48 / 138
第五章〜南北大戦争〜
第43話 南部海戦
しおりを挟む
北部での海戦が終わりに向かっている中、南部では単艦で打撃艦隊に挑んだ武蔵が、敵からの猛攻を受けていた。
「右舷高射砲、多数大破!」
「第二砲塔、中破!旋回出来ません!!」
「居住区に浸水!」
第一艦橋に、被害報告が次々と入ってくる。
だが、武蔵もやられてばかりではなく、敵駆逐艦三隻、巡洋艦二隻、戦艦一隻を撃沈させ、戦闘機も半数以上撃墜させている。
「目標!敵、巡洋艦!全門てーー!」
信介の号令により、砲弾が放たれる。
第一砲塔から放たれた砲弾が、目標の巡洋艦に向かい、三発同時でようやく魔導障壁を貫通、そのまま巡洋艦を沈めた。
だが、第三砲塔が放った砲弾は、戦艦の魔導障壁により弾かれてしまう。
「やはり、魔導障壁が厄介だな…」
戦艦の魔導障壁に、砲弾が弾かれたのを見ていた信介は、一人呟く。
現在信介達が分かっている、敵艦の魔導障壁を撃ち破るのに必要な砲弾数は、駆逐艦が一発、巡洋艦は三発、戦艦は六発以上。
もう少し近づけば、駆逐艦は副砲で倒せ、主砲に必要な砲弾数も減ると思われるが、これ以上近づくと更に武蔵が集中砲火を受けることになり、最悪の場合魚雷を流される危険性がある。単艦である以上、武蔵は下手な動きが取れないのだ。
(残り砲弾数も少ない…反転して、本土に引きずり込み、なとりとらいげいで迎撃するか…?いや、本土に入れ、あかぎが見つかったりなどすれば…)
信介は頭をフル回転させ、この戦況を打開する方法を必死に考える。
考えに考えた末、信介は苦肉の策として、
「取舵90°!日丸国に一時撤退!それと同時に、あかぎに航空機発艦を打電!!」
信介が敵を一度本土に引きづり込み、油断させるために日丸国への撤退を命令した。
信介の命令を受け、武蔵が回頭を始めようとしたその時だった。戦況を大きくひっくり返す魚雷が、水中にて発射されたのだ。
○
「ふはははは!武蔵だったか?やはりデカイ的だけのようだな!!」
旗艦ヴァイパーの第一艦橋にて、決して軽微と言えない被害が出ているのにも関わらず、チャルスは油断し切って居た。
「ええ!こちらは魔導障壁が万全な上、数でも勝っております、武蔵が勝つことはまず無いかと……」
ピタトもまた、チャルス同様慢心していた。
「全艦、主砲装填終わったな?」
「はっ!万全とのことです」
チャルスの質問に、通信長が答える。
それを聞いたチャルスは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「ふむ…航空隊全機武蔵に突撃!それに続くように、主砲撃て!!」
残りの航空機に突撃命令と砲撃命令を下した。
「ま、待ってください!航空隊の攻撃と共に砲撃を開始すれば、航空隊に被害が……!」
「構わん!航空隊には突撃を!艦艇には砲撃命令を下せ!!」
「……りょ、了解致しました…」
通信長は航空隊諸共、武蔵を屠ろうとするチャルスの案に反対するが、チャルスの圧に負け、航空隊と残存艦艇それぞれに、命令を打電した。
「さぁて、武蔵の最後を見届けようでは無いか」
「私としては、鹵獲しても良いと思うのですがね」
「なぁに、大和も何れ来るはずだ。それを鹵獲すれば良い」
「それもそうですな」
次の一斉砲撃で、武蔵を屠れると確信したチャルス達はこの後の話を行い始める。
「砲撃準備完了!」
「よーし、目標武蔵!全艦砲撃かいs」
チャルスが砲撃を命じようとしたその時だった。
ドォーーン!!
