。
「おいお前! それ、食べるのか?」
仁王立ちのままセレスの手にある、お菓子の袋を指差して言う。
セレスはイーリスを見たまま、ぎこちなくだが首をぶんぶんと横へ振る。
「そうなのか? なーんだ」
そう言うと、つまんなそうにしている。
「ちょっと、お兄ちゃん? ご飯の前にお菓子食べさせちゃダメだよー?」
愛美がキッチンの方からそう言いながら、リビング迄駆け寄って来た。
「はいはい。皆でご飯食べたら食べような?」
俺がそう言うと、イーリスは不思議そうな顔をしている。
「ご飯食べてから、また食べると言うのか? お前、やっぱ変だな」
イーリスが俺を指差して言った。
へ?
俺が変なのか?
「あははは! さ、変なお兄ちゃんはほっといてね」
愛美は楽しそうにそう言ったが、イーリスの手を引きダイニングへ戻ると、俺とセレスは顔を見合わせた。
「あれがイーリスだよ」
「本当に? そうなのか?」
俺は小さな声でセレスに言うと、セレスは小声でそう言って首を傾げた。
そこへ沙織さんが入って来た。
「さあさあ~ご飯遅くなっちゃったわね~」
そしてリビングの俺とセレスを見ると、こっちこっちと手招きをした。
「もう出来るからダイニングへ行きましょ~」
そう言われ、俺とセレスは立ち上がる。
「イーリス? お元気そうね~」
ダイニングへ入るなり、沙織さんが椅子に座るイーリスに声を掛けた。
ビクッとしてイーリスが沙織さんを見る。
「ええええー! ルーナ⁉ どうしてルーナが⁉」
声を上げて立ち上がったが、明らかに動揺している。
しかも、沙織さんをルーナと呼んだ事で、さらに俺の謎が深まる。
「ここはあたしたちのお家なの~びっくりしたわよ~?」
そう言いながら、イーリスの傍の椅子へ座る。
「そうだったのか。それでここは障壁が張られていたのか……」
妙な事を言っているなこいつ。
テンパってるのか?
「うんうん~流石に変なのが来ないように注意はしておくわよー」
え?
何言ってるの、沙織さん?
イーリスと話がかみ合ってる?
俺は何を話しているのか理解出来なかった。
沙織さんがキッチンを覗き込むと、愛美と蜜柑そして悠菜がこちらの様子を怪訝そうに見ている。
「どーお? もうご飯出来そう? そこに大体の用意はして置いたけどー」
沙織さんがそう言うと、三人は同時に頷いた。
「ねえ、沙織さん! イーリスちゃん知ってるの⁉」
愛美がびっくりして聞いた。
「うんうん~会ったのは随分と前なの~」
「そ、そうなの⁉」
随分前って、こいつが生まれて間もなくとか?
俺はイーリスを見ながら思ったが、まだどう見ても十歳程度だろう。
「でわでわ~再開を祝ってお食事会ですね~」
嬉しそうに手を合わせながら沙織さんがそう言うと、俺とセレスは顔を見合わせたが、取り敢えず空いた席に座った。
何か凄い量だよ。
そう思い、並べられる食事を目で追う。
「おおおー! 凄いご馳走だな! これ食べていいのか⁉」
イーリスが運ばれる食事を、背伸びしながら見ている。
「さあ、どうぞー! ゆっくり食べてね?」
料理が並べ終わると、イーリスに愛美が微笑みながら声を掛けた。
「うん! いただきます!」
そう言ってイーリスは、目の前のプチトマトを口へ運んだ。
その様子を見ながら沙織さんが、イーリスにゆっくり話しかける。
「で、どーしたの? どうしてここへ現れたの~?」
そう聞かれて、二個目のプチトマトを頬張りながらイーリスが話し出す。
「だってさー、急に引っ張られたんだよーそりゃ、落ちるじゃん!」
へ?
落ちた?
「あらあら~それで怪我はないの?」
沙織さんが心配そうに聞く。
「あー、怪我と言えばこいつかな?」
そう言って俺を指差した。
「お前なぁ」
俺の何処が怪我だって言うんだよ!
呆れて物が言えん。
まあ、病気って言われるよりマシだが……。
「別にお前に、感謝なんかされても嬉しくないんだからな!」
イーリスはそう言って三個目のプチトマトを口に入れた。
「なっ! こぬやろぉ」
俺は身を乗り出した。
どうしてこいつに俺が感謝なんだよ!
どう考えても逆だろ⁉
「まあまあ、お兄ちゃん落ち着いて」
蜜柑に宥められる。
「あらあら~悠斗くん、イーリスに気に入られたようねぇ」
はぁ?
「何言ってんの? 沙織さんも」
そう言って沙織さんを見ると、妙にニコニコしている。
「イーリスって凄く人見知りなんだけどね~不思議ねぇ」
ま、まあ、人見知りなのは、何と無くわかる。
そう思ってイーリスを見ると、またプチトマトを口に入れている。
「お前、プチトマト好きなのか?」
更にプチトマトを口に運びながらこっちを見た。
「ん? ――って、これか? 別に普通だけど? 何か?」
「て、さっきからプチトマトしか食べてないじゃんか!」
好きなら好きって言えばいいじゃんか……天邪鬼だな。
すると、イーリスは手を止めた。
「だ、だって……」
イーリスの表情が変わった。
泣きそうな顔になる。
突然の変わりように、俺は動揺してしまった。
「ど、どうしたんだよ⁉」
「あー! ちょっとお兄ちゃん! そんなに強く言ったらダメでしょ! ごめんね、イルちゃん。あんな馬鹿っ兄貴で」
イーリスはこくんと頷く。
ちょ、ちょっと愛美さん。
「だって、これは苦手だし、他のは見た事無くて……」
指をさす先には、色々な野菜スティックが大きめのグラスに立っている。
そしてやはりその目は少し涙目だ。
「そうだったのか。俺が悪かった! これも食べられるんだぞ?」
急に申し訳ない気持ちになり、パスタを取り分けた小皿を差し出した。
「え? これ、食べられるのか⁉ ミミズかと思った!」
目を丸くして見入っている。
「食卓にミミズ出す訳無いだろーがっ!」
イーリスは少し明るい表情でパスタを持ち上げ、両手で引っ張るがすぐに切れる。
「あ、イルちゃん、これで食べるの」
「これ、うねうねしてるけど、大丈夫?」
愛美にホークとスプーンを渡されても、怪訝そうにしながらスンスンと匂いを嗅ぐ。
「変わった匂いだな」
そして、器用にフォークで麺をすくうと、ゆっくり口に入れる。
すると満面の笑みで俺を見た。
「美味しいぞ⁉ 凄いなこれ!」
パスタの小皿を目の前に置いてやると、夢中で食べ始めた。
こいつ、パスタも知らないのか?
沙織さんと愛美、蜜柑は笑顔で見ているが、セレスと悠菜は緊張している様だ。
ついつい見入ってしまったが、ふと我に返る。
俺は唐揚げをつまんで食べると、不意に視線を感じた。
見ると、いつの間にか取り分けたパスタを食べ終わったイーリスが、ジッと唐揚げを凝視しているのだ。
「あ、これも美味いぞ? 食ってみ?」
唐揚げの入った皿を目の前に差し出すと、俺の食べ方を真似る様に一つ摘まんで口へ入れた。
「おおおー! わ、わんだほえー!」
やっぱり、唐揚げもお初か。
「それな、鶏肉。ちゃんと食べ終わってから話せよ。何言ってるか分からん」
そう言うと、イーリスの動きが止まった。
「わ⁉ わんはほ⁉」
また涙目だ。
おいおい、勘弁してくれよ。
「イーリス。ここはそう言う世界なのよー?」
沙織さんが諭すように話した。
「この鳥は食される為に生まれ、これで全うされたの」
そう言う沙織さんを、ウルウルした目で見ている。
「ほ、ほうなのは?」
小さな口に入れた唐揚げが大きすぎて、もごもご言っている。
そうなのか?
って言ったんだよな?
イーリスの頬を涙がツーっと伝い落ちた。
急に何とも言えない切ない気持ちになった。
こいつ、純粋なんだな。
気が付くと、愛美の目にも涙があった。
「は、はひはいへんはよ、おはへは!」
イーリスがモグモグしながら、俺に何か言うが、全く分からん。
「何だって?」
俺が聞き返すと、急いで口の中のモノを飲み込んだイーリスに、堰を切るように怒鳴られた。
「何泣いてんだお前は! って言ったんだよ!」
え?
俺が泣いてる?
