貴方に幸せの花束を

かかし

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後編

あかのらくえん(※残虐描写有)

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『レオ!!』

愛しい声が聞こえたのと、ほぼ同時だった。
ぐしゃりと、固いものを潰したような音がしたのは。
目の前に居たのは、さっきまで距離があった筈のルイの姿。
赤黒く染まり、肉片が飛び散っている。

何が………何が起きた?

否、何が起きたかなんて分かっている。
振り下ろされ、赤を纏った父の鞘。
傷一つ何も無い、俺。

『ルイ………ルイ………?』

だけど、認めたくない。
そんなの、おかしいだろ。
だって俺が全ての元凶だ。
親友が死んだのも、ルイの家族がこんなにも非人道的な方法で殺されたのも………全部全部俺の所為なのに………。
そんな俺を庇って最愛の人が死ぬなんてそんなこと………!

『ふんっ、余計なことしおって………まぁいい。処分する手間が省けた。』

二度とルイは笑ってくれない。
二度とルイは触れてくれない。
二度とルイは、俺やドムを呼んでくれない。

そんなルイに対して、父はそう言って唾を吐こうとする。
コイツは、どこまで性根が腐っているんだ?
こんな奴と血が繋がっていることも、こんな奴の汚い唾がルイやドムに掛けられるのも耐えられない。

―――それは一瞬だった

立ち上がり父の身体を蹴り飛ばしルイから遠ざけると、慌てて駆け寄って来た兵士から剣を奪い、ついでに命も奪っておく。
全て自然な動作で、特に意識することなく行うことが出来た。
吐き気がする程の魔力が溢れて止まらない。
ルイやドムを、そしてルイの家族を傷付けないようにゆっくりと剣に魔力を込める。

そこには殺意しかなかった。

愚王には死を。
俺を含めたそんな王に従うしか能の無かった者達には罰を。
その想いのまま、俺は父だった男の腹を裂き、腸を引き摺り出した。
その光景を見て無様にも逃げ果せようとする兵士達の首根っこを掴み、腕を、足を刎ねる。
誰一人、楽に殺させはしない。

断末魔を、咆哮で搔き消していく。
気が付けば、朝陽が処刑場を美しく照らしていた。

噎せ返る程の血の臭いの中で、死体だらけのこの場所で。
俺はただ血塗れでもはや切れ味の保てなくなった剣を握り締めたまま呆然とした。
耳の奥で金属を擦っているような音が聞こえる。
考えが纏まらない。
思考が追い付かない。

どうしたら良かったのだろう。
何が正解だったのだろう。
俺はただ、ルイとドムが幸せならそれで良かったのに………

『………約束、守らなきゃ………』

動けないルイとドムを担いで、あの子が待つ場所に足を運ぶ。
夜更かしの約束は守れなかったけど、お昼寝で手打ちにしてもらおう。






































俺と、ルイと、ドムと、あの子の四人で。
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