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中編
明日からが大変だぞ
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ザーザーと、音がする。
激しい砂嵐のような、穏やかな波のような音。
視界が歪む。
ぐらぐらと、足元ごと揺れているような―――
「………大丈夫?」
「………はっ!えっ!?」
ヘクターくんの声で、ハッとする。
気が付けば部屋の中。
リビングらしき所で二人でお茶をしていた。
アレ?
僕、荷物をどこにやったっけ………?
しかもこのお茶、誰が用意したの?
「急にぼぅっとするから、ビックリしちゃった。」
「ご、ごめんね?えっと、何の話だったっけ?」
お互い自己紹介したのは覚えている。
けれど、それから後のことが思い出せない気がする。
何を話して、どうしてここに居るのかとか全然思い出せない。
「ふはっ、どこまで覚えてる?」
「えっと………」
そう思ってたら表情に出てたのか、ヘクターくんが楽しそうに笑いながらそう聞いてくれた。
どこまでって、正直に言っても良いんだろうか?
不快に思わないだろうか?
そう思ってヘクターくんのお顔をチラ見する。
にこにこと、楽しそうだ………
「お名前言い合ったとこ、までしか………」
「おやおや。だいぶ最初の方だね。」
最初の方なのか。
そんなに時間経ってしまってるのか。
本当に申し訳ない。
「ごめんなさい………」
「いーよいーよ、疲れてたんでしょ?改めまして、自己紹介しよう。」
しょんぼりとしてしまう僕の頭を撫でて、ヘクターくんが笑う。
良い人だなぁ。
僕はそう思いながら、何度も頷く。
僕も自己紹介したい。
「僕はヘクトール。ヘクトール・モルゲート。しがない商人の息子で、君の同室者だよ。」
「僕はルイ・アルシェント。アルシェント家の次男です!え?同室者?」
「ふはっ、そー。僕と君は同室者です。」
ビックリした?とヘクターくんが笑う。
すごくビックリした。
そして僕は同室者に即迷惑を掛けてしまったのかと思うと、本気で申し訳ないし恥ずかしい。
「嬉しい?」
「嬉しい!すっごく!」
「ふはっ、それは良かった。」
ヘクターくんの問いに、僕は力いっぱい頷いた。
嬉しいのは間違いない。
だってまだ僕的に数分しか一緒に居ないけど、こうして話をするのがすごく楽しいんだ。
そんな彼が同室だなんて、嬉しい以外のなにものでもない。
だからこそ、恥ずかしいし申し訳ないんだけどさ。
「これから宜しくね。」
「うん!よろしく!」
そこから僕らはとりとめのない話をした。
何が好き?とか、どういう授業するのか楽しみだねとか、そんなの。
視界の端にまだ荷解きの終わってない荷物があったけど、ちょっとだけ二人でチラ見して見なかったフリをした。
明日からが大変だぞと笑い合いながら夕飯の時間まで。
そんな話をしていると、さっき見たような気がする白昼夢はすっかり忘れてしまっていた。
激しい砂嵐のような、穏やかな波のような音。
視界が歪む。
ぐらぐらと、足元ごと揺れているような―――
「………大丈夫?」
「………はっ!えっ!?」
ヘクターくんの声で、ハッとする。
気が付けば部屋の中。
リビングらしき所で二人でお茶をしていた。
アレ?
僕、荷物をどこにやったっけ………?
しかもこのお茶、誰が用意したの?
「急にぼぅっとするから、ビックリしちゃった。」
「ご、ごめんね?えっと、何の話だったっけ?」
お互い自己紹介したのは覚えている。
けれど、それから後のことが思い出せない気がする。
何を話して、どうしてここに居るのかとか全然思い出せない。
「ふはっ、どこまで覚えてる?」
「えっと………」
そう思ってたら表情に出てたのか、ヘクターくんが楽しそうに笑いながらそう聞いてくれた。
どこまでって、正直に言っても良いんだろうか?
不快に思わないだろうか?
そう思ってヘクターくんのお顔をチラ見する。
にこにこと、楽しそうだ………
「お名前言い合ったとこ、までしか………」
「おやおや。だいぶ最初の方だね。」
最初の方なのか。
そんなに時間経ってしまってるのか。
本当に申し訳ない。
「ごめんなさい………」
「いーよいーよ、疲れてたんでしょ?改めまして、自己紹介しよう。」
しょんぼりとしてしまう僕の頭を撫でて、ヘクターくんが笑う。
良い人だなぁ。
僕はそう思いながら、何度も頷く。
僕も自己紹介したい。
「僕はヘクトール。ヘクトール・モルゲート。しがない商人の息子で、君の同室者だよ。」
「僕はルイ・アルシェント。アルシェント家の次男です!え?同室者?」
「ふはっ、そー。僕と君は同室者です。」
ビックリした?とヘクターくんが笑う。
すごくビックリした。
そして僕は同室者に即迷惑を掛けてしまったのかと思うと、本気で申し訳ないし恥ずかしい。
「嬉しい?」
「嬉しい!すっごく!」
「ふはっ、それは良かった。」
ヘクターくんの問いに、僕は力いっぱい頷いた。
嬉しいのは間違いない。
だってまだ僕的に数分しか一緒に居ないけど、こうして話をするのがすごく楽しいんだ。
そんな彼が同室だなんて、嬉しい以外のなにものでもない。
だからこそ、恥ずかしいし申し訳ないんだけどさ。
「これから宜しくね。」
「うん!よろしく!」
そこから僕らはとりとめのない話をした。
何が好き?とか、どういう授業するのか楽しみだねとか、そんなの。
視界の端にまだ荷解きの終わってない荷物があったけど、ちょっとだけ二人でチラ見して見なかったフリをした。
明日からが大変だぞと笑い合いながら夕飯の時間まで。
そんな話をしていると、さっき見たような気がする白昼夢はすっかり忘れてしまっていた。
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