君の好きなものを、全部

かかし

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夢でも俺の君で居て

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「今日こそは!一緒に寝ます!!!!」
「そもそも婚姻前の男女を一緒に寝かせる訳ないでしょう?さぁ、今夜も一緒に寝ましょうね。」

今日こそは、今日こそはと高らかに宣言してみれば、母上から呆れ顔の正論を言われた。
ひぃん。
風呂入ってる仲なのに………!とは思うが、それをここで口に出したらそれすら奪い取られてしまう。
俺はグッと堪えながら、寂しそうな表情で俺に手を振るソフィアに手を振り返した。

「ズルい………!」
「堪えきれてなくってよ。」

でも寂しいものは寂しいし、悲しいのは悲しい。
思わず蹲る俺に母上が冷たい目で見下してきたが、そんなもん無視だ無視。
でもさ、別に一緒に寝る位良くないか?
手を出さなきゃイイ訳だろ?
抱ける訳ないじゃん、ちょっと力入れたら折れそうな身体してんのに。
大事にしたいの!俺は!!!

「ユ、ユージーン様………」
「全部口から出てるわよ、バカ息子。世間体というものを知りなさい。」

そりゃな、そりゃな。
貴族である以上世間体って大事だよな、とっても大事。
そう思いながら少し体を起こしてソフィアに手を伸ばせば、素直に俺の所へ駆け寄ってくれる。
可愛い。
この子抱っこして寝たい。
世間体とかクソだろマジで。

「少なくとも、夜会が終わるまで我慢なさい。」
「………はぁい。」

前世の某住宅メーカーのマスコットの声みたいな返事をし、渋々ソフィアを軽く抱き締めるだけで終わる。
俺の開発した美容品のおかげか、良い匂いがするようになった。
後はご飯食べれるようにして、健康的な肉を付けよう。
日焼けは火傷なのでさせないようにしたいけど、日光はビタミン精製などに必要だから日光浴や散歩は大事。
日焼け止めの開発を急ごう。
どうせまだ急激な運動は出来ないから、室内でのストレッチがメインだしな。

「お休みなさい、ユージーン様。」
「お休みソフィア。俺の夢を見てね。」

夢でも会いたい、だなんて。
前世でも今世でも鼻で笑い飛ばしていたような表現だったが、俺は本気でそう思ってしまった。
夢でも会いたいし、夢でも俺に会って欲しい。
何なら夢でもイチャイチャしたい。
そんな思いを込めながら少しだけぎゅっとして、母上に怒られる前に身体を離した。
一回だけ、ソフィアの頭にキスをして。

「はい、お終い。とっととお休みなさい、ユージーン。」
「ううぅ………お休みなさい、母上。」

無慈悲に引き裂かれ、犬猫を追い払うように手を払われる。
尚、ここまで無言の父上だが、今日も母上と一緒に寝れないから階段の隅で蹲って泣いている。
俺はどうやら自分で思っている以上に父親似らしい。
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