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第四章〜日丸国建国〜
第22話 使節団出港
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セレーネ連邦国の所属国家アルカーヤ王国。
その国の港町カルヤルドに、使節団のメンバーが集まっていた。
カルヤルドの港にはカルデアシップと船名が書かれたセレーネ連邦国の最新型の帆船カルデアシップが1隻、使節団を乗せるために停泊していた。
カルデアシップ。4檣バーク型の大型帆船で最高速度は20ノット。自衛用に大砲が両舷に15台ずつ設置されている。
「ほう、これがセレーネ公国の最新の帆船ですか…」
今回、使節団の1人として派遣されることになったパールは、カルデアシップを眺めていた。
「では行くぞ…」
ハッ!!
少しカルデアシップを眺めた後、パールは部下を引き連れ、カルデアシップに乗り込む。
「待ってましたよ。パール殿…」
「なっ!」
パールがカルデアシップに乗り込むと、そこには身だしなみをしっかりと整えている茶髪の男、コーレオ・ファルトが、優雅に紅茶を飲んでいた。
「何故、セレーネ公国の外交官である貴方がここに?」
パールは冷静になりながら、ファルトに居る理由を尋ねた。
「いやなに…このカルデアシップは、外交用の船の候補に挙がっておりましてね…いい機会ですので、外交官である私が、乗り心地や航海性能を確かめようと思いましてな」
紅茶を飲みながら、ファルトはパールの質問に答えた。
だが、ファルトがパールにした答えは建前で、ファルトの本来の任務は、パール達が怪しいことしないかどうかを見張ることである。
「まだ、出発には時間がありますし、一緒にお茶はいかがでしょう?」
ファルトは微笑みながら、パール達をお茶に誘う。
「断るっ!!」
おちょくられていると思ったパールは、顔を真っ赤にさせながら、部下を連れて自分達の部屋へと向かって行った。
「…さて、あの者達はどうでることやら…」
紅茶を啜りながら、ファルトは船内へ入っていくパール達を見届けた。
〇
「クソ…ッ!」
部屋に入ったパールは、怒りを込めて壁を叩いた。
そして一度落ち着くために、ベッドに座った。
(このままでは、植民地化する計画がダメになってしまう……どうにかして、奴を口出しが出来ないようにしなければ…!)
パールは顔を下に向け、頭を抱えて悩む。
暗殺、毒殺、事故に見せ掛けた死など、物騒な方法を思いつくが、バレた時、アルカーヤが孤立するのが目に見えるため、出来るわけがない。
「…パール様、そろそろ出港時間です。甲板で上がりませんと……」
「もうそんな時間か…分かった。すぐ向かおう」
部下から出港時間と聞き、パールは乱れた所を直し、部下を引き連れて、見送りに顔を出すために、甲板へと上がって行った。
〇
パールが甲板に上がり、港の方を見てみると、多くの人が使節団を見送ろうと集まっていた。
それに答えるため、パールは笑顔を作り、手を振り返していた。
「おや、作り笑顔上手ですね…」
そこに、手を振り返しているファルトが、皮肉を込めてパールを褒める。
「アハハ…」
パールは苦笑いしながら誤魔化したが、内心では腹が立っていた。
ファルトとパールがぶつかり合っている中、カルデアシップは汽笛替わりの鐘を鳴らしながら、動き出す。
使節団を乗せたカルデアシップは、カルヤルドの港から日丸島に向けて、出航して行った。
その国の港町カルヤルドに、使節団のメンバーが集まっていた。
カルヤルドの港にはカルデアシップと船名が書かれたセレーネ連邦国の最新型の帆船カルデアシップが1隻、使節団を乗せるために停泊していた。
カルデアシップ。4檣バーク型の大型帆船で最高速度は20ノット。自衛用に大砲が両舷に15台ずつ設置されている。
「ほう、これがセレーネ公国の最新の帆船ですか…」
今回、使節団の1人として派遣されることになったパールは、カルデアシップを眺めていた。
「では行くぞ…」
ハッ!!
少しカルデアシップを眺めた後、パールは部下を引き連れ、カルデアシップに乗り込む。
「待ってましたよ。パール殿…」
「なっ!」
パールがカルデアシップに乗り込むと、そこには身だしなみをしっかりと整えている茶髪の男、コーレオ・ファルトが、優雅に紅茶を飲んでいた。
「何故、セレーネ公国の外交官である貴方がここに?」
パールは冷静になりながら、ファルトに居る理由を尋ねた。
「いやなに…このカルデアシップは、外交用の船の候補に挙がっておりましてね…いい機会ですので、外交官である私が、乗り心地や航海性能を確かめようと思いましてな」
紅茶を飲みながら、ファルトはパールの質問に答えた。
だが、ファルトがパールにした答えは建前で、ファルトの本来の任務は、パール達が怪しいことしないかどうかを見張ることである。
「まだ、出発には時間がありますし、一緒にお茶はいかがでしょう?」
ファルトは微笑みながら、パール達をお茶に誘う。
「断るっ!!」
おちょくられていると思ったパールは、顔を真っ赤にさせながら、部下を連れて自分達の部屋へと向かって行った。
「…さて、あの者達はどうでることやら…」
紅茶を啜りながら、ファルトは船内へ入っていくパール達を見届けた。
〇
「クソ…ッ!」
部屋に入ったパールは、怒りを込めて壁を叩いた。
そして一度落ち着くために、ベッドに座った。
(このままでは、植民地化する計画がダメになってしまう……どうにかして、奴を口出しが出来ないようにしなければ…!)
パールは顔を下に向け、頭を抱えて悩む。
暗殺、毒殺、事故に見せ掛けた死など、物騒な方法を思いつくが、バレた時、アルカーヤが孤立するのが目に見えるため、出来るわけがない。
「…パール様、そろそろ出港時間です。甲板で上がりませんと……」
「もうそんな時間か…分かった。すぐ向かおう」
部下から出港時間と聞き、パールは乱れた所を直し、部下を引き連れて、見送りに顔を出すために、甲板へと上がって行った。
〇
パールが甲板に上がり、港の方を見てみると、多くの人が使節団を見送ろうと集まっていた。
それに答えるため、パールは笑顔を作り、手を振り返していた。
「おや、作り笑顔上手ですね…」
そこに、手を振り返しているファルトが、皮肉を込めてパールを褒める。
「アハハ…」
パールは苦笑いしながら誤魔化したが、内心では腹が立っていた。
ファルトとパールがぶつかり合っている中、カルデアシップは汽笛替わりの鐘を鳴らしながら、動き出す。
使節団を乗せたカルデアシップは、カルヤルドの港から日丸島に向けて、出航して行った。
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