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第一章.狂犬
目が奪われた先
しおりを挟む「疲れたー。もう、向こうのチーム強すぎない?」
「バレー部の子が多かったもんねー」
「ほんとバレー部で固まるのズルすぎ!」
パタパタとジャージの襟元を扇いで風を入れながら文句を言うあいちゃんに、私はあいちゃんの隣にしゃがみ込んで苦笑いを浮かべる。
現在は体育の授業中で、今日は女子はバレーボールだった。即席チームを作って試合形式で対戦していくという、比較的楽な授業内容。
あいちゃんと私は同じチームで、対戦相手はバレー部の人が多いチーム。こっちのチームにはバレー部の子はいないから、もちろんいつも部活でやっている子達に勝てる訳もなくぼろ負けだった。
私たちの出番も終わって、他のチームが試合をするのを後は隅の方で見学となる。
「まあ負けても別にいいんだけどさー、後の残り時間は見学してるだけだし?」
「今日は楽な授業内容でよかったよね!」
「それね! 男子の方も見れるし!」
体育館を真ん中でネットで区切り、片方は女子がバレー。もう片方は男子がバスケをしていた。あいちゃんは「見やすいようにもっとネットの近くに行こう」と立ち上がったから、私もその後に着いて行く。
今日は隣のクラスと一緒の授業で、その隣のクラスにはあいちゃんの今イチオシの男子がいるそうだ。
ネットの近くに行き座る私とあいちゃん。私たちの他にも男子のバスケ姿を見ようとネットの近くに集まってる女子は多いみたいで先約が沢山いた。
「やっぱり人気あるなー、あの子たち絶対私が今イチオシしてる阿部くん見に来てるよ」
「え、そうなの? 阿部くんって人はそんなに人気なの?」
「爽やか系イケメンって感じだね! 入学してまだそんなに経ってないのに、既にもう告られまくってるみたいだし!」
「へー!」
「ほらあの人!」と指さされた所を見ると、確かに爽やかそうな人が今まさに試合をしていて、ドリブルをしながら走っていた。
長過ぎず短すぎず今どきな黒髪の髪型で、顔も整っていて優しそうな雰囲気が醸し出されている。
その阿部くんがボールを持って目の前を走って行く度に、他の見てる子達はきゃーきゃー騒いでいた。
あいちゃんの言っていた事は正しかったみたい。
「まあ見た目はいいけど中身はどうなんだろうね~」
「え? 優しそうな雰囲気してるけど……」
「いやーどうだか」
「今イチオシなんじゃないの?」
「顔はね! 目の保養ってやつ」
「目の保養……」
あいちゃんはオタク気質で、小中でもいつも目の保養と言って、推しの子を探していた。その目の保養も結構コロコロ変わる。
目の保養なだけであって別に付き合いたいとかの恋愛的な好きではないといつも言ってる。その度に私は違いがよく分からず首を傾げていた。
昔を思い出しながらぼーっとバスケを眺めていたが、さっきから阿部くんは何度もドリブルをしてゴール近くまで行ってゴールを狙おうとするのだがことごとくゴール出来ずにいる。
パスを出しても誰かに必ず止められ、その人にボールを奪われていて。そしてその人に逆にゴールを決められていた。阿部くんからボールを奪って、自分のゴールから敵ゴールまでドリブルをしながら走り抜けて行くその人に目を奪われた。
「……鬼潟くん」
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