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第五章〜南北大戦争〜

第41話 日百型特務潜水艦津軽

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「ぐっ!」

甲板に爆撃が直撃し、武蔵の船体が揺れ、それに続くように、戦艦や巡洋艦、駆逐艦から砲弾が次々と武蔵に襲いかかる。
だが、武蔵もやられてばかりでは無い。

「怯むな!全門斉射!!」

武蔵の全門斉射により、駆逐艦二隻が魔導障壁を貫通され撃沈する。更に濃密な弾幕により、敵戦闘機も次々と迎撃されている。偶に爆撃は当たるものの、殆どの攻撃機が爆撃を行う前に迎撃されている。
しかし、懸念点はある。

「……やはりか…」

信介は一隻の戦艦を見る。その戦艦には、先程第二砲塔からの攻撃を諸に受けたのだが、何事も無かったようにこちらに進んでくる。

「シュヴァルツを超える技術か…帝国も侮れんな」

シュヴァルツ以上の強固な魔導障壁の展開に、更に展開しながらの航行。帝国の技術に驚きながらも、信介は打撃艦隊に挑んだ。





千尋島。日丸国の中で日丸島の次ぐ巨大な島で、現在は観光施設が、建設されている最中である。だが、その地下には、日丸国の秘匿ドックが建設されていた。
現在の秘匿ドックには、最低限の設備しかないが、セレーネ連邦国から学んだ魔法による掘削工事でひと月ほどで完成した。
そして、司令室から退出した剛士の姿は、その秘匿ドックにあった。

「津軽よ…出撃用意はいいな?」

秘匿ドック内には、五隻の艦艇が建造中なのだが、殆どの艦艇が骨組み状態の中、一隻だけ黒鉄色の大きな潜水艦があった。
その潜水艦は、秘匿艦隊である夜桜艦隊の旗艦、日百型潜水空母津軽つがるだ。
伊四百型潜水艦の潜水空母という構想を元に、現代技術で建造した日丸国の切り札の一つだ。
全長140m、最大幅14.0m、機関方式はディーゼル・エレクトリック方式を採用。主機として、らいげいのディーゼル機関を元に制作した艦本式ディーゼルを使用している。だが、一部兵装、レーダー、ソナー、艦橋などを除き、まだ未完成な部分が多く、何とか水中航行が可能と言った感じだ。

「本当は万全な状態で、出撃させてやりたかったんだけどな……行くか…!」

先程、武蔵から所属不明艦隊は敵という情報が入っため、津軽に光成直々の出撃命令が出たのだ。
津軽に次々と乗組員達が乗り込み始める。

「しかし、津軽は巨大ですね…」

乗組員の乗員するまで、外で待っている剛士の隣に、津軽の艦長に任命された、戦艦大和元副艦長の宮野一郎だった。
ここで、夜桜艦隊について説明しよう。
夜桜艦隊は剛士が艦隊司令長官を務める、日丸国の秘匿艦隊。秘匿艦隊故に、その存在は一部の者しか知らず、乗組員達は任務外はそれぞれの仕事を行うようになっている。そのため、今津軽に搭乗している者達の職業は、工事業者、鍛冶師、調理人など様々な者が居る。

「大和に並ぶ性能があると言っても過言では無い…まぁ今はまだ未完成だがな…」

「こいつが、暴れ回るのを今から楽しみですよ」

「私もだ」

一郎と剛士が乗組員の搭乗完了が終わるまで、雑談を行っていると、軍服から魚のような尾を出している青髪の女性が、近づいてきた。

「松山司令長官、宮野艦長。乗組員の搭乗が、完了致しました」

「おっと、態々ありがとうな。マリン」

「いえ…」

乗組員の搭乗完了の報告を伝えに来てくれた、マリンに一郎は礼を述べた。
礼を言われたマリンは、褒められるのが慣れてないのか、照れくさそうに返事を返した。

「では、行きましょう」

「ああ…津軽の初陣だ」

剛士達は津軽に乗り込み、ハッチをしっかりと閉め、そのまま司令室に向かった。





全員が乗り込んだ後、警報が鳴りながら、津軽が止まっているドックに注水が始まる。

「出航準備整いました」

「うむ…錨巻き取れ!」

各班の出航準備が整ったのと同時に、津軽の錨が収納される。

「吃水線を超えます!」

「メインタンクブロー!」

吃水線が超えるのと同時に、津軽のメインタンクに圧縮空気が入れられ、船体が徐々に浮上し始める。

「…機関始動!」

「機関始動、よーそろ」

水漏れの確認をした後、津軽の主機が動き始める。

「微速前進、水密扉開けー!」

一郎の指示の元、津軽は微速前進で、水密扉の先に向かっていく。

「潜行よーい!注水弁開け!」

ある程度の深さになってから、津軽はメインタンクに海水を注水し始め、潜行し始める。

「深度50、微速前進のままドックから出よ」

津軽は潜水航行を始め、海中内にある夜桜艦隊用の出入口を通り抜け、ドックから出ていく。

「水漏れは確認されていないな?」

「はっ、問題なく航行できている模様です」

「よし。深度200まで急速潜行!」

『よーそろー!』

水漏れなどの異常がないか一郎が確認した後、操舵手を任されている、元らいげいの操舵手、一条いちじょう 雅弥みやびは、一郎の指示の元、深度200まで潜行を開始する。

「ソナーに異常はないな?」

「はい!問題ないです!」

一郎の質問に答えたのは、モフモフの尻尾を生やし、獣耳をピンッと立てている赤毛の獣人の少女、 紅宮くれみや。獣人故に番犬用として働かせられていた彼女は、耳と目が普通の獣人より良く、その耳の良さを買われ、津軽の水測員になったのだ。
ちなみに彼女は、一部海軍軍人達による、ケモ吸い被害者の1人である。

「深度200!」

「よし。南部に向けて最大戦速!武蔵の援護に迎えうぞ!」

一郎の一言により、津軽は20ノットで、武蔵援護のために水中で南下を始める。
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