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第51話
しおりを挟む「あー、なんかフラフラするぅ」
「血、流し過ぎ。当たり前」
「そうよねぇ」
こっそりとホテルの部屋に戻り、ベッドに横たわる。
早くレベッカに無事だということを知らせないと。
私はホテルに備え付けられてる電話を手にして、フロントに掛けた。
「……あ、フロントですか。私、あ、はい。そうです。それで、レベッカはまだ戻ってないですよね? え、あー私は途中で忘れ物して引き返してて……はい、はい。レベッカに私が部屋で待ってると伝えてほしくて……すみません、お願いできますか? よろしくお願いします」
電話を切り、私は深く息を吐き出した。
ホテルの人が王宮にいるレベッカに私がここにいることを伝えに行ってくれるそうだ。外は騒ぎで混乱しているので、私には部屋で大人しくしててくれと。
まぁその騒ぎの中心にさっきまでいたんだけどね。
「シャルは無事かしら……」
「シャル、生きてる。怪我、ない」
「本当? よかった……」
「魔術師の気配、消えた。もう、攻撃、しない」
「そう。ごめんね、私が怪我なんかしなければノヴァが追えたのに……」
「反省、して」
「ごめんって……もっと周りを注意して行動するべきだったわ」
あの時はシャルを安全な場所に避難させることしか考えてなかった。
私は絶対に大丈夫。そう信じて疑わなかった。周りに自分の正体がバレないかどうかだけが心配で、自分の身の安全なんて考えていなかった。
もっと最善策があったはず。その場から動かずに周りにあったテーブルとかを盾にするとか。とにかく防御に徹して、ノヴァが犯人を捕まえるのを待つとか、とにかくもっといい手があったかもしれない。
ノヴァは私の血の臭いに気付いて戻ってきてくれたのよね。あれだけ派手な魔法を使ったんだもの。きっと敵も魔力を切らして動けなかったかもしれないのに。
犯人を捕まえる機会を逃してしまった。
レベッカやツヴェルに協力してもらったのに、私がヘマしてどうするのよ。
情けない。物凄く、情けないわ。
「駄目ね、私。レベッカがあれだけ心配してくれたのに」
「……レベッカ、言った。何かあったら、お前を守れ、って」
「え?」
「ベル、寝てるとき。レベッカ、ベルは自分を守らない。それ、悲しいって。だから、俺が、絶対に、守って。言ってた」
「そんなことを……そっか。私のことを、みんなが守ってくれたのね」
「これに懲りたら、馬鹿なことしない。反省する。危険なことしない」
「は、はい……」
「理解、した?」
「しました! わかってます! みんなが悲しむようなことはしません!」
私だってまた足に何度も穴を空けられたら嫌だもの。
それにしても、今回もまた魔法弾。前回のは依頼された暗殺者だった。
じゃあ、今回もそうだったのかしら。
それか、もしかしたら禁止されている魔法具?
人を殺そうとしてるんだから違法なことをしてても別におかしくない。
ああ、本当に私がこんな怪我なんかしなければ犯人の跡を追えたのに。悔しい。
シャルを守ろうとしてる私がこんなことで躓いていたら駄目なのに。
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