「な、泣いてたのはお前だろ⁉」
「お兄ちゃん、泣いてたのー?」
愛美がそう言って、俺に涙を堪えて笑いかけた。
周りの皆を見回すと、コクコクと頷いている。
ただ、沙織さんだけは、ニコニコしながらセロリを齧っていた。
そうか、こいつ、鶏肉初めて食べたのかぁ。
「口に入れた物、ちゃんと食べて偉いな」
イーリスにそう言うと、照れた様にこっちを見た。
「だ、当たり前だ! 鳥に申し訳ないだろ! 全うさせるんだからな! そんくらいわかれよな!」
そう言って、またプチトマトを口に入れた。
案外、優しい子だなこいつ。
愛美が優しくイーリスの口周りを拭いている。
こんなに幼いのに親はどこ行ってんだよ。
急にそっちに腹がたった。
「沙織さん、イーリスの親は何処に居るの?」
どうしても気になって、沙織さんを見た。
「ん~色々あるのよ~許してあげてね?」
え?
何故、沙織さんがそんな事を?
そう言われると、怒りよりも新たな疑問が湧き出て来る。
そうか、この子を知ってると言う事は、エランドールでなくても異世界の人間か。
そうなれば、この現実離れしたイーリスも納得がいく。
「そうだ、イーリス、どうしてあそこに倒れてたんだ?」
見ると、イーリスは愛美に勧められて、キャロットジュースを飲んでいた。
「だーかーらー。お前に言ったじゃん。足を滑らせたってー」
俺が聞きたいのはそうじゃないんだけどなぁ。
「どうしてあそこを歩いてたんだ?」
聞き方を変えてみた。
「んー? 歩いてないよ?」
ストローをくわえながらキョトンとしている。
え?
歩いてなきゃ、どうして足を滑らせたんだよ。
「さ~てと、もうみんな食べたよねー?」
急に沙織さんが話しを遮った。
「じゃあ、お姉さんから話すね~」
そう言って、俺と皆を見回した。
「ルーナがお前らのお姉さんなのか⁉」
びっくりしてイーリスが声を上げた。
「ん~? そうよ~?」
そう言われると、イーリスは大人しくなった。
「まず、イーリスの件ねー?」
そう言って、イーリスを見る。
「この子は、いつも次元を彷徨っているの~」
へ?
彷徨う?
次元を⁉
「ずっと独りで、あちこちの次元へ放浪しているのね」
うんうんとイーリスが頷いている。
「一つの次元に留まるのは珍しい事なの~」
イーリスは胸を張ってる。
自慢する所じゃないと思うけど?
「どうしてここに居るのかは分かんないけどね~」
そう言って、沙織さんがニコニコしながらイーリスを見と、彼女は慌てて言い返した。
「べ、別に来たくて来た訳じゃないんだから! こいつが、どうしても来いって……言うから」
段々とその声は小さくなった。
どうしてもって何だよ、言って無いよね?
「まあ、こうやってイーリスと会えたのも縁ですね~」
そう言って、皆を見回した。
まあ、それはそうだな。
裸で倒れていたのは解せないが。
「でもさ、変なんだよねーどうして、あそこに居たのかが分かんない」
へ?
こいつ自身も分かんないのかよ!
「あら~それは不思議ねぇ~」
沙織さんが頬に手をやり考える。
「目が覚めたら、こいつが見てた。あ、触ろうとしてた」
イーリスが思い出した様にそう言うと、愛美がキッっと俺を睨んだ。
「お兄ちゃん⁉ こんな幼い子に⁉」
そう言って愛美は立ち上がった。
「お兄ちゃんっ⁉ 信じられませんっ!」
蜜柑もそう言って席を立った。
「いやいやいや、待て待て! 違うってば! 俺は生きてるか確認をだな!」
慌てて弁解する。
「食べられちゃうかと思ったぞ?」
イーリスがそう言うと、益々愛美の表情が変わる。
「お、お兄ちゃん⁉」
「おいおいおい! ちょっと待てよ! お前、何言ってんだよ! 大丈夫かって聞いただけだろ!」
イーリスは涼しい顔でジュースを飲んでる。
愛美と蜜柑が俺にじりじりと迫って来た所で悠菜が言った。
「悠斗の傍を離れた、私が悪かった」
そう言って立ち上がると、深々と頭を下げた。
「あ、お姉ちゃんのせいじゃない! お兄ちゃんが節操無いから!」
「う、うん! お姉ちゃんは悪くない!」
待て待て、違う方向行って無いか?
「まあまあ、間違いは無かった事ですし~」
「沙織さんまで、何言ってんの!」
「ハルトはこんな幼子が好みなのか?」
セレスは怪訝そうに俺を見ていたが、そう言って俺から少し離れた。
「ちょ、セレス! 違うってば!」
「幼子って誰? なー誰の事ー?」
「どう考えたってお前だろ!」
「何だとーっ⁉ 愚弄するのか⁉」
「ってか、お前、中身幾つだよ!」
これがイーリスと言う漂泊者との、初めての晩餐だった。
愛美がイーリスの手を引きながらリビングまで来ると、そのままダイニングへ行こうとしてこっちを見た。
「あ! お姉ちゃんお帰りー! 帰って来たんだ! セレスさんも、おかえりー!」
二人の姿に気づいて立ち止るとそう言ったが、イーリスは後ろに隠れている。
あいつ、案外人見知りなのか?
俺はそう思ってイーリスに声を掛ける。
「イーリス、お風呂でっかいだろ? びっくりしたかー?」
すると、愛美の後ろから顔を出して声を上げた。
「おおおー! すっごく気持ちよかったぞ!」
満面の笑みでそう言ったが、すぐにまた愛美の後ろに隠れる。
「ねえ、お姉ちゃん。この子、お腹空いてるの。何か食べさせてあげたいんだけどー」
愛美がダイニングの方を見ると、悠菜は無言のままダイニングへ入って行った。
「イルちゃん、もう少しだけ待ってね? すぐご飯にしようね」
愛美はイーリスの顔の近くまでしゃがんでそう言った。
「うん! もう少し待つ!」
「ありがと、イルちゃん! さ、こっちで待ってようね?」
そう言ってイーリスの手を引いてダイニングへ行こうとした。
「待って」
急に、イーリスがそう言って、俺の前まで歩いて来た。
リビングのソファーに座る俺の前で、腰に手をやっている。
「お前の家、中々良いな! 気に入ったぞ!」
「そ、そうですか。それはどーも」
そう言って愛美の前へ戻り、手を握った。
なんで上から目線なんだよ。
軽くため息をついてセレス見ると、彼女は意外そうな顔をしてイーリスを見ていた。
そして、イーリスが愛美とダイニングへ消えると、この時を待っていたかの様に俺にその顔を近づけた。
「ハルト、あれがイーリスだと?」
そして、出来る限りの小声でそう聞いて来た。
何故、小声?
俺は、どうしてそんなに警戒するのか、不思議に思いながらも頷いた。
「どうしたんだよ。そんなに小さな声で」
同じ様に小声で聞き直した。
すると、セレスはソファーに背をもたれながら腕を組む。
そして、ゆっくりと首を横に振る。
「わからん」
そうつぶやいた。
あ、そうだった!
コンビニのお菓子があったっけ。
「そうそう、セレスに見せたいものがあるんだぜ?」
そう言うと俺は、さっきコンビニで買って来た袋を見せた。
「ほう? 何だ? カサカサしてるな」
「まあ、食べ過ぎは良くないけど、ポテトチップスとかお菓子を、色々買って来たんだ」
「ポテトチップス? お菓子か?」
「食べた事ないだろ?」
セレスは、袋の中身を凝視しながらもうんうんと頷いている。
「うん、何だかカラフルだな。虹の様だ」
ここから虹を連想する所が凄いよな。
セレスのはしゃいでいる姿を見ると、そのギャップに少しにやけてしまう。
だがその時、包装紙のガサガサした音に反応したのか、キッチンの方からイーリスが声を上げた。
「あっ! その音は!」
突然上げたその声と共に、リビングに居る俺らに駆け寄って来た。
まるで座敷犬だな……。
だが、突然イーリスが走って来た事で驚いたセレスは、その場で硬直している。
「おいお前! それ、食べるのか?」
仁王立ちのままセレスの手にある、お菓子の袋を指差して言う。
セレスはイーリスを見たまま、ぎこちなくだが首をぶんぶんと横へ振る。
「そうなのか? なーんだ」
そう言うと、つまんなそうにしている。
「ちょっと、お兄ちゃん? ご飯の前にお菓子食べさせちゃダメだよー?」
愛美がキッチンの方からそう言いながら、リビング迄駆け寄って来た。
「はいはい。皆でご飯食べたら食べような?」
俺がそう言うと、イーリスは不思議そうな顔をしている。
「ご飯食べてから、また食べると言うのか? お前、やっぱ変だな」
イーリスが俺を指差して言った。
へ?
俺が変なのか?
「あははは! さ、変なお兄ちゃんはほっといてね」
愛美は楽しそうにそう言ったが、イーリスの手を引きダイニングへ戻ると、俺とセレスは顔を見合わせた。
「あれがイーリスだよ」
「本当に? そうなのか?」
俺は小さな声でセレスに言うと、セレスは小声でそう言って首を傾げた。
そこへ沙織さんが入って来た。
「さあさあ~ご飯遅くなっちゃったわね~」
そしてリビングの俺とセレスを見ると、こっちこっちと手招きをした。
「もう出来るからダイニングへ行きましょ~」
そう言われ、俺とセレスは立ち上がる。
「イーリス? お元気そうね~」
ダイニングへ入るなり、沙織さんが椅子に座るイーリスに声を掛けた。
ビクッとしてイーリスが沙織さんを見る。
「ええええー! ルーナ⁉ どうしてルーナが⁉」
声を上げて立ち上がったが、明らかに動揺している。
しかも、沙織さんをルーナと呼んだ事で、さらに俺の謎が深まる。
「ここはあたしたちのお家なの~びっくりしたわよ~?」
そう言いながら、イーリスの傍の椅子へ座る。
「そうだったのか。それでここは障壁が張られていたのか……」
妙な事を言っているなこいつ。
テンパってるのか?
「うんうん~流石に変なのが来ないように注意はしておくわよー」
え?
何言ってるの、沙織さん?
イーリスと話がかみ合ってる?
俺は何を話しているのか理解出来なかった。
沙織さんがキッチンを覗き込むと、愛美と蜜柑そして悠菜がこちらの様子を怪訝そうに見ている。
「どーお? もうご飯出来そう? そこに大体の用意はして置いたけどー」
沙織さんがそう言うと、三人は同時に頷いた。
「ねえ、沙織さん! イーリスちゃん知ってるの⁉」
愛美がびっくりして聞いた。
「うんうん~会ったのは随分と前なの~」
「そ、そうなの⁉」
随分前って、こいつが生まれて間もなくとか?
俺はイーリスを見ながら思ったが、まだどう見ても十歳程度だろう。
「でわでわ~再開を祝ってお食事会ですね~」
嬉しそうに手を合わせながら沙織さんがそう言うと、俺とセレスは顔を見合わせたが、取り敢えず空いた席に座った。
何か凄い量だよ。
そう思い、並べられる食事を目で追う。
「おおおー! 凄いご馳走だな! これ食べていいのか⁉」
イーリスが運ばれる食事を、背伸びしながら見ている。
「さあ、どうぞー! ゆっくり食べてね?」
料理が並べ終わると、イーリスに愛美が微笑みながら声を掛けた。
「うん! いただきます!」
そう言ってイーリスは、目の前のプチトマトを口へ運んだ。
その様子を見ながら沙織さんが、イーリスにゆっくり話しかける。
「で、どーしたの? どうしてここへ現れたの~?」
そう聞かれて、二個目のプチトマトを頬張りながらイーリスが話し出す。
「だってさー、急に引っ張られたんだよーそりゃ、落ちるじゃん!」
へ?
落ちた?
「あらあら~それで怪我はないの?」
沙織さんが心配そうに聞く。
「あー、怪我と言えばこいつかな?」
そう言って俺を指差した。
「お前なぁ」
俺の何処が怪我だって言うんだよ!
呆れて物が言えん。
まあ、病気って言われるよりマシだが……。
「別にお前に、感謝なんかされても嬉しくないんだからな!」
イーリスはそう言って三個目のプチトマトを口に入れた。
「なっ! こぬやろぉ」
俺は身を乗り出した。
どうしてこいつに俺が感謝なんだよ!
どう考えても逆だろ⁉
「まあまあ、お兄ちゃん落ち着いて」
蜜柑に宥められる。
「あらあら~悠斗くん、イーリスに気に入られたようねぇ」
はぁ?
