1 / 6
1
しおりを挟む
俺には幼馴染が居る。
母子家庭で育った俺と、両親共に揃っているが仕事で滅多に帰って来ない幼馴染。
互いの親の利害が一致したのか、はたまた何か他に思惑があったのか。
気が付けば俺は母さんが仕事で留守をしている昼から深夜にかけては幼馴染の家で過ごし、寝る時に自分の家に帰るという生活をしていた。
明らかにおかしい生活ではあったが、それでも俺は別に困ったこともなければ嫌なこともなかった。
「ただいまー」
なんなら高校生となった今、俺にとっての家族は幼馴染だと思っている。
だからこそ、なんの迷いもなく幼馴染が待つ家の扉を開けるし、こうして帰りの挨拶を自然と口に出すのだ。
「おかえり、和史くん。」
パタパタとスリッパの音を立てながら、幼馴染が玄関まで出迎えてくれる。
申し訳ないなと思いつつも、だからこそ帰って来たって実感も出るし寂しくない。
俺が変にひねくれずに大人になれたのは、間違いなく彼のおかげだ。
「連絡くれたから間に合うようにご飯温めれたよ、ありがとう。」
「ううん、俺こそいつも美味しいご飯ありがとう。尊。」
ご飯を作ってもらってる身だし、帰りの時間を連絡するのは当たり前のことなのに、幼馴染………尊はいつも感謝してくれる。
尊は本当に優しいし、それでいて凄い。
そんな尊みたいな人間になりたくて、俺はちゃんと尊に感謝の言葉を口にするようにしている。
「ふふっ、そう言ってもらえると作り甲斐があるな。ほら、荷物は俺が部屋に置くから、早く手洗いうがいして。折角温めたご飯冷めちゃう。」
俺が去年の誕生日にあげたブラウンのエプロンを外しながら、尊は俺の鞄を持ってくれる。
いつも本当に申し訳ないなと思っている。
でも部活で消費しまくったカロリーを早く尊の美味しい料理で補充したい俺は、今日も今日とて尊の優しさに甘えて手洗い場へと急ぐのだった。
母子家庭で育った俺と、両親共に揃っているが仕事で滅多に帰って来ない幼馴染。
互いの親の利害が一致したのか、はたまた何か他に思惑があったのか。
気が付けば俺は母さんが仕事で留守をしている昼から深夜にかけては幼馴染の家で過ごし、寝る時に自分の家に帰るという生活をしていた。
明らかにおかしい生活ではあったが、それでも俺は別に困ったこともなければ嫌なこともなかった。
「ただいまー」
なんなら高校生となった今、俺にとっての家族は幼馴染だと思っている。
だからこそ、なんの迷いもなく幼馴染が待つ家の扉を開けるし、こうして帰りの挨拶を自然と口に出すのだ。
「おかえり、和史くん。」
パタパタとスリッパの音を立てながら、幼馴染が玄関まで出迎えてくれる。
申し訳ないなと思いつつも、だからこそ帰って来たって実感も出るし寂しくない。
俺が変にひねくれずに大人になれたのは、間違いなく彼のおかげだ。
「連絡くれたから間に合うようにご飯温めれたよ、ありがとう。」
「ううん、俺こそいつも美味しいご飯ありがとう。尊。」
ご飯を作ってもらってる身だし、帰りの時間を連絡するのは当たり前のことなのに、幼馴染………尊はいつも感謝してくれる。
尊は本当に優しいし、それでいて凄い。
そんな尊みたいな人間になりたくて、俺はちゃんと尊に感謝の言葉を口にするようにしている。
「ふふっ、そう言ってもらえると作り甲斐があるな。ほら、荷物は俺が部屋に置くから、早く手洗いうがいして。折角温めたご飯冷めちゃう。」
俺が去年の誕生日にあげたブラウンのエプロンを外しながら、尊は俺の鞄を持ってくれる。
いつも本当に申し訳ないなと思っている。
でも部活で消費しまくったカロリーを早く尊の美味しい料理で補充したい俺は、今日も今日とて尊の優しさに甘えて手洗い場へと急ぐのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。
可愛い男の子が実はタチだった件について。
桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。
可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け
罰ゲームで告白したら、一生添い遂げることになった話
雷尾
BL
タイトルの通りです。
高校生たちの罰ゲーム告白から始まるお話。
受け:藤岡 賢治(ふじおかけんじ)野球部員。結構ガタイが良い
攻め:東 海斗(あずまかいと)校内一の引くほどの美形
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる