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第八章〜統一戦争〜
第100話 アーガス休戦協定
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第四軍団から一方的な休戦協定の提案が行われたことにより、世界共栄連盟は魔法通信機を使用し、リモート会議を行っていた。
『それでは、第3回連盟会議を開催致します。本日の議題は、ロレック王国から提案された休戦協定についてです』
司会に選ばれたトムヤードは、連盟会議を始め進めることにした。
『先日、ロレック王国元国王ジョン・ロレックを更迭した大帝国の第四軍団アポストルスの副団長から、休戦協定が提案されました。内容としては、アーガス大陸を東西に分け、王国と共和国が統治するという物です。なお、今から4日後に、この提案を呑まなければ、第四軍団が進行するとのことです』
トムヤードは書類を見ながら、王国が提示した休戦協定の内容を説明した。
『それでは、まずは我々セレーネ連邦国の意見としては、これを無視し、断固として大帝国と戦うという方針です…』
説明を終えたトムヤードは、頭を抱えながらセレーネ連邦国としての意見を述べた。
トムヤードの様子を見た光成達は、大変だったんだーなっと、表では出していないが、心の中でトムヤードを労う。
現在、セレーネ連邦国内は、南北戦争での勝利もあり、戦争を楽観視している者が多くいる。そのため連盟軍の全戦力を注ぎ込めば、大帝国も敵では無いという者が過半数である。しかしながら、トムヤードなど一部の者は、泥沼化することを危惧しており、そのために休戦協定を呑むべきと、説得を試みたが失敗し、セレーネ連邦国は休戦協定を呑むのに反対ということになったのだ。
『それでは、次は竹田首相、お願いいたします』
セレーネ連邦国の意見を話したトムヤードは、光成にバトンをパスする。
「我々、日丸国の意見としては、この休戦協定は呑むべきだと考えております。理由としては、こちらはあくまでもロレック王国とアーガス共和国の戦争に加担するという名目で、軍を送っています。そのため、大帝国と全面戦争となれば、最悪の場合押し返される可能性は高い…援軍を派遣するとしても、今度の彼らは師団ではなく軍団…現地に既に到着している大帝国側の方が有利だと思えます…私としては、この休戦協定を呑み、その間に戦争に備えるべきだと、強く進言致します!」
バトンを渡された光成は、日丸国の意見を強めに主張する。
『それでは次にアルシャー大統領、お願い致します』
光成の主張が終わり、トムヤードは次にウルフを指名した。
『我々シュヴァルツ共和国は、日丸国同様休戦協定を結ぶべきだと思います。先程、竹田首相が申していた通り、軍の配備の問題もありますが、何せ今は軍事物資が足りないのです。大帝国とはいえ、すぐに軍を進めてくることはないでしょう。ですから、休戦協定が有効な間に、軍事兵器の量産、新型兵器の開発などを行うべきだと思います』
ウルフは、光成の主張に付け足すように、軍事物資不足などの問題面を上げ、休戦協定の締結を望む。
『それでは最後に、メルザス大統領お願いします』
ウルフの主張が終わり、最後にバエルラが口を開く。
『当事者であるアーガス共和国的には、これを機に一時休戦すべきだと…このまま全土解放へ向かってもいいのですが、何せ軍が足りない状態で…今もなんとか地方の防衛に当たっている状態です。向こうが休戦を求めているのであれば、アーガス共和国としては、その間に軍の立て直しなどを行いたいと考えております…』
トムヤードに言われ、口を開いたバエルラは、アーガス共和国の軍人不足を話し、休戦協定を締結した場合にアーガス共和国がやりたいことも話した。
『3対1ですな…では、我々世界共栄連盟は、ロレック王国と休戦協定を締結するということでよろしいですな?』
「はい」
『えぇ』
『うむ』
意見の割合を見て、セレーネ連邦国が不利だと判断したトムヤードは、最後まで反対することなく、ロレック王国と休戦協定を締結すると決めた。
『はぁ…狂人達でも分かりやすいように説明せんとならなぬな……』
休戦協定を締結すると決まったことにより、トムヤードは己の次の仕事を自覚し、小さな声でそう呟いた。
こうして、連盟会議でロレック王国と休戦協定を締結することが決まった。セレーネ連邦国議会では、その決定を不服とする物が多くいたが、トムヤードが懸命に説得したため、暗殺や議会襲撃などの大きな事件が起きることは無かった。
休戦協定はアーガス休戦協定と呼ばれ、アーガス大陸は、東は大帝国が、西はアーガス共和国が治めることになる。
未だに大帝国は不安定ではあるが、世界は一時的な平和を手に入れることになった。
『それでは、第3回連盟会議を開催致します。本日の議題は、ロレック王国から提案された休戦協定についてです』
司会に選ばれたトムヤードは、連盟会議を始め進めることにした。
『先日、ロレック王国元国王ジョン・ロレックを更迭した大帝国の第四軍団アポストルスの副団長から、休戦協定が提案されました。内容としては、アーガス大陸を東西に分け、王国と共和国が統治するという物です。なお、今から4日後に、この提案を呑まなければ、第四軍団が進行するとのことです』
トムヤードは書類を見ながら、王国が提示した休戦協定の内容を説明した。
『それでは、まずは我々セレーネ連邦国の意見としては、これを無視し、断固として大帝国と戦うという方針です…』
説明を終えたトムヤードは、頭を抱えながらセレーネ連邦国としての意見を述べた。
トムヤードの様子を見た光成達は、大変だったんだーなっと、表では出していないが、心の中でトムヤードを労う。
現在、セレーネ連邦国内は、南北戦争での勝利もあり、戦争を楽観視している者が多くいる。そのため連盟軍の全戦力を注ぎ込めば、大帝国も敵では無いという者が過半数である。しかしながら、トムヤードなど一部の者は、泥沼化することを危惧しており、そのために休戦協定を呑むべきと、説得を試みたが失敗し、セレーネ連邦国は休戦協定を呑むのに反対ということになったのだ。
『それでは、次は竹田首相、お願いいたします』
セレーネ連邦国の意見を話したトムヤードは、光成にバトンをパスする。
「我々、日丸国の意見としては、この休戦協定は呑むべきだと考えております。理由としては、こちらはあくまでもロレック王国とアーガス共和国の戦争に加担するという名目で、軍を送っています。そのため、大帝国と全面戦争となれば、最悪の場合押し返される可能性は高い…援軍を派遣するとしても、今度の彼らは師団ではなく軍団…現地に既に到着している大帝国側の方が有利だと思えます…私としては、この休戦協定を呑み、その間に戦争に備えるべきだと、強く進言致します!」
バトンを渡された光成は、日丸国の意見を強めに主張する。
『それでは次にアルシャー大統領、お願い致します』
光成の主張が終わり、トムヤードは次にウルフを指名した。
『我々シュヴァルツ共和国は、日丸国同様休戦協定を結ぶべきだと思います。先程、竹田首相が申していた通り、軍の配備の問題もありますが、何せ今は軍事物資が足りないのです。大帝国とはいえ、すぐに軍を進めてくることはないでしょう。ですから、休戦協定が有効な間に、軍事兵器の量産、新型兵器の開発などを行うべきだと思います』
ウルフは、光成の主張に付け足すように、軍事物資不足などの問題面を上げ、休戦協定の締結を望む。
『それでは最後に、メルザス大統領お願いします』
ウルフの主張が終わり、最後にバエルラが口を開く。
『当事者であるアーガス共和国的には、これを機に一時休戦すべきだと…このまま全土解放へ向かってもいいのですが、何せ軍が足りない状態で…今もなんとか地方の防衛に当たっている状態です。向こうが休戦を求めているのであれば、アーガス共和国としては、その間に軍の立て直しなどを行いたいと考えております…』
トムヤードに言われ、口を開いたバエルラは、アーガス共和国の軍人不足を話し、休戦協定を締結した場合にアーガス共和国がやりたいことも話した。
『3対1ですな…では、我々世界共栄連盟は、ロレック王国と休戦協定を締結するということでよろしいですな?』
「はい」
『えぇ』
『うむ』
意見の割合を見て、セレーネ連邦国が不利だと判断したトムヤードは、最後まで反対することなく、ロレック王国と休戦協定を締結すると決めた。
『はぁ…狂人達でも分かりやすいように説明せんとならなぬな……』
休戦協定を締結すると決まったことにより、トムヤードは己の次の仕事を自覚し、小さな声でそう呟いた。
こうして、連盟会議でロレック王国と休戦協定を締結することが決まった。セレーネ連邦国議会では、その決定を不服とする物が多くいたが、トムヤードが懸命に説得したため、暗殺や議会襲撃などの大きな事件が起きることは無かった。
休戦協定はアーガス休戦協定と呼ばれ、アーガス大陸は、東は大帝国が、西はアーガス共和国が治めることになる。
未だに大帝国は不安定ではあるが、世界は一時的な平和を手に入れることになった。
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