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第九章〜世界大戦〜

第117話 桜花艦隊対第一艦隊

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「………間、一髪だったな…」

冷や汗を服の袖で拭きながら、光太郎はそう呟く。

「そうですね…司令長官の命令が無ければ、大和は吹き飛んでいました…」

光太郎の意見に同感しながら、乗組員は光太郎の咄嗟の判断を賞賛する。
敵が魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンを放ってくると察した光太郎は、魔導防壁を持たない艦艇達を散開させ、大和はボイラーのエネルギーを全て魔導防壁へ流させ、更に艦首に集中展開することで、魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンを耐え切ることが出来たのだ。

「…仕掛けてくるな…航空機発艦急げ!ヘリコプター部隊も出撃だ!」

この機会を突いてくると確信した光太郎は、大鷹と信濃に航空隊とヘリコプター部隊を出させる。

「左右の敵艦隊射程圏内に入りました!」

「大和は右舷の敵を、紀伊は左舷の敵を狙え!撃ち方始め!!」

ボンッ!ボンッ!ボンッ!ボンッ!

射程圏内に入った敵に向けて、大和と紀伊から砲弾が放たれる。
大和が放った砲弾は外れるが、一方の紀伊が放った砲弾は、左舷の戦艦に命中し、火薬庫に引火したのか、命中した戦艦の第一、第二主砲が吹き飛ぶ。

『こちらSH-60K、魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンらしき物を搭載した艦を確認!座標を転送する!』

次弾装填されている中、大和の信濃から飛ばしたSH-60Kから、ロイヤルカイザーの座標が送られてくる。

「通信長、これをながと、むつ、こんごう、ひえいに送り、対艦ミサイルを発射を命じろ!魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンが、現在我が艦隊で1番の脅威だ!」

「はっ!」

SH-60Kから送られてきた座標を元に、ながと、むつ、こんごう、ひえいの4隻は、対艦ミサイル発射準備を進める。

「敵の注意を引く、全艦撃ち方始め!」

4隻の対艦ミサイルを迎撃されないように、桜花艦隊は接近してきた左右の艦隊に対し、攻撃を開始する。

「艦長!敵航空機です!」

「航空隊!全機迎撃に迎え!!対空戦闘用意!!」

砲撃戦が行われる中、レーダーに航空機を発見の報告を受け、光太郎は押し切られるという前提で、対空戦闘を用意させる。

バッシュン!!!!

大和が対空戦闘の用意を始めた時、ながと、むつ、こんごう、ひえいの4隻からロイヤルカイザーに向けて、対艦ミサイルが放たれる。

「よし…これより桜花艦隊は、二つに別れ、敵艦隊を撃破する!大和、こんごう、ながと、第一駆逐隊は右を!紀伊、ひえい、むつ、第二駆逐隊は左を狙え!信濃、大鷹、援護を、第三駆逐隊はその護衛に当たられ!」

光太郎は3つに桜花艦隊を分け、それぞれに役割を与え、各艦は与えられた役目をこなすために、移動を開始する。





少し時間は戻り、ロイヤルカイザー艦橋内

「機関並びに砲身冷却中!」

魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノン発射による魔力の乱れにより、レーダー並びにソナーに異常発生!」

艦橋内に居る乗組員から次々と報告が上がる。

「改良するべき点は多くあるな…」

その報告を聞いているローレンスは、椅子の肘掛に肘を付けながら、魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンが完璧では無いことを理解する。
そんな中、驚くべきこと報告が入ってくる。

「ドレッドノートから打電!………や、大和…健在とのことです!!!」

「何!?」

ドレッドノートから、魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンを大和を耐え抜いたという報告に、全員が騒然とする。

「面白い…っ!」

驚く者が多い中、ローレンスはニヤリと笑みを浮かべ、面白がった。

「防ぎ切られるのではあれば、接近して近接戦闘を行うしかあるまい…全艦隊そのまま前進、敵艦隊を叩け!航空隊も向かわせろ!」

「はっ!」

魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンは意味をなさないと判断したローレンスは、全艦隊と航空隊に攻撃を命じた。
ローレンスの命令に添い、α、βは動き出し、ロイヤルカイザーの上空で待機でした80機にも及ぶ航空隊を向かわせた。

「っ!ローラン級戦艦ミュルグレス被弾!第一、第二主砲大破!現在炎上中とのことです!」

「何!?魔導障壁は!?」

「展開前にやられた模様」

βに所属していた戦艦ミュルグレスが、紀伊にやられたという報告が入ってくる。

「後方に下がらせ、消火に専念させろ、後方部隊含め全艦に魔導障壁を展開…急げ!」

「はっ!」

報告内容を聞いたローレンスは、ミュルグレスを下がらせ、全ての艦艇に魔導障壁展開を徹底させた。

「敵から正体不明の物体が発射!物凄い速さで、こちらに向かってきている模様!」

「魔導障壁艦首に集中展開!急げ!!」

対艦ミサイルの報告を受け、キールスは後ろに展開する分の魔力を正面に集めさせ、魔導障壁の耐圧限界を向上させた。

「…あれか……」

「各員、衝撃に備えよ!!」

ながと、むつ、こんごう、ひえいから放たれた4本の対艦ミサイルは、海面スレスレを飛びながらロイヤルカイザーへと向かい、迎撃されることなく命中した。

ドッゴォーーーン!!!

爆発音と共に船体が大きく揺れる。

「陛下、大丈夫ですか?」

「ああ…余は大丈夫だ……」

揺れが収まり、ローレンスはミカエルからの質問に答える。

「敵艦隊、分散してα、βへ攻撃を開始しました!」

そこに、桜花艦隊がそれぞれに別れてαとβに攻撃を仕掛けたという報告が入る。

「このままだと不味い…数では勝っているが、練度はほぼ互角、そして技術は向こうの方が上だ…さらにこれだけ接近すれば、味方が魔導超爆裂砲ノヴァフレイムカノンに巻き込まれる可能性が高い…どうすれば……」

報告を受け、マレックスはこの状況を打開する方法を考え始める。

「……航空隊で、敵艦隊の対空防御を剥がせ…手はまだある…」

考えているマレックスに、ローレンスは対空防御を無くすように伝えた。

「どうするおつもりで…?」

「説明は後だ!早くしろ!」

「は、はいっ!」

マレックスはローレンスに質問するが後回しされ、航空隊に敵機の誘導と、対空防御を重点的に狙うよう命じた。
この命令により、空でも攻撃が始まり、中央東洋の海戦は激化して行く。恐ろしい爆弾を搭載した爆撃機が近づいてきているとも知らずに…
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