「何言ってんの? 沙織さんも」
そう言って沙織さんを見ると、妙にニコニコしている。
「イーリスって凄く人見知りなんだけどね~不思議ねぇ」
ま、まあ、人見知りなのは、何と無くわかる。
そう思ってイーリスを見ると、またプチトマトを口に入れている。
「お前、プチトマト好きなのか?」
更にプチトマトを口に運びながらこっちを見た。
「ん? ――って、これか? 別に普通だけど? 何か?」
「て、さっきからプチトマトしか食べてないじゃんか!」
好きなら好きって言えばいいじゃんか……天邪鬼だな。
すると、イーリスは手を止めた。
「だ、だって……」
イーリスの表情が変わった。
泣きそうな顔になる。
突然の変わりように、俺は動揺してしまった。
「ど、どうしたんだよ⁉」
「あー! ちょっとお兄ちゃん! そんなに強く言ったらダメでしょ! ごめんね、イルちゃん。あんな馬鹿っ兄貴で」
イーリスはこくんと頷く。
ちょ、ちょっと愛美さん。
「だって、これは苦手だし、他のは見た事無くて……」
指をさす先には、色々な野菜スティックが大きめのグラスに立っている。
そしてやはりその目は少し涙目だ。
「そうだったのか。俺が悪かった! これも食べられるんだぞ?」
急に申し訳ない気持ちになり、パスタを取り分けた小皿を差し出した。
「え? これ、食べられるのか⁉ ミミズかと思った!」
目を丸くして見入っている。
「食卓にミミズ出す訳無いだろーがっ!」
イーリスは少し明るい表情でパスタを持ち上げ、両手で引っ張るがすぐに切れる。
「あ、イルちゃん、これで食べるの」
「これ、うねうねしてるけど、大丈夫?」
愛美にホークとスプーンを渡されても、怪訝そうにしながらスンスンと匂いを嗅ぐ。
「変わった匂いだな」
そして、器用にフォークで麺をすくうと、ゆっくり口に入れる。
すると満面の笑みで俺を見た。
「美味しいぞ⁉ 凄いなこれ!」
パスタの小皿を目の前に置いてやると、夢中で食べ始めた。
こいつ、パスタも知らないのか?
沙織さんと愛美、蜜柑は笑顔で見ているが、セレスと悠菜は緊張している様だ。
ついつい見入ってしまったが、ふと我に返る。
俺は唐揚げをつまんで食べると、不意に視線を感じた。
見ると、いつの間にか取り分けたパスタを食べ終わったイーリスが、ジッと唐揚げを凝視しているのだ。
「あ、これも美味いぞ? 食ってみ?」
唐揚げの入った皿を目の前に差し出すと、俺の食べ方を真似る様に一つ摘まんで口へ入れた。
「おおおー! わ、わんだほえー!」
やっぱり、唐揚げもお初か。
「それな、鶏肉。ちゃんと食べ終わってから話せよ。何言ってるか分からん」
そう言うと、イーリスの動きが止まった。
「わ⁉ わんはほ⁉」
また涙目だ。
おいおい、勘弁してくれよ。
「イーリス。ここはそう言う世界なのよー?」
沙織さんが諭すように話した。
「この鳥は食される為に生まれ、これで全うされたの」
そう言う沙織さんを、ウルウルした目で見ている。
「ほ、ほうなのは?」
小さな口に入れた唐揚げが大きすぎて、もごもご言っている。
そうなのか?
って言ったんだよな?
イーリスの頬を涙がツーっと伝い落ちた。
急に何とも言えない切ない気持ちになった。
こいつ、純粋なんだな。
気が付くと、愛美の目にも涙があった。
「は、はひはいへんはよ、おはへは!」
イーリスがモグモグしながら、俺に何か言うが、全く分からん。
「何だって?」
俺が聞き返すと、急いで口の中のモノを飲み込んだイーリスに、堰を切るように怒鳴られた。
「何泣いてんだお前は! って言ったんだよ!」
え?
俺が泣いてる?
「な、泣いてたのはお前だろ⁉」
「お兄ちゃん、泣いてたのー?」
愛美がそう言って、俺に涙を堪えて笑いかけた。
周りの皆を見回すと、コクコクと頷いている。
ただ、沙織さんだけは、ニコニコしながらセロリを齧っていた。
そうか、こいつ、鶏肉初めて食べたのかぁ。
「口に入れた物、ちゃんと食べて偉いな」
イーリスにそう言うと、照れた様にこっちを見た。
「だ、当たり前だ! 鳥に申し訳ないだろ! 全うさせるんだからな! そんくらいわかれよな!」
そう言って、またプチトマトを口に入れた。
案外、優しい子だなこいつ。
愛美が優しくイーリスの口周りを拭いている。
こんなに幼いのに親はどこ行ってんだよ。
急にそっちに腹がたった。
「沙織さん、イーリスの親は何処に居るの?」
どうしても気になって、沙織さんを見た。
「ん~色々あるのよ~許してあげてね?」
え?
何故、沙織さんがそんな事を?
そう言われると、怒りよりも新たな疑問が湧き出て来る。
そうか、この子を知ってると言う事は、エランドールでなくても異世界の人間か。
そうなれば、この現実離れしたイーリスも納得がいく。
「そうだ、イーリス、どうしてあそこに倒れてたんだ?」
見ると、イーリスは愛美に勧められて、キャロットジュースを飲んでいた。
「だーかーらー。お前に言ったじゃん。足を滑らせたってー」
俺が聞きたいのはそうじゃないんだけどなぁ。
「どうしてあそこを歩いてたんだ?」
聞き方を変えてみた。
「んー? 歩いてないよ?」
ストローをくわえながらキョトンとしている。
え?
歩いてなきゃ、どうして足を滑らせたんだよ。
「さ~てと、もうみんな食べたよねー?」
急に沙織さんが話しを遮った。
「じゃあ、お姉さんから話すね~」
そう言って、俺と皆を見回した。
「ルーナがお前らのお姉さんなのか⁉」
びっくりしてイーリスが声を上げた。
「ん~? そうよ~?」
そう言われると、イーリスは大人しくなった。
「まず、イーリスの件ねー?」
そう言って、イーリスを見る。
「この子は、いつも次元を彷徨っているの~」
へ?
彷徨う?
次元を⁉
「ずっと独りで、あちこちの次元へ放浪しているのね」
うんうんとイーリスが頷いている。
「一つの次元に留まるのは珍しい事なの~」
イーリスは胸を張ってる。
自慢する所じゃないと思うけど?
「どうしてここに居るのかは分かんないけどね~」
そう言って、沙織さんがニコニコしながらイーリスを見と、彼女は慌てて言い返した。
「べ、別に来たくて来た訳じゃないんだから! こいつが、どうしても来いって……言うから」
段々とその声は小さくなった。
どうしてもって何だよ、言って無いよね?
「まあ、こうやってイーリスと会えたのも縁ですね~」
そう言って、皆を見回した。
まあ、それはそうだな。
裸で倒れていたのは解せないが。
「でもさ、変なんだよねーどうして、あそこに居たのかが分かんない」
へ?
こいつ自身も分かんないのかよ!
「あら~それは不思議ねぇ~」
沙織さんが頬に手をやり考える。
「目が覚めたら、こいつが見てた。あ、触ろうとしてた」
イーリスが思い出した様にそう言うと、愛美がキッっと俺を睨んだ。
「お兄ちゃん⁉ こんな幼い子に⁉」
そう言って愛美は立ち上がった。
「お兄ちゃんっ⁉ 信じられませんっ!」
蜜柑もそう言って席を立った。
「いやいやいや、待て待て! 違うってば! 俺は生きてるか確認をだな!」
慌てて弁解する。
「食べられちゃうかと思ったぞ?」
イーリスがそう言うと、益々愛美の表情が変わる。
「お、お兄ちゃん⁉」
「おいおいおい! ちょっと待てよ! お前、何言ってんだよ! 大丈夫かって聞いただけだろ!」
イーリスは涼しい顔でジュースを飲んでる。
愛美と蜜柑が俺にじりじりと迫って来た所で悠菜が言った。
「悠斗の傍を離れた、私が悪かった」
そう言って立ち上がると、深々と頭を下げた。
「あ、お姉ちゃんのせいじゃない! お兄ちゃんが節操無いから!」
「う、うん! お姉ちゃんは悪くない!」
待て待て、違う方向行って無いか?
「まあまあ、間違いは無かった事ですし~」
「沙織さんまで、何言ってんの!」
「ハルトはこんな幼子が好みなのか?」
セレスは怪訝そうに俺を見ていたが、そう言って俺から少し離れた。
「ちょ、セレス! 違うってば!」
「幼子って誰? なー誰の事ー?」
「どう考えたってお前だろ!」
「何だとーっ⁉ 愚弄するのか⁉」
「ってか、お前、中身幾つだよ!」
これがイーリスと言う漂泊者との、初めての晩餐だった。
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