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「ただいま!」
「………お邪魔します。」
「おかえりなさい、望。祐希くんもいらっしゃい。」
お家に帰ったらお姉ちゃんが待っていて、祐希くんと楽しそうに話しながらお姉ちゃんのお部屋に行った。
寂しいけれど、仕方ない。
祐希くんはお姉ちゃんが大好きなんだから。
お姉ちゃんも祐希くんが大好きだから、りょうおもいなんだってクラスの子達がいってた。
こいびとだからジャマしちゃいけないって、おかあさんとお父さんもいってた。
「ただいま。」
僕はお部屋に入って、制服をちゃんと着替える。
最近ちゃんと一人でできるようになったよ。
でもみんな当たり前にしていることで、僕がバカだからできてないのはとても悪いことだから、誰もほめてくれない。
みんな、お父さんもお母さんもお姉ちゃんも僕が嫌いだから、しかたないんだ。
「ただいま、こーきくん。今日もね、ちゃんとおべんきょうしてきたよ。」
お洋服に着替えて、ベッドで寝ているこーきくんに話しかける。
こーきくんはお人形だ。
お人形に話しかけるのは頭がおかしいからしちゃダメなんだけど、でも僕のお部屋は僕しか居ないし小さなお声だからだいじょうぶ。
僕とこーきくんだけの、ひみつの時間だ。
こーきくんはなにも喋ってくれないけど、お人形だから喋れないだけ。
みんな僕のことを見ると嫌な顔するけど、こーきくんは僕と目を合わせてもにっこりと笑ってくれる。
こーきくんだけが、僕の味方。
「でね、今日もね、おそとの時間でころんでね………」
こーきくんはお人形だから喋れないけど、僕はそれでいいんだと思ってる。
本当はこーきくんも僕のことが嫌いだって、ちゃんとしってる。
だから喋らないで欲しい。
クラスの子達みたいなことをこーきくんにまで言われたら、僕はしんでしまうかもしれない。
「ねえ、みてこーきくん。僕、ボタンちゃんととめれるんだよ。」
ちょっと前まではどうしても段違いになってたけど、でも今日はちゃんとできた。
こーきくんは僕のことを褒めてくれないけど、にっこりと笑ってくれる。
こーきくんのお顔だから。
「祐希くんがね、今日も僕に話しかけてくれたの。」
祐希くんは本当は嫌だって知ってるけど、僕はすごく嬉しかった。
男の子が男の子を好きになるのはおかしなことだけど、僕は祐希くんが大好きだった。
だけどこれはいけないことだから、僕は祐希くんには絶対に言わない。
これ以上、メイワクかけちゃダメだから。
「こーきくんと僕が逆さまだったらよかったのに。」
僕がお人形さんで、こーきくんが男の子。
そうしたら僕はみんなに嫌われなくてよかったかもしれないし、こーきくんだってお顔が笑顔以外になれたかもしれない。
それに、僕みたいなのに話しかけられることもないのに。
「こーきくん、可哀想。」
こーきくんの髪の毛を、よしよししてあげる。
僕は誰からもよしよしされないけど、それは僕がバカだからしかたないことなんだ。
でもこーきくんはこんなにもおりこうなのに、僕がひろったせいで僕しかよしよしする人がいない。
こーきくんは可哀想。
僕よりもずっとずっと、可哀想。
「………お邪魔します。」
「おかえりなさい、望。祐希くんもいらっしゃい。」
お家に帰ったらお姉ちゃんが待っていて、祐希くんと楽しそうに話しながらお姉ちゃんのお部屋に行った。
寂しいけれど、仕方ない。
祐希くんはお姉ちゃんが大好きなんだから。
お姉ちゃんも祐希くんが大好きだから、りょうおもいなんだってクラスの子達がいってた。
こいびとだからジャマしちゃいけないって、おかあさんとお父さんもいってた。
「ただいま。」
僕はお部屋に入って、制服をちゃんと着替える。
最近ちゃんと一人でできるようになったよ。
でもみんな当たり前にしていることで、僕がバカだからできてないのはとても悪いことだから、誰もほめてくれない。
みんな、お父さんもお母さんもお姉ちゃんも僕が嫌いだから、しかたないんだ。
「ただいま、こーきくん。今日もね、ちゃんとおべんきょうしてきたよ。」
お洋服に着替えて、ベッドで寝ているこーきくんに話しかける。
こーきくんはお人形だ。
お人形に話しかけるのは頭がおかしいからしちゃダメなんだけど、でも僕のお部屋は僕しか居ないし小さなお声だからだいじょうぶ。
僕とこーきくんだけの、ひみつの時間だ。
こーきくんはなにも喋ってくれないけど、お人形だから喋れないだけ。
みんな僕のことを見ると嫌な顔するけど、こーきくんは僕と目を合わせてもにっこりと笑ってくれる。
こーきくんだけが、僕の味方。
「でね、今日もね、おそとの時間でころんでね………」
こーきくんはお人形だから喋れないけど、僕はそれでいいんだと思ってる。
本当はこーきくんも僕のことが嫌いだって、ちゃんとしってる。
だから喋らないで欲しい。
クラスの子達みたいなことをこーきくんにまで言われたら、僕はしんでしまうかもしれない。
「ねえ、みてこーきくん。僕、ボタンちゃんととめれるんだよ。」
ちょっと前まではどうしても段違いになってたけど、でも今日はちゃんとできた。
こーきくんは僕のことを褒めてくれないけど、にっこりと笑ってくれる。
こーきくんのお顔だから。
「祐希くんがね、今日も僕に話しかけてくれたの。」
祐希くんは本当は嫌だって知ってるけど、僕はすごく嬉しかった。
男の子が男の子を好きになるのはおかしなことだけど、僕は祐希くんが大好きだった。
だけどこれはいけないことだから、僕は祐希くんには絶対に言わない。
これ以上、メイワクかけちゃダメだから。
「こーきくんと僕が逆さまだったらよかったのに。」
僕がお人形さんで、こーきくんが男の子。
そうしたら僕はみんなに嫌われなくてよかったかもしれないし、こーきくんだってお顔が笑顔以外になれたかもしれない。
それに、僕みたいなのに話しかけられることもないのに。
「こーきくん、可哀想。」
こーきくんの髪の毛を、よしよししてあげる。
僕は誰からもよしよしされないけど、それは僕がバカだからしかたないことなんだ。
でもこーきくんはこんなにもおりこうなのに、僕がひろったせいで僕しかよしよしする人がいない。
こーきくんは可哀想。
僕よりもずっとずっと、可哀想。
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