54 / 74
幸せになりたいだけなのに
私達の心に刺さり続けている
しおりを挟む
どうしても、好きな人が居た。
その人は王子様系のイケメンで、お姫様みたいって言われ続けてきた私に相応しい人だった。
スポーツ万能で、頭も良くて学年で一番。
でも恋人が居るみたいで、誰から告白されてもいつもそう言って振ってた。
一体誰なんだろうか。
誰も彼の恋人を知らないし、見たこともなかった。
告白を振るための嘘なのかなって思った時もあったけど、クラスの男子との会話で本当に居るのだろうって嫌でも分かってしまった。
どんな子なのかは濁すけど、余程楽しかったのかデートの内容とかはよく細かく話していたから。
でもその恋人がどんな奴だとしても、私の方が彼に相応しい。
私は彼の尾行を続け、そして【恋人】の正体を知った。
油断していたのか、人通りの少ない空き教室で手を繋ぎながらキスをしていたから。
私はその【相手】を見て悲鳴を上げそうになった。
だって相手は男………しかも彼のような美しい人ならまだしも、同じクラスのブス陰キャ野郎だったから。
嘘でしょ、気持ちが悪い。
何の罰ゲームなの?
間違ってる、間違ってる、間違ってる!
嬉しそうに笑う陰キャの顔がきっしょい。
彼が嫌がってるって分かってないんだろうか。
もし彼が嫌がっていないとするなら、それはきっと彼が勘違いしているからだろう。
私は教えてあげようと思った。
邪魔をするんじゃない。
教えてあげるんだ。
正しいお付き合いは、男女だけなんだよって。
やったことなんて簡単だ。
グイグイいく訳じゃなくて、控えめにアピールしただけ。
そうしたらやっぱり彼もおかしいと思ったのか、徐々に徐々に私に靡いてくれて最終的に私の方を選んでくれた。
別れ話はちゃんとしてくれるか分からなかったから、私は彼に許可を貰って隠れて聞くことにした。
きっと泣き喚いて縋るんだろうと思うと、ざまぁみろって思った。
ずっと彼を汚してた報いだと。
『そっかぁ………なんか、ごめんね。ずっと苦しめてて。』
でもアイツは、ブスな顔を更に歪ませて静かにそう言った。
そうだよ、彼を苦しめてたんだよ。
お前みたいなブスに無駄に時間を取られたんだから、ちゃんと誠心誠意謝罪してよね。
そう思うけどなんでだろう、スッと一筋流れる涙を見ていたら胸がズキズキと痛んだ。
『今まで、ありがとうございました。』
深々と頭を下げて、アイツは去って行った。
恨み事も嫌味も無い、純粋な感謝。
結局、私と彼はそのまま順調にお付き合いを続けて、無事結婚となった。
今では子供が二人居る。
でも内心が順当かと言われたら、それは違うと答えるだろう。
アイツの言った謝罪が、感謝が、私達の心にずっと棘みたいに刺さり続けたままなのだ。
私にとって、彼と別れたらアイツに負けたような気がして。
彼にとっては多分、別の理由で。
私達は別れることが出来なかった。
例えどれだけ、心が冷めきっていたとしても。
私達はずっと二人で居なくてはならないんだと、互いに思ってしまっているから。
その人は王子様系のイケメンで、お姫様みたいって言われ続けてきた私に相応しい人だった。
スポーツ万能で、頭も良くて学年で一番。
でも恋人が居るみたいで、誰から告白されてもいつもそう言って振ってた。
一体誰なんだろうか。
誰も彼の恋人を知らないし、見たこともなかった。
告白を振るための嘘なのかなって思った時もあったけど、クラスの男子との会話で本当に居るのだろうって嫌でも分かってしまった。
どんな子なのかは濁すけど、余程楽しかったのかデートの内容とかはよく細かく話していたから。
でもその恋人がどんな奴だとしても、私の方が彼に相応しい。
私は彼の尾行を続け、そして【恋人】の正体を知った。
油断していたのか、人通りの少ない空き教室で手を繋ぎながらキスをしていたから。
私はその【相手】を見て悲鳴を上げそうになった。
だって相手は男………しかも彼のような美しい人ならまだしも、同じクラスのブス陰キャ野郎だったから。
嘘でしょ、気持ちが悪い。
何の罰ゲームなの?
間違ってる、間違ってる、間違ってる!
