上 下
14 / 76

14.かわいい天使の落とし方【Side:アーネスト】

しおりを挟む
 やっほー!みんなの攻略対象アーネストだよ!
 あ、ウッソ。レニたんだけのスーパーダーリン、アーネストでっす!
 


 いやー、レニたんとのプレ新婚旅行、まじ最高だわ。
 ちょっとゴ……(口にもしたくない)以下の虫けら野郎にレニたんを攫われそうになったりアクシデントはあったけど、それ以外はめちゃくちゃ平和。
 レニたんを怖い目に遭わせた奴等をあんな楽に逝かせちゃったのは我ながら生ぬる過ぎたけど、あんなクソ共のために貴重な蜜月を無駄にするとか勿体なさ過ぎてできんし、レニたん優しいから指一本ずつ落とすところから始めたりしたら、怖がられちゃうしね。
 あれ以来、レニたんをお膝に乗せて馬車に乗れるようになったし、外で歩いてもさりげなく俺から離れないように自分から寄ってきてくれるようになったりして、俺にもメリットあったから、まあご褒美ってやつかな?

 結果オーライとはいえ、レニたんを危険な目に遭わせちゃったことについては猛省してるし、絶対二度目はない。
 レニたんの居場所がわかるからって、油断しちゃったのが敗因ってわかってるからね。同じ過ちは繰り返さんよ、俺は。
 なんでレニたんの居場所がわかるかっていうと、ジャジャーン!

 『月妖精の鏡』~~~!!

 このアイテムは、攻略対象の居場所とか、モブキャラの居場所がわかる、『君アル』のお助け便利アイテム!
 ほんとはマリクの持ち物なんだけど、手切れ金に追加で金貨1000枚積んだら、快く渡してくれた。いやー、金で解決できるって素晴らしいわ!
 ついでに他のやつも買い取ってくれないかって、アレもコレもと色々出してくれたよ。
 パーティーで俺に派手にブン投げられた後、助け起こしてくれた未来の騎士団長キャラといい仲になったから、もういらないんだってさ!
 
『元々僕の推しはウィルフレッドだからあ~。せっかくだから王妃様もいいかなって思ったけど、やっぱ愛だよね☆』

 つまり、マリクも俺と似たような感じの転生組で、俺とマリクの利害は完全に一致したってわけ。
 俺が試しにDA PUMPのU.S.A.のイントロ歌ってみたら大爆笑で、『だけれど僕らは地球人♪おなじ星の旅人さ~♪』って歌いながら、二人して踊ったよね。
 マリクもレニたんのことは割と好きキャラだったから悪いとは思ってたみたいで、後よろって頼まれたわ。
 頼まれなくっても、俺はレニたんを幸せにしちゃいますけどね!?

 そんなわけで、今やマリクとの関係はお互い後腐れなく綺麗に清算し、正真正銘友人になった。
 秋にある学内の武術大会でウィルフレッドが俺に勝ったら結婚する約束らしいから、そりゃあもういい感じに勝ちを譲ってやるよ。そのくらいでレニたんが安心するなら安いもんだよね。



 それはそれとして、レニたんのおばあさま。
 レニたんにはあんまり似てないけど、60近くとは思えないぐらい綺麗だったな。美魔女ってやつ。
 昔のことを責められるのはまああるかなって思ってはいたけど、清々しいぐらいはっきり指摘してきたよね。あれぐらい言われると、こっちも心から謝り甲斐があるよ。マジで。
 馬鹿にしてるわけじゃなくて、ほんとのところ、昔の俺がレニたんにしたことは俺自身めちゃくちゃ後悔してるからさ。俺の肩書きからして、今後あれぐらいストレートにテメーの汚ねぇケツ拭けやって言ってくれる人なんかいないだろうし、レニたんを想う人たち全員のお言葉として受け止めて、土下座させていただきましたよ、はい。

 だから、今回の課題についても超まじめに取り組むつもり。
 どの道、この旅行が終わったら学園でしかレニたんに会えなくなっちゃうし、がっちりハートを掴んどかないと逃げられちゃいそうだし。逃げても絶対追い掛けるし連れ戻すけど、あんまりレニたんにとってハッピーな結果じゃないでしょ?
 いざとなれば、マリクからせしめた一人寝が切なくなっちゃうお薬とか、一口齧るだけで好感度が爆上がりするクッキーなんかもあるにはあるんだけど、それだと課せられた償いってコンセプトから外れちゃうし、それはほんっとに最後の手段ってことで。
 
 そんなもの使わなくても、どっちみちこのプレハネムーンでレニたんと身も心も結ばれる俺の計画には変わりない。
 レニたんは清い身体だからまだ自分のことをよくわかってないと思うんだけど、実は設定的にレニたんってめちゃくちゃえっちで快楽に弱い仕様になってるんだよね。ファンブックで『淫蕩な体』って書かれてた時はどうしようかと思ったもん。
 教会で輪姦されちゃう時も、エロジジイの後妻になって凌辱されちゃう時も、ユーザーに悲壮感出させないためなのか(男性向けじゃないしね)、『ああん、なんでぇっ、イヤなのにっ、いやなのにぃっ』って感じで、めちゃくちゃ気持ちよさそうに喘いで、最後には自分から求めちゃう流れだったし。本当にお世話になりました。




(ああああ~~~、レニたん、早く二人で幸せになろうね~~~♡♡♡♡)




 俺は宛がわれた客室のベッドで転がりながら、レニたんとのハッピーライフを夢見て悶えまくった。
 ビバ☆転生ライフ!





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。 攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。 なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!? ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです

魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。 ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。 そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。 このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。 前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。 ※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

悪役なので大人しく断罪を受け入れたら何故か主人公に公開プロポーズされた。

柴傘
BL
侯爵令息であるシエル・クリステアは第二王子の婚約者。然し彼は、前世の記憶を持つ転生者だった。 シエルは王立学園の卒業パーティーで自身が断罪される事を知っていた。今生きるこの世界は、前世でプレイしていたBLゲームの世界と瓜二つだったから。 幼い頃からシナリオに足掻き続けていたものの、大した成果は得られない。 然しある日、婚約者である第二王子が主人公へ告白している現場を見てしまった。 その日からシナリオに背く事をやめ、屋敷へと引き篭もる。もうどうにでもなれ、やり投げになりながら。 「シエル・クリステア、貴様との婚約を破棄する!」 そう高らかに告げた第二王子に、シエルは恭しく礼をして婚約破棄を受け入れた。 「じゃあ、俺がシエル様を貰ってもいいですよね」 そう言いだしたのは、この物語の主人公であるノヴァ・サスティア侯爵令息で…。 主人公×悪役令息、腹黒溺愛攻め×無気力不憫受け。 誰でも妊娠できる世界。頭よわよわハピエン。

処理中です...