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「すいません、お先に失礼します!お疲れ様でした!」
「お疲れー!」
仕事をしながらもチャーリーさんから言われたことを考えていたら、あっという間にお迎えの時間………つまり定時になった。
基本的に、俺や託児所に子供を預けている人達は預かり時間の関係上残業出来ない。
申し訳ないなと思うけれど、現状困ってはなさそうなので遠慮なく帰らせてもらうようにはしてる。
寧ろ残業したら延長代掛かるし、保育士さんにご迷惑をおかけするし。
「お迎え来ましたー。」
「あ、お疲れ様でーす!リオンくーん、パパがお迎えに来たよー!」
リオンは俺のことを【お母さん】と呼んだけれど、外に居る時は【パパ】と呼ぶようにはしている。
一般的に、子供は女性が産むモノだ。
今人間として育てている以上、人の目がある所では常識に合わせないといけない。
ただでさえ、この子は普通じゃないのだから。
「あ、パパ!おかえりなさーい!」
「ふふっ、ただいまリオン。外は寒いからコート着ようね。」
お友達とブロック遊びに夢中になっていたリオンだったけれど、保育士さんの声を聞いて嬉しそうに駆け寄って来る。
今日は本当に疲れたけれど、この笑顔を見るだけで疲れが吹っ飛んでしまう。
ぎゅうぎゅうと抱き着いてくるリオンに、カバンに入れていた子供用のコートを着せてやる。
「あったかい!」
「ね!さぁ、帰ろう。お友達にバイバイして。」
「うん!バイバーイ!!せんせーもバイバーイ!」
リオンが元気良く手を振れば、先生達もリオンとさっきまで遊んでいた子供達も手を振り返してくれる。
普通ではない時の重ね方をしたリオンは周りから浮いてしまうのではと危惧をしていたが、そんなのは本当に杞憂でしかなかった。
別に人気者という訳ではないが、かといっても皆から仲良くしてもらってるみたいだ。
リオンの方からもコミュニケーションとってるみたいだし、俺に似なくて本当に良かった。
「託児所、楽しい?」
「たのしい!」
「そっかー。今日は何したの?」
「あのねー!」
キラキラと、エメラルドの瞳が光っているような気がして、ほっこりとしてしまう。
職場から家までは徒歩で十分くらい。
三歳の子供を抱っこしたり手を繋いだり、散歩するには丁度良い道程ではある。
………嘘、本当はちょっとしんどい。
でも、リオンの話す今日の出来事を聞いていたら、わりとあっという間に終わってしまう道程だ。
「それでね、シュリくんがね、あめたべようって!」
「あめ?」
「うん!くもみたいなあめがあるんだって!」
どうやら今度託児所で開催されるミニお祭りである屋台についてが最近の園児達にとってはホッとな話題らしい。
おしらせのプリント、開催日と保護者の必要事項しか見てなかったけど、もっと見ておこう。
はじめての催しだから変な方向に緊張してたことを、リオンの言葉で自覚した。
「そっかー、楽しみだねぇ!」
「ねー!オルフェおじさんきてくれるかなー?」
この催しは保護者が送った招待券があれば、二名までの親族も参加することが出来る。
だから俺は予定さえ合えばと思って兄さんとフィニス様を招待するつもりだったんだが、もしも暴動に関わってるならそんな暇無いよな………。
一度だけ会ったことある兄さんに何故かすごく懐いてるリオンには悪いけど、来れないかもって言っておこう。
でも………送ってみる位は、許されるよね?
「お疲れー!」
仕事をしながらもチャーリーさんから言われたことを考えていたら、あっという間にお迎えの時間………つまり定時になった。
基本的に、俺や託児所に子供を預けている人達は預かり時間の関係上残業出来ない。
申し訳ないなと思うけれど、現状困ってはなさそうなので遠慮なく帰らせてもらうようにはしてる。
寧ろ残業したら延長代掛かるし、保育士さんにご迷惑をおかけするし。
「お迎え来ましたー。」
「あ、お疲れ様でーす!リオンくーん、パパがお迎えに来たよー!」
リオンは俺のことを【お母さん】と呼んだけれど、外に居る時は【パパ】と呼ぶようにはしている。
一般的に、子供は女性が産むモノだ。
今人間として育てている以上、人の目がある所では常識に合わせないといけない。
ただでさえ、この子は普通じゃないのだから。
「あ、パパ!おかえりなさーい!」
「ふふっ、ただいまリオン。外は寒いからコート着ようね。」
お友達とブロック遊びに夢中になっていたリオンだったけれど、保育士さんの声を聞いて嬉しそうに駆け寄って来る。
今日は本当に疲れたけれど、この笑顔を見るだけで疲れが吹っ飛んでしまう。
ぎゅうぎゅうと抱き着いてくるリオンに、カバンに入れていた子供用のコートを着せてやる。
「あったかい!」
「ね!さぁ、帰ろう。お友達にバイバイして。」
「うん!バイバーイ!!せんせーもバイバーイ!」
リオンが元気良く手を振れば、先生達もリオンとさっきまで遊んでいた子供達も手を振り返してくれる。
普通ではない時の重ね方をしたリオンは周りから浮いてしまうのではと危惧をしていたが、そんなのは本当に杞憂でしかなかった。
別に人気者という訳ではないが、かといっても皆から仲良くしてもらってるみたいだ。
リオンの方からもコミュニケーションとってるみたいだし、俺に似なくて本当に良かった。
「託児所、楽しい?」
「たのしい!」
「そっかー。今日は何したの?」
「あのねー!」
キラキラと、エメラルドの瞳が光っているような気がして、ほっこりとしてしまう。
職場から家までは徒歩で十分くらい。
三歳の子供を抱っこしたり手を繋いだり、散歩するには丁度良い道程ではある。
………嘘、本当はちょっとしんどい。
でも、リオンの話す今日の出来事を聞いていたら、わりとあっという間に終わってしまう道程だ。
「それでね、シュリくんがね、あめたべようって!」
「あめ?」
「うん!くもみたいなあめがあるんだって!」
どうやら今度託児所で開催されるミニお祭りである屋台についてが最近の園児達にとってはホッとな話題らしい。
おしらせのプリント、開催日と保護者の必要事項しか見てなかったけど、もっと見ておこう。
はじめての催しだから変な方向に緊張してたことを、リオンの言葉で自覚した。
「そっかー、楽しみだねぇ!」
「ねー!オルフェおじさんきてくれるかなー?」
この催しは保護者が送った招待券があれば、二名までの親族も参加することが出来る。
だから俺は予定さえ合えばと思って兄さんとフィニス様を招待するつもりだったんだが、もしも暴動に関わってるならそんな暇無いよな………。
一度だけ会ったことある兄さんに何故かすごく懐いてるリオンには悪いけど、来れないかもって言っておこう。
でも………送ってみる位は、許されるよね?
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