嬉しそうに笑う陰キャの顔がきっしょい。
彼が嫌がってるって分かってないんだろうか。
もし彼が嫌がっていないとするなら、それはきっと彼が勘違いしているからだろう。
私は教えてあげようと思った。
邪魔をするんじゃない。
教えてあげるんだ。
正しいお付き合いは、男女だけなんだよって。
やったことなんて簡単だ。
グイグイいく訳じゃなくて、控えめにアピールしただけ。
そうしたらやっぱり彼もおかしいと思ったのか、徐々に徐々に私に靡いてくれて最終的に私の方を選んでくれた。
別れ話はちゃんとしてくれるか分からなかったから、私は彼に許可を貰って隠れて聞くことにした。
きっと泣き喚いて縋るんだろうと思うと、ざまぁみろって思った。
ずっと彼を汚してた報いだと。
『そっかぁ………なんか、ごめんね。ずっと苦しめてて。』
でもアイツは、ブスな顔を更に歪ませて静かにそう言った。
そうだよ、彼を苦しめてたんだよ。
お前みたいなブスに無駄に時間を取られたんだから、ちゃんと誠心誠意謝罪してよね。
そう思うけどなんでだろう、スッと一筋流れる涙を見ていたら胸がズキズキと痛んだ。
『今まで、ありがとうございました。』
深々と頭を下げて、アイツは去って行った。
恨み事も嫌味も無い、純粋な感謝。
結局、私と彼はそのまま順調にお付き合いを続けて、無事結婚となった。
今では子供が二人居る。
でも内心が順当かと言われたら、それは違うと答えるだろう。
アイツの言った謝罪が、感謝が、私達の心にずっと棘みたいに刺さり続けたままなのだ。
私にとって、彼と別れたらアイツに負けたような気がして。
彼にとっては多分、別の理由で。
私達は別れることが出来なかった。
例えどれだけ、心が冷めきっていたとしても。
私達はずっと二人で居なくてはならないんだと、互いに思ってしまっているから。
15
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説
賢者となって逆行したら「稀代のたらし」だと言われるようになりました。
かるぼん
BL
********************
ヴィンセント・ウィンバークの最悪の人生はやはり最悪の形で終わりを迎えた。
監禁され、牢獄の中で誰にも看取られず、ひとり悲しくこの生を終える。
もう一度、やり直せたなら…
そう思いながら遠のく意識に身をゆだね……
気が付くと「最悪」の始まりだった子ども時代に逆行していた。
逆行したヴィンセントは今回こそ、後悔のない人生を送ることを固く決意し二度目となる新たな人生を歩み始めた。
自分の最悪だった人生を回収していく過程で、逆行前には得られなかった多くの大事な人と出会う。
孤独だったヴィンセントにとって、とても貴重でありがたい存在。
しかし彼らは口をそろえてこう言うのだ
「君は稀代のたらしだね。」
ほのかにBLが漂う、逆行やり直し系ファンタジー!
よろしくお願い致します!!
********************
美形×平凡のBLゲームに転生した平凡騎士の俺?!
元森
BL
「嘘…俺、平凡受け…?!」
ある日、ソーシード王国の騎士であるアレク・シールド 28歳は、前世の記憶を思い出す。それはここがBLゲーム『ナイトオブナイト』で美形×平凡しか存在しない世界であること―――。そして自分は主人公の友人であるモブであるということを。そしてゲームのマスコットキャラクター:セーブたんが出てきて『キミを最強の受けにする』と言い出して―――?!
隠し攻略キャラ(俺様ヤンデレ美形攻め)×気高い平凡騎士受けのハチャメチャ転生騎士ライフ!
なぜか第三王子と結婚することになりました
鳳来 悠
BL
第三王子が婚約破棄したらしい。そしておれに急に婚約話がやってきた。……そこまではいい。しかし何でその相手が王子なの!?会ったことなんて数えるほどしか───って、え、おれもよく知ってるやつ?身分偽ってたぁ!?
こうして結婚せざるを得ない状況になりました…………。
金髪碧眼王子様×黒髪無自覚美人です
ハッピーエンドにするつもり
長編とありますが、あまり長くはならないようにする予定です
花盗人に罪は無し
かかし
BL
一度は書いてみたかった男性妊娠ネタ
なんの説明もなく男性ばかりの世界ですし、なんの説明もなく男性が妊娠出産します。
世界観的には謎異世界とふわふわお貴族様設定。
なんかおかしいと思っても目を瞑ってください。
途中でルート分岐します
どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。
彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。
だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。
どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。
記憶の欠けたオメガがヤンデレ溺愛王子に堕ちるまで
橘 木葉
BL
ある日事故で一部記憶がかけてしまったミシェル。
婚約者はとても優しいのに体は怖がっているのは何故だろう、、
不思議に思いながらも婚約者の溺愛に溺れていく。
---
記憶喪失を機に愛が重すぎて失敗した関係を作り直そうとする婚約者フェルナンドが奮闘!
次は行き過ぎないぞ!と意気込み、ヤンデレバレを対策。
---
記憶は戻りますが、パッピーエンドです!
⚠︎固定カプです
人参のグラッセを一個
かかし
BL
※6話目と7話目がコピペミスにより同じモノになっていたと教えて頂き、3月19日に修正致しました。この場を借りてお礼申し上げますありがとうございました…
そして皆様には多大なご迷惑をおかけして申し訳ございません
見目の良い弟からは見下され、両親からはあからさまに差別された軽度の吃り持ち平凡高校生が諦めることもなく幸せを大事にしたり、ガラが悪いけど美形で溺愛体質な男に愛されたりする話。
溺愛美形×平凡です
※予告無しに暴力表現やイジメ表現があります
※吃りの表現があります
※法律も医学知識も0な人間が書いてます
※その辺の矛盾とかおかしさ感じても目を瞑って頂ければ幸いです
pixivにて連載していた話で、番外編も含めて既に完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる