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第五章〜南北大戦争〜
第44話 第七艦隊撃滅
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「敵駆逐艦撃滅!並びに敵戦艦が航行不能になっている模様です」
「一体何が……」
打撃艦隊が突如魚雷を受けていたのを見て、敵航空隊を蹴散らした武蔵第一艦橋では、混乱が生じていた。
「らいげいでしょうか?」
「いや、補給の時間を入れると、らいげいでは無いはずだ……」
魚雷を発射した艦艇について、憶測が飛び交う中、信介だけは理解することが出来た。
(津軽か…まだ完成していないのに、竹田首相が我々のために出撃してくれたのか……)
津軽の存在を知っている信介は、光成や剛士達に感謝をしながら、行動に出ることにした。
「この機を逃すな!反転180度!一気に敵艦隊を叩くぞ!!」
「はっ!!」
日丸国へ撤退しようとしていた武蔵は、右に回頭を始め、水中に居るであろう津軽と共に、打撃艦隊に引導を渡すべく、動き出した。
○
南海の深度200。そこに日百型特務潜水艦津軽の姿があった。
「命中したか?」
「はい!敵戦艦は航行不能!駆逐艦は全滅したはずです!」
「耳が良い君が言うのだ。攻撃は成功したのだろう」
津軽の司令室では、魚雷命中の確認が行われていた。
「武蔵はどうだ?」
「はい……武蔵、反転しています。恐らく、私達と共に敵艦隊を屠る算段かと……」
紅宮はソナーで武蔵が反転を行っていることを伝え、それを聞いた一郎は剛士と見合わせた後、頷き命令を下す。
「よし、魚雷発射よーい!目標、敵戦艦!!」
「はい!」
津軽の八門の魚雷発射管に、日丸国がコピーした八九式魚雷が各発射管に装填される。
『全門準備完了!いつでも行けるぜ!』
水雷長、青木 蒼依から、魚雷の準備が整ったという報告が届く。
「よし、敵戦艦は魔導障壁を展開している…一番から四番を一斉掃射。数秒後に、五番、六番を撃て」
「はっ!」
津軽から、戦艦に向けて四発の魚雷が放たれ、その数秒後に追加の魚雷が放たれる。
対潜防御などがない敵戦艦は、津軽にされるがままだ。四発の魚雷は魔導障壁を破壊、更に追加の魚雷が艦底と艦尾に衝突し、衝突箇所に大穴を開けることになる。
○
「そ、そんな…!」
目の前の光景にチャルスは唖然としていた。
チャルスの眼前には、津軽からの魚雷を艦尾に受け、後ろから沈み始めている、タイガー級魔導戦艦タイガーの姿があった。
そして更に、
パリーン!!
乾いた音が聞こえ、チャルスは振り返った。
見てみると、タイガー級魔導戦艦ホワイトの魔導障壁が、砕け散っていた。
「司令長官!武蔵がこちらに向かって!!ドォーーン!!
武蔵が反転しているのに気づいた一人が、そのことを報告しようとしたその時、爆発音と共に巡洋艦が轟沈した。
現在の第七艦隊の状況は、駆逐艦全滅、巡洋艦九隻中七隻が撃沈、戦艦は五隻中二隻撃沈、タイガー浸水が発生、ヴァイパー航行不能、ホワイト魔導障壁損失、空母は一隻拿捕、もう一隻は艦載機全滅という、圧倒的に不利な状況だ。
「…」
「ケレット司令長官!?何処に行くおつもりですか!?」
無言で艦橋を出ようとするチャルスに気づき、ピタトは声を出して行き先を尋ねる。
「煩い!!俺は艦隊司令長官だ!!まだ安全なファルコンに避難する!!」
「ま、待ってください!」
死を恐れたチャルスは、ファルコンへに避難しようとするが、旗艦がヴァイパーである以上、居てもらわないと困るため、ピタトは止めようとする。
(ファルコンに移り次第、このような海域から離脱してやる…!)
チャルスはそんなことを思いながら、ピタトの静止を振り切り、艦橋から出た。
まさにその瞬間だった。
ドォーーン!!
武蔵が放った砲撃が、ヴァイパーに命中。その風圧に煽られ、チャルスは海に放り出された。
「ぶふはっ!」
放り出されつつも、チャルスは、何とか海面から顔を出す。
「よくも、この俺に、こんな目に合わせてくれたなぁ!!」
死への恐怖より、怒りがチャルスに支配する。
だが、その怒りも直ぐに消える。
ドドンッ!!
再び武蔵から砲弾が放たれ、それがヴァイパーの右側に命中した。
魚雷による艦底の穴と、砲弾が命中による振動により、ヴァイパーはチャルスが居る方に傾き始める。
「ま、待て!!」
このままでは、ヴァイパーの下地になると思い、チャルスは必死に泳ぎ、ファルコンに目指そうとした。だが、波によって上手く進めない。
そして、チャルスの努力虚しく、ヴァイパーはチャルスに覆い被さるように横転、チャルスはそのまま下敷きになってしまった。
過半数の艦艇と航空機を失い、更に艦隊司令長官が戦死した打撃艦隊は、武蔵の主砲と、水中に居るだろう謎の潜水艦に怯え、降伏旗を掲げた。
数時間の激戦の末、桜守艦隊と第七艦隊の海戦は、桜守艦隊の勝利で幕を閉じた。
被害としては、桜守艦隊はやばりが小破、武蔵が中破だけなのに対し、第七艦隊は魔導駆逐艦全艦撃沈、魔導巡洋艦九隻中八隻撃沈、一隻は拿捕。魔導戦艦五隻中四隻撃沈、降伏旗を掲げたホワイトは拿捕、魔導空母二隻は艦載機全てを失い、二隻とも拿捕という結果だ。
なお、魔導巡洋艦、魔導戦艦、魔導空母拿捕により、日丸国は魔導炉などの研究が、大帝国並に飛躍することになる。
「一体何が……」
打撃艦隊が突如魚雷を受けていたのを見て、敵航空隊を蹴散らした武蔵第一艦橋では、混乱が生じていた。
「らいげいでしょうか?」
「いや、補給の時間を入れると、らいげいでは無いはずだ……」
魚雷を発射した艦艇について、憶測が飛び交う中、信介だけは理解することが出来た。
(津軽か…まだ完成していないのに、竹田首相が我々のために出撃してくれたのか……)
津軽の存在を知っている信介は、光成や剛士達に感謝をしながら、行動に出ることにした。
「この機を逃すな!反転180度!一気に敵艦隊を叩くぞ!!」
「はっ!!」
日丸国へ撤退しようとしていた武蔵は、右に回頭を始め、水中に居るであろう津軽と共に、打撃艦隊に引導を渡すべく、動き出した。
○
南海の深度200。そこに日百型特務潜水艦津軽の姿があった。
「命中したか?」
「はい!敵戦艦は航行不能!駆逐艦は全滅したはずです!」
「耳が良い君が言うのだ。攻撃は成功したのだろう」
津軽の司令室では、魚雷命中の確認が行われていた。
「武蔵はどうだ?」
「はい……武蔵、反転しています。恐らく、私達と共に敵艦隊を屠る算段かと……」
紅宮はソナーで武蔵が反転を行っていることを伝え、それを聞いた一郎は剛士と見合わせた後、頷き命令を下す。
「よし、魚雷発射よーい!目標、敵戦艦!!」
「はい!」
津軽の八門の魚雷発射管に、日丸国がコピーした八九式魚雷が各発射管に装填される。
『全門準備完了!いつでも行けるぜ!』
水雷長、青木 蒼依から、魚雷の準備が整ったという報告が届く。
「よし、敵戦艦は魔導障壁を展開している…一番から四番を一斉掃射。数秒後に、五番、六番を撃て」
「はっ!」
津軽から、戦艦に向けて四発の魚雷が放たれ、その数秒後に追加の魚雷が放たれる。
対潜防御などがない敵戦艦は、津軽にされるがままだ。四発の魚雷は魔導障壁を破壊、更に追加の魚雷が艦底と艦尾に衝突し、衝突箇所に大穴を開けることになる。
○
「そ、そんな…!」
目の前の光景にチャルスは唖然としていた。
チャルスの眼前には、津軽からの魚雷を艦尾に受け、後ろから沈み始めている、タイガー級魔導戦艦タイガーの姿があった。
そして更に、
パリーン!!
乾いた音が聞こえ、チャルスは振り返った。
見てみると、タイガー級魔導戦艦ホワイトの魔導障壁が、砕け散っていた。
「司令長官!武蔵がこちらに向かって!!ドォーーン!!
武蔵が反転しているのに気づいた一人が、そのことを報告しようとしたその時、爆発音と共に巡洋艦が轟沈した。
現在の第七艦隊の状況は、駆逐艦全滅、巡洋艦九隻中七隻が撃沈、戦艦は五隻中二隻撃沈、タイガー浸水が発生、ヴァイパー航行不能、ホワイト魔導障壁損失、空母は一隻拿捕、もう一隻は艦載機全滅という、圧倒的に不利な状況だ。
「…」
「ケレット司令長官!?何処に行くおつもりですか!?」
無言で艦橋を出ようとするチャルスに気づき、ピタトは声を出して行き先を尋ねる。
「煩い!!俺は艦隊司令長官だ!!まだ安全なファルコンに避難する!!」
「ま、待ってください!」
死を恐れたチャルスは、ファルコンへに避難しようとするが、旗艦がヴァイパーである以上、居てもらわないと困るため、ピタトは止めようとする。
(ファルコンに移り次第、このような海域から離脱してやる…!)
チャルスはそんなことを思いながら、ピタトの静止を振り切り、艦橋から出た。
まさにその瞬間だった。
ドォーーン!!
武蔵が放った砲撃が、ヴァイパーに命中。その風圧に煽られ、チャルスは海に放り出された。
「ぶふはっ!」
放り出されつつも、チャルスは、何とか海面から顔を出す。
「よくも、この俺に、こんな目に合わせてくれたなぁ!!」
死への恐怖より、怒りがチャルスに支配する。
だが、その怒りも直ぐに消える。
ドドンッ!!
再び武蔵から砲弾が放たれ、それがヴァイパーの右側に命中した。
魚雷による艦底の穴と、砲弾が命中による振動により、ヴァイパーはチャルスが居る方に傾き始める。
「ま、待て!!」
このままでは、ヴァイパーの下地になると思い、チャルスは必死に泳ぎ、ファルコンに目指そうとした。だが、波によって上手く進めない。
そして、チャルスの努力虚しく、ヴァイパーはチャルスに覆い被さるように横転、チャルスはそのまま下敷きになってしまった。
過半数の艦艇と航空機を失い、更に艦隊司令長官が戦死した打撃艦隊は、武蔵の主砲と、水中に居るだろう謎の潜水艦に怯え、降伏旗を掲げた。
数時間の激戦の末、桜守艦隊と第七艦隊の海戦は、桜守艦隊の勝利で幕を閉じた。
被害としては、桜守艦隊はやばりが小破、武蔵が中破だけなのに対し、第七艦隊は魔導駆逐艦全艦撃沈、魔導巡洋艦九隻中八隻撃沈、一隻は拿捕。魔導戦艦五隻中四隻撃沈、降伏旗を掲げたホワイトは拿捕、魔導空母二隻は艦載機全てを失い、二隻とも拿捕という結果だ。
なお、魔導巡洋艦、魔導戦艦、魔導空母拿捕により、日丸国は魔導炉などの研究が、大帝国並に飛躍することになる。
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