5 / 10
序章
5
しおりを挟む
「じゃあ、行ってくるね。」
「終わり次第すぐ迎えに行くからな。」
「はい!いってらっしゃい!」
お父さんとお母さん、それからアレックスに手を振りながらお見送りをする。
その間、僕の手はルイスに繋がれていた。
ルイスはいつも、僕の左側に立ってくれる。
外でも、ルイスの家で遊ぶ時も。
「いつもありがとう。」
「何が?」
「遊んでくれたり、僕の左側に立ってくれたり。」
握られた手に少しだけ力を込めながら、素直にお礼を言う。
左側が見えないから、危ないことや怖いことが左側で起きてると気付きにくくて巻き込まれることが多い。
だからこうしてルイスが立ってくれることはすごく嬉しくて、でも同じくらい申し訳ないなと思う。
だって、その分負担をかけてる訳だから。
ルイスと僕は、同じ年なのに………
「俺が好きにしてることだから、気にしなくて良いんだよ。」
「でも………」
ルイスはいつもそう言って笑ってくれるけど、お荷物なんじゃないかなと思う。
だって、僕が左側に気付けないからルイスに気を付けてもらわないといけないし、遊ぶにしても外遊びが出来ないからいつも家の中だし。
ルイスは本当は外遊びが大好きなのは知ってる。
本当は他の友達に誘われていることも。
「んー、気になるならさ、一つだけお願い聞いて欲しいな。」
「なになに!?僕の出来ることならやりたい!」
「ふふっ、ウィリアムにしか出来ないことだよ。」
優しげな瞳で、ルイスが笑う。
まるで年上の知らないお兄さんのように見えて、ドキドキしてしまう。
歩きながらお話してたから、もうルイスのお家は目の前だ。
早く入ろうって言って誤魔化すこともできたけど、でも、それは違うと思うからルイスの目を見つめたままドキドキする気持ちを耐える。
「ウィリアムの左側に立つのは、ずっと俺優先で居させて欲しい。」
「ふえ?」
けどそんなドキドキする中で言われたのは、そんな簡単でちょっとなぞなこと。
だって、ルイスに負担かけるお詫びに聞くお願いなのに、どうしてその負担に思うだろうことを?
よく分からなくて首を傾げると、ルイスが一瞬だけ僕の手を離したかと思ったら、今度は両手で僕の左手を持ち上げて触れてしまうギリギリまで口に寄せた。
物語に出てくる、騎士様がお姫様に誓いをするようなシーンにも似ててまたドキドキが始まってしまう。
「本当は俺だけにして欲しいけど、それは難しいから………でも、俺が居る時は俺が優先。良い?」
「う、うん………分かった………」
ルイスの勢いに押されて、思わず頷いてしまう。
いや、ルイスがそれで良いんだったら僕としてはすごく嬉しい。
ルイスの双子の弟であるキャロルだったり、他の人だったりが僕の左側に立つことはあるけど、家族以外だとルイスとキャロルが一番緊張しないでいれる程に信頼できる相手だから………。
「でも、それってキャロルと居る時も?」
「というか、普通にキャロルと俺が居るなら俺を優先して。」
気になったことを聞けば、バッサリと切り捨てるようにそう言われた。
普段仲良しなのに、あまりのバッサリ加減に一瞬ポカンと口を開いてしまったが、その表情が僕でも分かるくらいにスネていたので思わず笑ってしまいそうになる。
―――さっきまで、あんなに騎士様みたいだったのに。
「………呆れてる?」
「ううん。むしろ、好きだなって思った。」
ちょっと遠く感じた距離が、また元に戻る。
まぁ、遠く感じてたのは僕の一方的な考えなんだけど。
「す、き?」
「うん、好き。ルイスのこと、好きだよ。………ダメだった?」
そう思いながら素直に好きと伝えたら、今度は何故かルイスの方がポカンとした顔をしたので不安になってしまう。
僕、何か間違えたこと言ったのだろうか?
好きって言われるの、嫌だったろうか。
「ダメじゃない!ダメじゃないよ!俺もウィリアムのこと好きだから!!」
そんな不安が伝わったのか、ルイスは僕の両手をギュッと握って力強くそう言ってくれた。
嬉しいけど、勢いにビックリしてしまう。
まるでこの間のカミナリみたいな激しさだ。
「う、うん!ありがとう!そろそろお家入ろう?」
ビックリはしたけど、好きだと言ってもらえるのはとても嬉しい。
たとえそれが、嘘だとしても。
「終わり次第すぐ迎えに行くからな。」
「はい!いってらっしゃい!」
お父さんとお母さん、それからアレックスに手を振りながらお見送りをする。
その間、僕の手はルイスに繋がれていた。
ルイスはいつも、僕の左側に立ってくれる。
外でも、ルイスの家で遊ぶ時も。
「いつもありがとう。」
「何が?」
「遊んでくれたり、僕の左側に立ってくれたり。」
握られた手に少しだけ力を込めながら、素直にお礼を言う。
左側が見えないから、危ないことや怖いことが左側で起きてると気付きにくくて巻き込まれることが多い。
だからこうしてルイスが立ってくれることはすごく嬉しくて、でも同じくらい申し訳ないなと思う。
だって、その分負担をかけてる訳だから。
ルイスと僕は、同じ年なのに………
「俺が好きにしてることだから、気にしなくて良いんだよ。」
「でも………」
ルイスはいつもそう言って笑ってくれるけど、お荷物なんじゃないかなと思う。
だって、僕が左側に気付けないからルイスに気を付けてもらわないといけないし、遊ぶにしても外遊びが出来ないからいつも家の中だし。
ルイスは本当は外遊びが大好きなのは知ってる。
本当は他の友達に誘われていることも。
「んー、気になるならさ、一つだけお願い聞いて欲しいな。」
「なになに!?僕の出来ることならやりたい!」
「ふふっ、ウィリアムにしか出来ないことだよ。」
優しげな瞳で、ルイスが笑う。
まるで年上の知らないお兄さんのように見えて、ドキドキしてしまう。
歩きながらお話してたから、もうルイスのお家は目の前だ。
早く入ろうって言って誤魔化すこともできたけど、でも、それは違うと思うからルイスの目を見つめたままドキドキする気持ちを耐える。
「ウィリアムの左側に立つのは、ずっと俺優先で居させて欲しい。」
「ふえ?」
けどそんなドキドキする中で言われたのは、そんな簡単でちょっとなぞなこと。
だって、ルイスに負担かけるお詫びに聞くお願いなのに、どうしてその負担に思うだろうことを?
よく分からなくて首を傾げると、ルイスが一瞬だけ僕の手を離したかと思ったら、今度は両手で僕の左手を持ち上げて触れてしまうギリギリまで口に寄せた。
物語に出てくる、騎士様がお姫様に誓いをするようなシーンにも似ててまたドキドキが始まってしまう。
「本当は俺だけにして欲しいけど、それは難しいから………でも、俺が居る時は俺が優先。良い?」
「う、うん………分かった………」
ルイスの勢いに押されて、思わず頷いてしまう。
いや、ルイスがそれで良いんだったら僕としてはすごく嬉しい。
ルイスの双子の弟であるキャロルだったり、他の人だったりが僕の左側に立つことはあるけど、家族以外だとルイスとキャロルが一番緊張しないでいれる程に信頼できる相手だから………。
「でも、それってキャロルと居る時も?」
「というか、普通にキャロルと俺が居るなら俺を優先して。」
気になったことを聞けば、バッサリと切り捨てるようにそう言われた。
普段仲良しなのに、あまりのバッサリ加減に一瞬ポカンと口を開いてしまったが、その表情が僕でも分かるくらいにスネていたので思わず笑ってしまいそうになる。
―――さっきまで、あんなに騎士様みたいだったのに。
「………呆れてる?」
「ううん。むしろ、好きだなって思った。」
ちょっと遠く感じた距離が、また元に戻る。
まぁ、遠く感じてたのは僕の一方的な考えなんだけど。
「す、き?」
「うん、好き。ルイスのこと、好きだよ。………ダメだった?」
そう思いながら素直に好きと伝えたら、今度は何故かルイスの方がポカンとした顔をしたので不安になってしまう。
僕、何か間違えたこと言ったのだろうか?
好きって言われるの、嫌だったろうか。
「ダメじゃない!ダメじゃないよ!俺もウィリアムのこと好きだから!!」
そんな不安が伝わったのか、ルイスは僕の両手をギュッと握って力強くそう言ってくれた。
嬉しいけど、勢いにビックリしてしまう。
まるでこの間のカミナリみたいな激しさだ。
「う、うん!ありがとう!そろそろお家入ろう?」
ビックリはしたけど、好きだと言ってもらえるのはとても嬉しい。
たとえそれが、嘘だとしても。
69
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
君が好き過ぎてレイプした
眠りん
BL
ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。
放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。
これはチャンスです。
目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。
どうせ恋人同士になんてなれません。
この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。
それで君への恋心は忘れます。
でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?
不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。
「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」
ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。
その時、湊也君が衝撃発言をしました。
「柚月の事……本当はずっと好きだったから」
なんと告白されたのです。
ぼくと湊也君は両思いだったのです。
このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。
※誤字脱字があったらすみません
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
コパスな殺人鬼の兄に転生したのでどうにか生き延びたい
ベポ田
BL
高倉陽介
前世見ていた「降霊ゲーム」の世界に転生した(享年25歳)、元会社員。弟が作中の黒幕殺人鬼で日々胃痛に悩まされている。
高倉明希
「降霊ゲーム」の黒幕殺人鬼となる予定の男。頭脳明晰、容姿端麗、篤実温厚の三拍子揃った優等生と評価されるが、実態は共感性に欠けたサイコパス野郎。
魔王様の瘴気を払った俺、何だかんだ愛されてます。
柴傘
BL
ごく普通の高校生東雲 叶太(しののめ かなた)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。
そこで初めて出会った大型の狼の獣に助けられ、その獣の瘴気を無意識に払ってしまう。
すると突然獣は大柄な男性へと姿を変え、この世界の魔王オリオンだと名乗る。そしてそのまま、叶太は魔王城へと連れて行かれてしまった。
「カナタ、君を私の伴侶として迎えたい」
そう真摯に告白する魔王の姿に、不覚にもときめいてしまい…。
魔王×高校生、ド天然攻め×絆され受け。
甘々ハピエン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる