24 / 74
二ヶ月目
コイツは絶対猫なんだ
しおりを挟む
結局泣いた。
俺も泣いたし、康介も静かに涙を流していた。
「胸が痛い………」
「分かる………ちょっと退け。ティッシュ取って来る。」
膝の上に乗せたままだった康介を降ろして、俺は少し離れた場所に置いていたティッシュを取りに行く。
鼻水出てきて気持ちが悪い。
取り敢えず箱ごとティッシュを持ってソファの場所まで戻れば、康介はいつものソファベッドにうつ伏せになって鼻を鳴らしながら泣いていた。
クッションに鼻水付けんなよー。
「ほら。」
「ありがと………うーん、あそこまで心抉ると思ってなかった………」
ティッシュで思いっきり鼻をかみながら、康介は涙で充血した瞳でそう言った。
俺が泣くって言った時点で、察しろよ。
そう言いたいが、毎回ダイレクトに心抉られている俺が笑えた義理じゃないので黙っておく。
「大丈夫か?」
「暫く無理かも。ホラーじゃないのにめっちゃ抉られた。」
まぁ、感受性高そうだもんな。
グロッキーのような状態でソファに寝転ぶ康介からゴミを受け取って捨てて、俺もブランケットを装備しながら同じようにソファに寝転ぶ。
ちょっといつもより遅いが、昼寝でもするか。
「おいで、抱っこしてやる。」
いつもは俺が康介の腕枕で寝てるが、今回は逆にした方が良いだろう。
そう思いながらした提案だったがどうやら正解だったらしく、康介は大人しく俺の腕の中に収まった。
ガチで元気無くしてやんの。
………悪かったな。
「ホラー観れんの?」
「観れない。怖いもん。お風呂入れなくなる。責任取ってもらうからね。」
「観せねぇよ。」
風呂入れなく責任とやらは是非とも取らせてもらいたいが、俺も実はホラーがそう得意な訳じゃないしな。
………格好悪ぃから暫くは黙っておくけど。
もぞもぞと康介を抱えたままブランケットを肩までかける。
俺の肩までかけたから康介はブランケットの中に入り込んでしまうが、嬉しそうにぷすぷす鼻を鳴らしてるから多分大丈夫だろう。
「暑くないか?」
「寒い。あっためて。」
落ち着け、落ち着け俺。
今コイツが言った言葉には、何の他意も無い。
あるとしたらガチで寒いって思ってる感情と、抱きしめてもらったら人肌で温まれるというもっともな打算だ。
つまり、大人のアレやコレは一切考えてない。
「じゃあもうちょいこっち来い。」
「ん。」
擦り寄ってきた康介を抱き締めて、コイツは猫なんだと自分自身に言い聞かせる。
猫だから寒いときに人間をあったかい棒だと思ってるし、猫だから平気で抱き着いてくるんだ。
猫だから仕方ない。
うん、仕方ない。
別に可愛くねぇ顔なのに可愛いと思っちまうのも、猫だから仕方ねぇ訳だよ納得。
「あったかい。」
「おう。よかったよかった。」
ぎゅうぎゅうと抱き着いてくる康介の額にキスをする。
嬉しそうに目を細めたから、コイツは絶対猫なんだと思うことでなんとか………なんとか俺の股間を落ち着かせることに努めた。
俺も泣いたし、康介も静かに涙を流していた。
「胸が痛い………」
「分かる………ちょっと退け。ティッシュ取って来る。」
膝の上に乗せたままだった康介を降ろして、俺は少し離れた場所に置いていたティッシュを取りに行く。
鼻水出てきて気持ちが悪い。
取り敢えず箱ごとティッシュを持ってソファの場所まで戻れば、康介はいつものソファベッドにうつ伏せになって鼻を鳴らしながら泣いていた。
クッションに鼻水付けんなよー。
「ほら。」
「ありがと………うーん、あそこまで心抉ると思ってなかった………」
ティッシュで思いっきり鼻をかみながら、康介は涙で充血した瞳でそう言った。
俺が泣くって言った時点で、察しろよ。
そう言いたいが、毎回ダイレクトに心抉られている俺が笑えた義理じゃないので黙っておく。
「大丈夫か?」
「暫く無理かも。ホラーじゃないのにめっちゃ抉られた。」
まぁ、感受性高そうだもんな。
グロッキーのような状態でソファに寝転ぶ康介からゴミを受け取って捨てて、俺もブランケットを装備しながら同じようにソファに寝転ぶ。
ちょっといつもより遅いが、昼寝でもするか。