突如、爆発音と共に魔導障壁が砕け散り、更にヴァイパーが大きく揺れる。
「な、何事だ!?」
揺れに何とか耐えたチャルスは状況を確認した。
「き、機関部に浸水!航行不能!!」
「何!?」
突如とした攻撃、ヴァイパーが航行不能になり、チャルスは混乱する。
「ウェルバージ司令長官、恐らく魚雷ではないでしょうか?」
「魚雷だと?武蔵が魚雷を撃ち、偶然にも機関に命中したと言いたいのか貴様は!!」
「い、いえ…」
「兎に角、ソナーを使用しろ!!」
チャルスは駆逐艦にソナーを使うように指示を出した。だが、そのソナーもまたレーダー同様魔力感知に反応する代物だったため、魔力を使用していない日丸国の魚雷を探知するのは不可能で、ソナー使用のために速度を落とした駆逐艦は、次々と魚雷の餌食になる。
「この攻撃…潜水艦か……?」
「馬鹿なことを言うでは無い!!」
武蔵が魚雷を発射する素振りがないため、ピタトは潜水艦の可能性を考えたが、チャルスは否定した。
(ソナーに反応しない魚雷を発射する潜水艦なぞ、大帝国でも作れていないのだぞ!!それを認めれば、我々はこんな極東人以下になってしまうではないか!!)
チャルスのプライドが、日丸国が大帝国以上の潜水艦を保有しているという事実を、認めようとしない。
そのため潜水艦への対処が遅れ、
「く、駆逐艦…全滅……武蔵に特攻した、航空機も全滅です…」
結果的に、打撃艦隊は、駆逐艦並びに航空機を全て失うことになった。
「右舷高射砲、多数大破!」
「第二砲塔、中破!旋回出来ません!!」
「居住区に浸水!」
第一艦橋に、被害報告が次々と入ってくる。
だが、武蔵もやられてばかりではなく、敵駆逐艦三隻、巡洋艦二隻、戦艦一隻を撃沈させ、戦闘機も半数以上撃墜させている。
「目標!敵、巡洋艦!全門てーー!」
信介の号令により、砲弾が放たれる。
第一砲塔から放たれた砲弾が、目標の巡洋艦に向かい、三発同時でようやく魔導障壁を貫通、そのまま巡洋艦を沈めた。
だが、第三砲塔が放った砲弾は、戦艦の魔導障壁により弾かれてしまう。
「やはり、魔導障壁が厄介だな…」
戦艦の魔導障壁に、砲弾が弾かれたのを見ていた信介は、一人呟く。
現在信介達が分かっている、敵艦の魔導障壁を撃ち破るのに必要な砲弾数は、駆逐艦が一発、巡洋艦は三発、戦艦は六発以上。
もう少し近づけば、駆逐艦は副砲で倒せ、主砲に必要な砲弾数も減ると思われるが、これ以上近づくと更に武蔵が集中砲火を受けることになり、最悪の場合魚雷を流される危険性がある。単艦である以上、武蔵は下手な動きが取れないのだ。
(残り砲弾数も少ない…反転して、本土に引きずり込み、なとりとらいげいで迎撃するか…?いや、本土に入れ、あかぎが見つかったりなどすれば…)
信介は頭をフル回転させ、この戦況を打開する方法を必死に考える。
考えに考えた末、信介は苦肉の策として、
「取舵90°!日丸国に一時撤退!それと同時に、あかぎに航空機発艦を打電!!」
信介が敵を一度本土に引きづり込み、油断させるために日丸国への撤退を命令した。
信介の命令を受け、武蔵が回頭を始めようとしたその時だった。戦況を大きくひっくり返す魚雷が、水中にて発射されたのだ。
○
「ふはははは!武蔵だったか?やはりデカイ的だけのようだな!!」
旗艦ヴァイパーの第一艦橋にて、決して軽微と言えない被害が出ているのにも関わらず、チャルスは油断し切って居た。
「ええ!こちらは魔導障壁が万全な上、数でも勝っております、武蔵が勝つことはまず無いかと……」
ピタトもまた、チャルス同様慢心していた。
「全艦、主砲装填終わったな?」
「はっ!万全とのことです」
チャルスの質問に、通信長が答える。
それを聞いたチャルスは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「ふむ…航空隊全機武蔵に突撃!それに続くように、主砲撃て!!」
残りの航空機に突撃命令と砲撃命令を下した。
「ま、待ってください!航空隊の攻撃と共に砲撃を開始すれば、航空隊に被害が……!」
「構わん!航空隊には突撃を!艦艇には砲撃命令を下せ!!」
「……りょ、了解致しました…」
通信長は航空隊諸共、武蔵を屠ろうとするチャルスの案に反対するが、チャルスの圧に負け、航空隊と残存艦艇それぞれに、命令を打電した。
「さぁて、武蔵の最後を見届けようでは無いか」
「私としては、鹵獲しても良いと思うのですがね」
「なぁに、大和も何れ来るはずだ。それを鹵獲すれば良い」
「それもそうですな」
次の一斉砲撃で、武蔵を屠れると確信したチャルス達はこの後の話を行い始める。
「砲撃準備完了!」
「よーし、目標武蔵!全艦砲撃かいs」
チャルスが砲撃を命じようとしたその時だった。
ドォーーン!!
突如、爆発音と共に魔導障壁が砕け散り、更にヴァイパーが大きく揺れる。
「な、何事だ!?」
揺れに何とか耐えたチャルスは状況を確認した。
「き、機関部に浸水!航行不能!!」
「何!?」
突如とした攻撃、ヴァイパーが航行不能になり、チャルスは混乱する。
「ウェルバージ司令長官、恐らく魚雷ではないでしょうか?」
「魚雷だと?武蔵が魚雷を撃ち、偶然にも機関に命中したと言いたいのか貴様は!!」
「い、いえ…」
「兎に角、ソナーを使用しろ!!」
チャルスは駆逐艦にソナーを使うように指示を出した。だが、そのソナーもまたレーダー同様魔力感知に反応する代物だったため、魔力を使用していない日丸国の魚雷を探知するのは不可能で、ソナー使用のために速度を落とした駆逐艦は、次々と魚雷の餌食になる。
「この攻撃…潜水艦か……?」
「馬鹿なことを言うでは無い!!」
武蔵が魚雷を発射する素振りがないため、ピタトは潜水艦の可能性を考えたが、チャルスは否定した。
(ソナーに反応しない魚雷を発射する潜水艦なぞ、大帝国でも作れていないのだぞ!!それを認めれば、我々はこんな極東人以下になってしまうではないか!!)
チャルスのプライドが、日丸国が大帝国以上の潜水艦を保有しているという事実を、認めようとしない。
そのため潜水艦への対処が遅れ、
「く、駆逐艦…全滅……武蔵に特攻した、航空機も全滅です…」
結果的に、打撃艦隊は、駆逐艦並びに航空機を全て失うことになった。
159
お気に入りに追加
595
あなたにおすすめの小説
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。
異世界に転移す万国旗
あずき
ファンタジー
202X年、震度3ほどの地震と共に海底ケーブルが寸断された。
日本政府はアメリカ政府と協力し、情報収集を開始した。
ワシントンD.Cから出港した米艦隊が日本海に現れたことで、
アメリカ大陸が日本の西に移動していることが判明。
さらに横須賀から出発した護衛艦隊がグレートブリテン島を発見。
このことから、世界中の国々が位置や向きを変え、
違う惑星、もしくは世界に転移していることが判明した。
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
1514億4000万円を失った自衛隊、派遣支援す
ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一箇月。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。
対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。
これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。
防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。
損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。
これは、「1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す(https://ncode.syosetu.com/n3570fj/)」の言わば海上自衛隊版です。アルファポリスにおいても公開させていただいております。
※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈りいたします。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
勇者現代へ帰る。でも、国ごと付いてきちゃいました。
Azanasi
ファンタジー
突然召喚された卒業間近の中学生、直人
召喚の途中で女神の元へ……女神から魔神の討伐を頼まれる。
断ればそのまま召喚されて帰るすべはないと女神は言い、討伐さえすれば元の世界の元の時間軸へ帰してくれると言う言葉を信じて異世界へ。
直人は魔神を討伐するが帰れない。実は魔神は元々そんなに力があるわけでもなくただのハリボテだった。そう、魔法で強く見せていただけだったのだが、女神ともなればそれくらい簡単に見抜けるはずなおだが見抜けなかった。女神としては責任問題だここでも女神は隠蔽を施す。
帰るまで数年かかると直人に伝える、直人は仕方なくも受け入れて現代の知識とお買い物スキルで国を発展させていく
ある時、何の前触れもなく待望していた帰還が突然がかなってしまう。
それには10年の歳月がかかっていた。おまけにあろうことか国ごと付いてきてしまったのだ。
現代社会に中世チックな羽毛の国が現れた。各国ともいろんな手を使って取り込もうとするが直人は抵抗しアルスタン王国の将来を模索して行くのだった。
■小説家になろうにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる