ミルクはお好きですか?

リツカ

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43.指輪

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「んっ、あ……」

 やがて、ようやく射精を終えたらしいシュラトの性器がずるりと引き抜かれる。
 カルナは崩れ落ちるように横向きに倒れたあと、フーフーと大きく息を吐いた。

 今までで一番激しくて、一番気持ちよくて、一番疲れた。下半身の感覚が鈍く、両腿はいまだに痙攣している気がする。

「大丈夫か?」

 カルナの顔を覗き込んできたシュラトが、優しくカルナの頭を撫でた。ぼんやりしたままのカルナがこくんと小さく頷くと、安心したような表情でカルナの唇にキスを落とす。
 そして、シュラトはゆったりと体を起こしてこう言った。

「じゃあ、もう一回しよう」
「え……?」

 カルナの口から間の抜けた声が出た。そのくらい意味がわからなかった。
 前髪を掻き上げながらどこか妖艶に微笑んだシュラトは、ベッドに倒れたままのカルナを恍惚とした表情で見下ろす。

「子どもができるまで毎日しよう。できなくても毎日しよう。とりあえずもう一回しよう」
「……いや、ちょっと意味がわからないんですけど……」
「カルナ、愛してるよ。俺の奥さん」
「あの、俺の話を……っンン~~!?」

 深く口付けられると同時に、今度は正面から最奥へと一息で突き入れられた。さきほど射精したばかりであるはずのシュラトの性器はガチガチに勃起したまま、再びカルナのナカでドクドクと脈打っている。

「ふ、ぁ……き、今日は、もう……っあ、んん……」
「二週間分するって言っただろ?」
「でもっ、もう……っ、ひぅ、あ、乳首つねっちゃだめっ……アッ、やっ……」

 ミルクまみれの乳首をクニクニと弄られながら腰を打ち付けられると、頭が真っ白になって、気持ちいい以外何も考えられなくなる。

 そのあとはまた、ナカに種付けされて、ミルクを飲まれて、何度もイかされて、また突き入れられて、揺さぶられて──
 途中、夢なのか現実なのかわからない快楽の波に呑まれながら、カルナはただシュラトの名前を呼んで、好きと愛してるの言葉を繰り返した。
 それはシュラトが満足するまで続き、何度も絶頂させられたカルナは、いつしか気を失うように眠ってしまっていた。



 その後、カルナが意識を取り戻す頃にはすっかり陽も落ち、夜が深まっていた。
 全身が重くて、気だるい。特に下半身の方は未だにうまく動かせそうになかった。

 カルナが目だけで隣を見ると、穏やかな表情をしたシュラトがすやすやと眠っている。
 少し恨めしいが、それでも愛おしい。
 シュラトを見つめるカルナの顔に浮かぶ笑みは、苦笑と呼ぶには些か柔らかすぎる、愛情に満ちたものだった。

 重たい腕を持ち上げ、そっとシュラトの頬に触れる。そのとき、カルナはふとある物に気付いて、頬に触れた手が軽くビクッと跳ねた。

「んっ……」

 シュラトが眉間に皺を寄せ、身動ぐ。
 あわてて手を引っ込めたカルナは、起こしてしまったかと内心焦っていたが、その後シュラトはまた穏やかな寝息をたてはじめた。

 ホッとしたカルナは、視線をシュラトの寝顔から自身の手元に移す。そして、目の前に左手を持ってきて、じっとそれを見つめた。
 左手の薬指にはめられたプラチナリングの美しさに、ほうっと感嘆の息がもれる。
 月明かりだけが頼りの薄暗い室内の中、中央に埋め込まれていたダイヤモンドがキラキラと輝いていた。

 いつの間にはめられたのかわからないが、よく見れば眠っているシュラトの左手の薬指にもお揃いの指輪が着けられている。
 自身の左手をシュラトの左手の隣に並べて、カルナは頬を緩めて笑った。
 満足するまでそれを眺めたあと、カルナはシュラトの体にぴたりとくっついて、再び静かに目を閉じる。
 涙が出そうなほど幸せで、明日になるのが待ち遠しかった。
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