君の好きなものを、全部

かかし

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そもそも俺は元から学校が嫌い

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風呂に入って、飯食って………
その後やることなんて一つだろ?
一緒に寝る!
勿論、健全な意味でなぁ!!!!

………そう思っていたのに、母上がソフィアと一緒に寝たいと言い出した上に、ソフィアも満更でもない表情を浮かべたものだから俺も、母上と一緒に寝る予定だった父上も泣く泣く諦めた。
因みに父上はガチ泣きしてたし、多分泣いて夜を過ごしたと思う。
朝になって食卓に座ってる父上の目が腫れてたから間違いない。
母上のこと大好き過ぎるだろ………俺もああなるんかな。

「そういえばね、ヴィストリア男爵家から婚約の打診が来てたのよ。お断りしちゃって良いのよね。」
「いつ。」
「今朝。郵便物漁ってたら見付けたの。」

ソフィアの居る朝食の場で言って良いことじゃないだろ。
何だ、試してるのか?
ソフィアのその不安げな上目遣いも含めて俺を試しているのか?
すっき。

「俺にはソフィアしか要らないので、破棄してください。」
「【居ない】、じゃなくて【要らない】なのね。そういうとこなのよ。」

ソフィアの髪を撫でながらそう言えば、母上の呆れたような溜息が聞こえたけど気にしない。
胃が小さいからか、お椀に半分のオートミールに苦戦してる姿が愛らしいので、俺はそんなソフィアを愛でるので大変忙しいのだ。
邪魔しないでもらえますー?

―――まあ、ソフィアと出会ってなかったとしても、俺は絶対にソイツと婚約しないけど。

ヴィストリア男爵家は、本来の俺が婚約する予定だった家………つまり、ヒロインの親友が居る家だ。
関わってたまるかよ。
元々ソフィアとの婚約だって、ソイツと関わりたくなかったからやった訳だしな。
あっ。

「ソフィア、ストップだ。無理しなくて良い。」
「………あっ、申し訳ございません。」

お腹いっぱいなのに、お椀の中身を無理に空にしようとしたソフィアを止める。
確かに残すのは宜しくないが、暫くはソフィアの胃の許容具合を見たいというのもあって元々多めに入れているし、無理して食って吐いたら後悔するのはソフィアだ。

「いーよ。美味しかった?」
「はい!とても………昨日のリゾットも、美味しかったです!」

目をキラキラと輝かせながら言うソフィアに、今日も俺の心臓が元気に止まりました本当にありがとうございます。
どうやったこんな素直で純粋で可愛い子ができるの?
ホント好き。
ずっとぎゅってしてあげたくなる。

「ソフィアとの婚約発表も兼ねて、お断りの返事を送って良いかい?」
「勿論ですとも!是非是非!俺も学園で自慢します!」

父上の言葉に頷きながら、ソフィアのお椀の残りを食べる。
残飯を食べるなんてとソフィアが慌てたが、無視だ無視。
マナー的には宜しくなかろうが、ソフィアの身体が安定するまでは無礼講だ。

「お、流石俺だな。美味い。」

味付けも丁度良し。
今度飲食業も手を出すか?
でも衛生管理とか面倒だしな。

「さて、ソフィアちゃんは私とマナーのお勉強ね。ユージーンはさっさと学園に行って来なさい。」
「えぇっ!?ソフィアを置いて学園に行けと!?」
「当たり前なんだよねー。気持ちはすごく分かるけど。」

紅茶を飲みながら遠い目をする父上に、そういえば父上と母上も政略ではあるが父上自身はめちゃくちゃ惚れてる状態だったって言ってたなと思い出した。
母上の方が一つ年下だったから、学園内でも離れなくてはいけなくてやきもきしまくったともよく言っていた。
母上大好きマンだから、今はほぼ一緒に居るといえ思い出しちゃうんだろうな。

「仕方ない。今日の所は父上に免じて我慢します。」
「一日しか免じてもらえないのか。」
「行って来ます、ソフィア。」
「はい、頑張ってください。」

頬にキスを落とせば、顔を真っ赤にしながらも俺の真似をして頬にキスをしてくれる。
最高では?
あーあ、ますます行きたくない。
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