「おいで、抱っこしてやる。」
いつもは俺が康介の腕枕で寝てるが、今回は逆にした方が良いだろう。
そう思いながらした提案だったがどうやら正解だったらしく、康介は大人しく俺の腕の中に収まった。
ガチで元気無くしてやんの。
………悪かったな。
「ホラー観れんの?」
「観れない。怖いもん。お風呂入れなくなる。責任取ってもらうからね。」
「観せねぇよ。」
風呂入れなく責任とやらは是非とも取らせてもらいたいが、俺も実はホラーがそう得意な訳じゃないしな。
………格好悪ぃから暫くは黙っておくけど。
もぞもぞと康介を抱えたままブランケットを肩までかける。
俺の肩までかけたから康介はブランケットの中に入り込んでしまうが、嬉しそうにぷすぷす鼻を鳴らしてるから多分大丈夫だろう。
「暑くないか?」
「寒い。あっためて。」
落ち着け、落ち着け俺。
今コイツが言った言葉には、何の他意も無い。
あるとしたらガチで寒いって思ってる感情と、抱きしめてもらったら人肌で温まれるというもっともな打算だ。
つまり、大人のアレやコレは一切考えてない。
「じゃあもうちょいこっち来い。」
「ん。」
擦り寄ってきた康介を抱き締めて、コイツは猫なんだと自分自身に言い聞かせる。
猫だから寒いときに人間をあったかい棒だと思ってるし、猫だから平気で抱き着いてくるんだ。
猫だから仕方ない。
うん、仕方ない。
別に可愛くねぇ顔なのに可愛いと思っちまうのも、猫だから仕方ねぇ訳だよ納得。
「あったかい。」
「おう。よかったよかった。」
ぎゅうぎゅうと抱き着いてくる康介の額にキスをする。
嬉しそうに目を細めたから、コイツは絶対猫なんだと思うことでなんとか………なんとか俺の股間を落ち着かせることに努めた。
12
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。
【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました
及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。
※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19
俺のまったり生活はどこへ?
グランラババー
BL
異世界に転生したリューイは、前世での死因を鑑みて、今世は若いうちだけ頑張って仕事をして、不労所得獲得を目指し、20代後半からはのんびり、まったり生活することにする。
しかし、次代の王となる第一王子に気に入られたり、伝説のドラゴンを倒したりと、今世も仕事からは逃れられそうにない。
さて、リューイは無事に不労所得獲得と、のんびり、まったり生活を実現できるのか?
「俺と第一王子との婚約なんて聞いてない!!」
BLではありますが、軽い恋愛要素があるぐらいで、R18には至りません。
以前は別の名前で投稿してたのですが、小説の内容がどうしても題名に沿わなくなってしまったため、題名を変更しました。
題名変更に伴い、小説の内容を少しずつ変更していきます。
小説の修正が終わりましたら、新章を投稿していきたいと思っています。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
美形×平凡のBLゲームに転生した平凡騎士の俺?!
元森
BL
「嘘…俺、平凡受け…?!」
ある日、ソーシード王国の騎士であるアレク・シールド 28歳は、前世の記憶を思い出す。それはここがBLゲーム『ナイトオブナイト』で美形×平凡しか存在しない世界であること―――。そして自分は主人公の友人であるモブであるということを。そしてゲームのマスコットキャラクター:セーブたんが出てきて『キミを最強の受けにする』と言い出して―――?!
隠し攻略キャラ(俺様ヤンデレ美形攻め)×気高い平凡騎士受けのハチャメチャ転生騎士ライフ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる