貴方に幸せの花束を

後編

おてがみ

拝啓 名も知らぬ貴方へ

この度はお手紙を頂き、誠にありがとうございます。
家族以外の誰かから頂くのは初めてで、至らない所や見難い所も多々あると思いますが、どうかご容赦ください。

あと、こうしてたくさんの好きを頂けたのも、初めてでした。
すごくすごく、嬉しかったです。

でも僕は、貴方のことを何も知りません。
名前も、どういう方なのかも。

誰なのかが知りたい訳ではないのです。
貴方が名乗りたくない。
知られたくないというのならば、僕は無理に暴いたりしません。

ただ僕は、貴方ともう少しお話がしたいと思ったんです。

貴方は何色が好きですか？
僕は淡い青色が好きです。
貴方から頂いた封筒や便箋と、同じ色です。

貴方はどんな食べ物が好きですか？
僕は食堂のエッグベネディクトが好きです。
スコッチエッグも好き。
卵が好きです。

貴方はお花は好きですか？
僕は好きです。
種類とかは分からないけど、小さいお花が好きです。

そんな些細なことを知りたいです。

貴方と同じ気持ちを返せるかと言われれば、出来ないとは思います。
僕はどうしても好きな人が居ます。
その人は僕のことを嫌っているけれど、ずっとずっと、すごく好きな人だったから。
でも僕はそれでも、貴方のことをもっと知りたいと、そう感じました。

ひどいことをしているとは、分かってます。
でも僕は、貴方のその勇気を捨てることがどうしても捨て置くことが出来なかったのです。
勝手ばかりでごめんなさい。

けれどもし
もしもう少しだけでも僕とお手紙を続けて頂けるのであれば、また僕の机の中に入れて頂けませんか？
お手紙の中で、貴方と会話がしてみたいのです。

ルイ・アルシェントより