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第四章〜日丸国建国〜

第25話 日丸国建国

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重々しい空気が漂う大和の会議室。
そんな空気をある人物が変えた。

「ダメです!今は会談中でして…!」

「いいから通してくれ!!」

外から誰かの声が聞こえて来たと思うと、大きな音を立てながら誰かが会議室に入って来た。

「きっ、貴様は…!?」

「これはこれは、異世界の皆様方…私はセレーネ公国の外交官、コーレオ・ファルトです。そこの不埒者めが失礼いたしました。おい、この馬鹿共を連れていけ!」

「はっ!」

会議室にカルデアシップの乗組員達が入ってきては、パール達を取り押さえる。

「おい離さんか!私を誰だと思っている!!やめろ待て!」

パール達は必死にあがくが、乗組員達はそのままカルデアシップへ、パール達を連れて行った。

「誠に申し訳ないことをした…我々は貴方方と対等な関係を結びたいと思っています。先程の書類は、アルカーヤ王国の王が自身の欲望を満たすために、貴方方に突き付けた物です…こちらが我々セレーネ連邦国の総意です。無論、確認していただいても構いません!」

ファルトはパールの愚行を謝罪し、セレーネ連邦国の書類を光成達に渡した。

「…はい!これなら、対等だと思います」

書類を読んだデルタは、不平等な点がないと光太郎達に伝えた。

「それなら、同盟締結ですな」

「こちらこそ、何卒宜しく願い致します」

それを聞いた光成は、満足そうな表情を浮かべ、ファルトと固い握手を交わした。

「して、我々は貴方方と貿易がしたい…そこでだ、この島々を貴方方の国にしてみてはどうでしょう?幸い、この島々の第一発見者は貴方方なので……」

ファルトは光太郎達に建国の案を出した。
それを聞き、光太郎達は驚いた。

「……その提案は少し時間をください。貴方方が帰るまでには応えを出しますので」

「分かりました、では私はカルデアシップで待機しておきます」

光成が時間が欲しいと伝えると、ファルトはカルデアシップへと戻って行った。





その晩、光太郎、信介、眞、光成、剛士、春菜、雪、恵奈、零が司令室に集まっていた。


「今回集まってもらったのは他でもない。今回、セレーネ連邦国から、同盟締結の申し出と、この島々を我々の物とし、国を作ってみてはどうかと来た」

光成が昼間のことを話すと、その場にいた光太郎以外の全員が驚いた。

「私と光太郎としては、同盟は結んでおいた方が良いと思っている。不平等条約を結ばれるのではないかという不安もあるが、同盟締結の書類をデルタに見てもらったところ、我々の立場が不利になる内容はないとのことだ」

それを聞き、眞と剛士は腕を組んで考え始め、それ以外の者は周りの者と小声で相談し始めた。

「現状、我々はこの世界のことを知らなすぎる…そんな中、大国の1つであるセレーネ連邦国が、仲良くしたいと手を差し伸べてくれたのだ。仲間が多いことに越したことはないだろう…」

騒然とする中、光成は自分の考えを全員に伝えた。

「…………あの、恐らくここにいる全員が、同盟の件に賛成派だと思いますが……その、国名や首相はどう致します?」

春菜が恐る恐る国名や首相などをどうするか聞くと、司令室が静まり返る。

「国名は日丸島からとって、日丸国などで良いと思うが……」

光太郎は国名の案を言いながら、光成の方を見つめる。それに続くように、他の者達も光成の方を見つめる。

「ま、待て…まさか私に首相をやれと……?」

嫌な予感を感じながら、光成は恐る恐る聞くと、全員が頷いた。

「待て待て!私のような老人より、若い光太郎などの方が…っ!」

助けを求めるように光成は、光太郎の方を見たが、

「いえいえ、様々な知識に長けた竹田さんの方が相応しいです。それに、将棋や囲碁では竹田さんの方が強いので」

光太郎は満面の笑みを浮かべながら、光成の推薦を断った。

「では、この国は日丸国で、首相は竹田光成ということでいいですね?」

「えっ、待っ」

イギナシ!!!

光成の有無を言わさず、竹田光成を日丸国初代首相にすることが決まる。
その後の国の方針会議では、日丸国は、民主主義の戦時中立国となることが、話し合いの末に決まった。





日丸国の建国、国家方針が決まった翌日の午前中。
セレーネ連邦国の国旗と、日丸国が国旗として採用した旭日旗が、掲げられているカルデアシップの甲板にて、日丸国側の首相竹田光成と付き添いの眞と光太郎の三名が、セレーネ連邦国側のファルトとその部下達と向かい合っていた。

「それでは、同盟締結の署名をお願い致します」

臨時の見届け人に選ばれたカルデアシップ船長が、両国の代表にそう伝え、光成とファルトはそれぞれの文字で書類にサインをする。
それと同時に、大和と武蔵が祝砲を放つ。
なお、この日丸国の建国並びに日セ同盟が締結されたという情報は、カルデアシップの機材により、魔法通信で全世界の国々に向けて発信されることになる。
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