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第四章〜日丸国建国〜
第23話 セレーネ連邦国からの使者
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「撃ち方始め!」
光太郎が攻撃命令を出すと、沖合にある木の目標に向け、大和が全門一斉掃射する。
そして、何箇所かに水柱が立ち上がったが、目標は無事だった。
「そうか、ダメだったか…」
第一艦橋に居る光太郎は、弾着観測のために目標の近くに居たらいげいから、命中弾なしと報告を受けていた。
「やはり難しいですね…」
「だな…まぁ、何度も試行錯誤するしかないな…」
「ですね」
報告を受けた光太郎と一郎は、互いの顔を見合わせることなく、会話をする。
現在光太郎達は、日丸島で制作された砲弾を試し打ちをして居るのだ。
だが、日丸島製の砲弾は命中性能が悪く、中々当たらないというのが現実だ。
大和がまた別の砲弾を装填しようとしたその時、
『電探に艦あり!十時の方向に所属不明艦!』
「何?」
所属不明艦の反応がありと聞き、光太郎は双眼鏡で左前の方を見る。
眺めていると、4檣バーク型の大型帆船、カルデアシップがこちらに向かって来ているのが、見えて来た。
「…よし、接近して要件を聞く。機関始動!」
「よーそろー!」
停泊していた大和は、錨を巻き取り、カルデアシップに向けて舵を取る。
シュヴァルツの件もあり、大和は主砲をカルデアシップに向けながら進み、同行させた。
「シュヴァルツ…にしては、軽装だな」
「ええ、前の海戦で我々の脅威は、嫌って程分かっているはずですしね…」
カルデアシップの装備を見て、光太郎はその軽装さに疑問を抱く。
「…艦長、シュヴァルツじゃないかもしれませんよ?」
「何?」
「マストの旗を見てください」
双眼鏡でカルデアシップのことを見つめていた一郎は、あることに気付き光太郎にも見るように伝えた。
「星の旗か…」
「ええ…シュヴァルツは確か、鷲のマークでしたから…」
カルデアシップの旗が、シュヴァルツの旗とは違うことが分かり、光太郎は少し考える。
「ふむ…ならば、紅吉が言っていた別の大国の者かもしれないな…帆船でここまで来たと考えると…」
「セレーネ連邦国……」
巨大な帆船だったのと、シュヴァルツとは違うマークだったため、帆船の所属国はセレーネ連邦国だと、光太郎と一郎は考えた。
「取り敢えず、乗船している者と出会うか…」
「ですね」
カルデアシップの乗組員達と会うために、光太郎と一郎は第一艦橋から甲板に向かった。
〇
二人が甲板に出ると、カルデアシップに乗り込んでいる者が見える。
「始めまして、私はセレーネ連邦国の代表としてきました。アルカーヤ王国のアニバト・パールです」
「戦艦大和艦長、山本光太郎です」
互いに向き合ったパールと光太郎は、それぞれの船から自己紹介を行う。
「それで…今回はどのようなご用件で?」
帽子のつばを片手で持ちながら、光太郎は鋭い眼光でパール達を睨みつける。
「……っ…シュヴァルツの大艦隊と戦ったと聞きましてね…それで同盟を結びたいっと思いまして…」
光太郎の眼光に、パールは少し怖気づきつつ、今回訪れた要件を伝えた。
「…他の者と話し合わないといけないので、同盟の件は少し保留させてください。まぁ、ここで立ち話もなんですから、日丸島まで案内いたします」
「おお、是非お願いします」
大和は汽笛を鳴らし、カルデアシップの前に出て、日丸島の入り江へと、カルデアシップを案内し始める。
「…宮野副長、本島へ同盟の件と、今からいう者を呼ぶよう打電をしてくれ…」
第一艦橋に戻った光太郎は、共に戻った一郎に打電をするよう頼んだ。
「同盟のことを報告するのは分かりますが…人を呼ぶのは何故ですか?」
「ただの勘だよ…嫌な勘だけどな」
「はっ!」
一郎からの質問に、光太郎は勘とだけ答え、その答えに疑問を抱くことなく、一郎は打電を命じた。
〇
「何というデカさなんだ…」
大和の後を続くカルデアシップの甲板にて、パールは大和の大きさに驚いていた。
「確かに、この戦艦が二隻も居た、となると、シュヴァルツ艦隊が負けるのも納得です」
パールと同じく、大和の大きさに内心驚いているファルトは、シュヴァルツ艦隊が負けたのに頷きながら納得した。
「…して、ファルト殿?少々宜しいですか?」
「何でっ!!」
周りに部下以外誰も居ないと確認したパールは、ファルトに対して雷魔法を使い、スタンガンのように感電で気絶させた。
「おい、こいつの部屋に運んでおけ、見つかった時は適当な理由でも言っておけ」
パールは、気絶したファルトを部屋に運ぶように部下に命令し、二名の部下がファルトを船内へと運び始める。
「これで邪魔者は居なくなった…」
邪魔者だったファルトが居なくなった喜びで、パールは気味の悪い笑みを浮かべ、自分達の計画が上手くいくと確信する。
まだ邪魔者が居るとは知らずに…
光太郎が攻撃命令を出すと、沖合にある木の目標に向け、大和が全門一斉掃射する。
そして、何箇所かに水柱が立ち上がったが、目標は無事だった。
「そうか、ダメだったか…」
第一艦橋に居る光太郎は、弾着観測のために目標の近くに居たらいげいから、命中弾なしと報告を受けていた。
「やはり難しいですね…」
「だな…まぁ、何度も試行錯誤するしかないな…」
「ですね」
報告を受けた光太郎と一郎は、互いの顔を見合わせることなく、会話をする。
現在光太郎達は、日丸島で制作された砲弾を試し打ちをして居るのだ。
だが、日丸島製の砲弾は命中性能が悪く、中々当たらないというのが現実だ。
大和がまた別の砲弾を装填しようとしたその時、
『電探に艦あり!十時の方向に所属不明艦!』
「何?」
所属不明艦の反応がありと聞き、光太郎は双眼鏡で左前の方を見る。
眺めていると、4檣バーク型の大型帆船、カルデアシップがこちらに向かって来ているのが、見えて来た。
「…よし、接近して要件を聞く。機関始動!」
「よーそろー!」
停泊していた大和は、錨を巻き取り、カルデアシップに向けて舵を取る。
シュヴァルツの件もあり、大和は主砲をカルデアシップに向けながら進み、同行させた。
「シュヴァルツ…にしては、軽装だな」
「ええ、前の海戦で我々の脅威は、嫌って程分かっているはずですしね…」
カルデアシップの装備を見て、光太郎はその軽装さに疑問を抱く。
「…艦長、シュヴァルツじゃないかもしれませんよ?」
「何?」
「マストの旗を見てください」
双眼鏡でカルデアシップのことを見つめていた一郎は、あることに気付き光太郎にも見るように伝えた。
「星の旗か…」
「ええ…シュヴァルツは確か、鷲のマークでしたから…」
カルデアシップの旗が、シュヴァルツの旗とは違うことが分かり、光太郎は少し考える。
「ふむ…ならば、紅吉が言っていた別の大国の者かもしれないな…帆船でここまで来たと考えると…」
「セレーネ連邦国……」
巨大な帆船だったのと、シュヴァルツとは違うマークだったため、帆船の所属国はセレーネ連邦国だと、光太郎と一郎は考えた。
「取り敢えず、乗船している者と出会うか…」
「ですね」
カルデアシップの乗組員達と会うために、光太郎と一郎は第一艦橋から甲板に向かった。
〇
二人が甲板に出ると、カルデアシップに乗り込んでいる者が見える。
「始めまして、私はセレーネ連邦国の代表としてきました。アルカーヤ王国のアニバト・パールです」
「戦艦大和艦長、山本光太郎です」
互いに向き合ったパールと光太郎は、それぞれの船から自己紹介を行う。
「それで…今回はどのようなご用件で?」
帽子のつばを片手で持ちながら、光太郎は鋭い眼光でパール達を睨みつける。
「……っ…シュヴァルツの大艦隊と戦ったと聞きましてね…それで同盟を結びたいっと思いまして…」
光太郎の眼光に、パールは少し怖気づきつつ、今回訪れた要件を伝えた。
「…他の者と話し合わないといけないので、同盟の件は少し保留させてください。まぁ、ここで立ち話もなんですから、日丸島まで案内いたします」
「おお、是非お願いします」
大和は汽笛を鳴らし、カルデアシップの前に出て、日丸島の入り江へと、カルデアシップを案内し始める。
「…宮野副長、本島へ同盟の件と、今からいう者を呼ぶよう打電をしてくれ…」
第一艦橋に戻った光太郎は、共に戻った一郎に打電をするよう頼んだ。
「同盟のことを報告するのは分かりますが…人を呼ぶのは何故ですか?」
「ただの勘だよ…嫌な勘だけどな」
「はっ!」
一郎からの質問に、光太郎は勘とだけ答え、その答えに疑問を抱くことなく、一郎は打電を命じた。
〇
「何というデカさなんだ…」
大和の後を続くカルデアシップの甲板にて、パールは大和の大きさに驚いていた。
「確かに、この戦艦が二隻も居た、となると、シュヴァルツ艦隊が負けるのも納得です」
パールと同じく、大和の大きさに内心驚いているファルトは、シュヴァルツ艦隊が負けたのに頷きながら納得した。
「…して、ファルト殿?少々宜しいですか?」
「何でっ!!」
周りに部下以外誰も居ないと確認したパールは、ファルトに対して雷魔法を使い、スタンガンのように感電で気絶させた。
「おい、こいつの部屋に運んでおけ、見つかった時は適当な理由でも言っておけ」
パールは、気絶したファルトを部屋に運ぶように部下に命令し、二名の部下がファルトを船内へと運び始める。
「これで邪魔者は居なくなった…」
邪魔者だったファルトが居なくなった喜びで、パールは気味の悪い笑みを浮かべ、自分達の計画が上手くいくと確信する。
まだ邪魔者が居るとは知らずに…
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