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アンリミテッド・スノーマンの情景
9.
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〝おい、圭吾……! 行かせて良いのかよ……!?〟
引き留めるどころか追いかける素振りも見せない圭吾に痺れを切らし、犬神は怒鳴るように問い質した。それは、望まれていないとわかってしまったが故に床に縫い付けられたまま動けなかった自身への苛立ちも、入り混ざった八つ当たりのような言葉だった。
〝圭吾……!!〟
まるで彼ひとりが唯一正解を知っている存在か何かのように、繰り返しその名前を呼ぶ。神様でも謹慎処分中のバイト要員でも、真実を教えてくれるのなら誰でもいい気分だった。そうでなければ、犬神をまるごと飲み込むような大きな混乱と、それを上回る虚脱感から立ち直る術も見つけられない。一人と一匹を躊躇わず捨て置いて出ていった師弟が今、どんな気持ちでいるのか犬神にはまるでわからなかった。
「多分ですけど」
前置きを添えた圭吾が、思案顔で一瞬口をつぐむ。
「あれはフェイクです」
真顔で告げられた言葉には、僅かに力強さがあった。
〝フェイク……?〟
言い切られた単語の真意がわからず、犬神は弱々しい声で問い掛ける。平均と比べても遥かに頭の回転が早いだろうその男は、数珠を恭介に渡した時のようにひどく落ち着いた素振りで、斜めにずれていた台所の椅子を手前に引いてそこに座った。
「ずっと気になってたんですよね。僕が旅立つ二日前のあの日、どうして烏丸さんは唐突に呪殺の話をしたんだろうって」
〝……そんなの、恭介にベタベタひっつくお前を牽制したかったんだろうが〟
「まぁ、七割以上はそうだと思いますけど」
肩を竦めて、圭吾が即答した。
「あの日烏丸さんは、自身が呪殺を行える知識を持っていること、その上で誰かを殺すのにナイフを使うのは馬鹿げていると思っていることを、念を押すように話していましたよね? あれは、もし今後自分がナイフを使って先輩を脅すようなことがあったとしたら、それはポーズであって本気ではない、ということを暗に伝えたかったからだとは思いませんか?」
〝……〟
僅かな期待が頭をもたげ、だからこそ犬神は圭吾の結論に賛同しかねた。
彼の言うように、烏丸の裏切りがフェイクであればいい。そう願うのは犬神の私情だった。今自分は、正しい判断ができているとはとても思えない。あの男へ向けた情愛が、信頼が、いちいち犬神の目を曇らせるのだ。
この神社で共に過ごした、重ねた七年は長かった。
「勿論、これだけではご都合解釈に他なりません。なので、念のため確認もしましたし」
〝確認?〟
「『お味噌汁くらい、飲んで行きませんか?』ですよ」
胸ポケットから脱脂綿を取り出しながら、意味のよくわからないことを圭吾が呟いた。
〝はあ?〟
味噌汁が何だって? という言葉はとりあえず飲み込んで、犬神は目を白黒させながら相槌になりそこねたような声を上げる。
「烏丸さんが呪殺の話をした日、僕とあの人が交わした、僕とあの人しか知らない会話です」
指についた血を綿で拭いながら圭吾が、足りなかっただろう説明を付け足した。
「わざと同じ言い方をしたんですけど、同じ言葉を返されました。先輩がけんちん汁を作っていたこの状況で、改めて汁物を調理する必要はないあの献立を知っていて、まぁ……知っていたというか食べたのかもしれませんが」
〝お前すげェけんちん汁のことねちねち言うのな〟
「とにかくそういった状況の把握はしていて、更に言えば今この場に駆けつけたばかりの僕らがわざわざ必要のない味噌汁を作る理由も時間もなかったことをわかっていて『何言ってるんだ』という言葉も、表情もなく、です――迷わず合言葉のように、或いは交わした会話を意図的に再現するかのように、同じ台詞をなぞってくれました。あの日の烏丸さんの発言に、何かしらの意味があった証拠でしょう」
〝……〟
圭吾のどこまでも冷静な声が、じわじわと犬神を警醒する。それは、まるで世の理をただ口にしているかのように、揺るぎのない蓋然性に溢れている声だった。フーダニット・ゲームを楽しんでいるだけだなんて、笑い飛ばすことはできない。素人の当て推量だと、切り捨てることもできない。猜疑心に飲まれて、今立っている足元さえ信じることもできず、感情のコントロールさえもままならなかった自分が恥ずかしくなった。
烏丸の掌返しが本心からでなければいいと、願う気持ちが眼を曇らせていたのではない。そう願う気持ちが足枷になるという思い込みこそが、犬神の嗅覚を鈍らせていた。
「烏丸さんを真っ先に疑う前に、他に心当たりはないんです?」
〝心当たりも何も……〟
「先輩は今、九尾を使えない。つまり、どこかへ連れ出すには絶好のチャンスです。そのことを僕たち以外で知っていたのは、ほんとに烏丸さんだけだったんですか?」
〝いや……〟
見透かすようにクリアな目で、圭吾がじっと犬神を見遣る。自分でも驚くほどに頭の靄が晴れていき、犬神はふいにその一言を思い出した。
そうだ、あの日。
圭吾に武器を持たせてしまったことを嘆き、昏倒した恭介が目覚めない現状に疲れ切っていた犬神を、甘い紫煙を燻らせながら烏丸はただ諭してくれた。左手の治療にかかる具体的日数を説明し、絶対に直すと約束し、その間は九尾を呼ぶなと言い含める烏丸と犬神の会話を、確かに聞くことができた人物は。
――私の方こそ、お話し中にすみません……あの、どうしても今日のことお礼が言いたくて。
〝……しまった〟
あの時、遮るように声を掛けてきたのは誰だ。おそらくは会話の一部始終を聞いていて、申し訳なさそうにそう呟いた人物は。投げられた台詞が、交わしたやりとりが、録音テープを再生するかのように、ふいに脳内ですべて甦る。
「……犬神さん?」
〝戻るぞ、圭吾! 鳴海が危ねェ!!〟
「すみません、取り急ぎ必要なものだけ買ってきました」
恭介の家から徒歩十分の圏内を二分オーバーすれば、どうにかコンビニエンスストアと呼ばれる店に辿り着くことができる。片道、十分と少し。それはつまり、往復で三十分弱ということ。普段なら買い出しを頼むのにもやや躊躇う距離だが、今日はあの神社に繋がる嫌味のように長い階段を降りた場所にいたのが功を奏していた。お陰で平均時間より早く買い出しを済ませてきた拓真が、いそいそとビニール袋を漁っている。
拓真の取り急ぎ買ってきたものが何なのかもその用途もわかっていた一之進は、その体の持ち主に代わって胸元のボタンを乱雑に外した。肩からシャツを抜こうとして、一瞬顔をしかめる。血液に張り付いた布地に引っ張られて、傷口に僅かな刺激が走った。
こういう時に躊躇ってしまうと、より長い時間痛みへの恐怖と格闘しなければならないから。意を決して、シャツを引っ張った。勢い外していなかったボタンまで引きちぎってしまい、すぐ隣で鳴海の悲鳴か上がる。
〝ちょ、ちょっと! それまだ今季は着なきゃいけないんだからね!? 乱暴に扱わないでよ、もう……!〟
耳元で騒ぎ立てられるクレームは聞き流した。消毒液の蓋を開けた拓真が、その傷口にたっぷりと噴き掛ける。加減を忘れた量の多いそれは、血液に混じって二の腕を伝い落ちていた。
ガーゼを当てて吸い取りながら、拓真は丹念に傷口の手当てを進めている。拭ったそばから滲み出る血液に、臨時的にその体の持ち主となった一之進が露骨に眉を寄せた。
「おい鳴海。この肩の怪我結構ひどいぞ。こんな目に遭っといて、犬神に、恭介のところに行けなんて簡単に言うなよ」
たまたま俺が来たから良いようなものの、と付け足された補足に、怒られている立場だとは重々承知の上で口許がだらしなく緩んでしまう。自分だけが抱えるはずだった痛みを、世界でただ一人だけの彼と共有できることが不謹慎ながらも嬉しかった。
〝うん……へへ〟
「うんじゃねェよ馬鹿。ほんとにわかってんのかお前。アア?」
ぽやぽやと笑うだけの鳴海に歯を剥いて、お人好しの元商家三男坊が凄んだ。人生で一度も人に向けて悪態などついたことのない鳴海だったが、無害そうな自分の顔もここまで歪めることができるのかと他人事のように感心してしまう。
「あの、イチャイチャしてるところすみません」
「イチャイチャなんかしてねーだろ!?」
自身の顔面表情筋の可動域を更に観察しようとまじまじと顔を覗き込んでいたせいで、夜更けの公園で見つめ合う二人だなんて、少女漫画も裸足で逃げ出すような世界を作ってしまったようで。遠慮がちな拓真の声は、揶揄うでもなくひどく真面目だった。一之進はすぐさま訂正を求めるように怒鳴ったが、鳴海の方は改めていちゃいちゃを否定せず、促すように顔を拓真に向けるだけに留める。
「あの……僕急いでいて、飲み物も何も、買ってこなくて……もう一度コンビニに行ってくるので、他にも何か必要なものがあれば教えてもらえますか」
「いや、もう恭介んち近ェし、安全が確保されていない現状からして、何度もバラバラになるのは悪手だろ。ひとまず全員で神社に急ごうぜ」
あれから拍子抜けるぐらいあっさりと負けを認めた智也が退却し事無き事を得たものの、仲間を引き連れて再び襲われるとも限らない。ひとまずの危機は回避できたとはいえ、用心するに越したことはない状況だった。
「でも……喉、乾きません?」
「……」
先程までは何とも思わなかったが、改めて確認されると乾いているような気もした。自分はともかく鳴海の体はこれだけ出血しているのだし、水分補給は可及的速やかに必要な治療のひとつかもしれない。
「水、余ってんだろ。一旦それをくれよ。後は恭介に、何か茶ァ淹れてもらうわ」
「わ……わかりました」
くるりと背を向けて、拓真がペットボトルの蓋をひねっている。別にそれくらい自分でできるけど、は言いかけてやめた。いまいち怪我の規模がわかってないふわふわした砂糖菓子のようなこの男に少しでも自覚を持たせるため、甘えられるところはとことん甘えて何もしないと心に決めたのだ。
〝……もう、君に会えないと思ってた〟
芽吹く前の蕾のように、鳴海の頬が柔らかなピンクに彩られている。まるで恋する乙女のようだ。そんな顔で話し掛けるのはやめて欲しかった。何だかこちらまで、よくわからない甘酸っぱさに照れてしまうから。
「俺は、そのつもりだったけど」
〝意地悪ばっか言う……ね、どうしてまたここに来れたの?〟
「一之進」
遮るように、水を渡された。空気を読んだつもりなのか、それきり拓真は少し距離をあけて二人きりにしてくれている。
「……や、話せば長くなるんだがよ」
花見客のような浮かれた空気を払拭するべく、一之進はたった今受け取ったペットボトルを左手に持ち替え、煽り飲んでから簡潔に答えた。
「今の、拓真の守護霊が――……」
〝……いち君?〟
――否、答えた、筈だった。
握っていた筈のペットボトルが、太股にバウンドし、ゴロゴロと地面を転がる。スローモーションというより、コマ送りに感覚は近い。まるで急に握力がなくなったかのように、ぴたりと腕が動かせなくなった。
「……あ……?」
違和感に気づく頃には、もう一之進の意志で動かせるパーツはどこにもなくなっていた。
まさか。
俄かには信じがたかったが、この異変がペットボトルを受け取って口にした直後に訪れたものだということは、鈍い頭でも確信している。
無理に動かそうとして、ぐらり。体が前傾姿勢を維持出来ずに土の上に倒れ込んだ。
〝いち君っ……!〟
近寄った、鳴海の幽体が蜃気楼のように揺れている。その透き通る体の背後から、招かれざる客はやってきた。
「よくやった。拓真」
細い目だと揶揄した相貌をより一層線のように歪めて、智也がゆうるりと笑った。小脇に抱えた金魚鉢を、愛おしげに撫でている。硝子で出来たそれには、金魚の尻尾を模したようなデザインの口が上向きに大きく開いており、オレンジと濃紺のグラデーションが施されていた。その小さな水槽の中には、元気良く泳ぐ一匹と、水死体のように浮いている一匹。
くつくつと不気味に笑う智也が、掌を掲げた。伸ばされるその腕が、翳された対象を見て愕然とする。
獲物は、ピクリとも動けない自分じゃない。標的を何の弊害もなく拐うために、一之進を動けなくする必要があった、ということ。
「お前ら……最初っから、鳴海を……!」
「煩いな。お前には用はない」
神経質そうに歪められた眉毛の下で、光のない瞳が冷たく一之進を睨めつける。
今何時だろうと、ふいに鳴海は思った。現実逃避の一種だったのかもしれないし、単純に浮かんだ疑問のようでもあった。そうしてから漸く、自分が拓真に抱いた違和感の正体に気づいた。彼は、恭介のところに先日のお礼と、挨拶をしに来たと言っていた。携帯に親指の指紋を当てて正確な時間を確認できる肉体は今現在持ち合わせていないが、本当に恭介に感謝しており挨拶をしたいと思っているなら、少なくとも訪れるにふさわしい時間帯をもう少し考える筈だ――今更、気づいたって遅いのだけれど。
そう。何もかもが遅かった。もう時間がないのだと、鳴海は静かに悟った。この男に拐われて、どこかに連れていかれてしまった後では、次はいつ一之進に会えるかもわからない。だったら――だったら。
一之進が去ってしまったあの日から、伝えれば良かったとずっと思っていたことがあった。バイバイ、でもなく、また会おうね、でもない。鳴海はずっと、言わずに終わってしまったこの言葉を、抱えながら後悔していた。
〝いち君〟
目の前に骸骨のような掌を掲げられる。不思議と、声は震えなかった。
〝だいすき〟
子供が親に伝えるかのような、どこまでも無垢で、あどけない声。見慣れた筈の自分の顔が、驚きに目を瞠るのが見えた。不思議だなと思った。顔が鳴海でも、その表情がすべて、一之進の動かしたものだと思うと、堪らなく愛しくて――世界一可愛い。
「鳴海っ……!」
喉を切り裂くような声が、鳴海に縋る。動かない手を伸ばそうとして、土の上を引き摺っても、その指先は届かない。智也の掌に吸い込まれるようにして、鳴海の魂が消えた。掲げていたそれを軽く握って、人差し指を金魚の死骸に向ける。ピチャン。今までピクリとも動かなかった一匹が、息を吹き返したように鉢の中で踊った。
「くそっ……鳴海を返せよ! おいコラ! 糸目野郎!」
智也は躊躇わず、噛みつく勢いで叫ぶ一之進の肩を踏みつける。
「ぐっ……!」
「死に損ないが」
生気のない眼で一瞥してから、智也はわざとゆっくりとした話し方で言い置いた。
「これは人質だ。意味はわかるな? もし恭介が、再びこの神社に逃げ帰ることがあれば、この金魚の命はないと思え」
「逃げるって、どういうことだよ……!? おめェらまさか、恭介まで……!」
「行くぞ、拓真」
泣きそうな顔で、拓真が頷いた。まるで見えない何かに怯えるようにして、従順に智也の言葉に従う。
「待てよ! 鳴海を……鳴海を返せ……っ!!」
痺れの残る左腕を軸にして体を前へ進めようとするが、まるで金縛りにあったかのように重かった。引きつれる喉にまで痺れ毒が回り、ついに一之進は手を伸ばしたまま意識を手放した。
引き留めるどころか追いかける素振りも見せない圭吾に痺れを切らし、犬神は怒鳴るように問い質した。それは、望まれていないとわかってしまったが故に床に縫い付けられたまま動けなかった自身への苛立ちも、入り混ざった八つ当たりのような言葉だった。
〝圭吾……!!〟
まるで彼ひとりが唯一正解を知っている存在か何かのように、繰り返しその名前を呼ぶ。神様でも謹慎処分中のバイト要員でも、真実を教えてくれるのなら誰でもいい気分だった。そうでなければ、犬神をまるごと飲み込むような大きな混乱と、それを上回る虚脱感から立ち直る術も見つけられない。一人と一匹を躊躇わず捨て置いて出ていった師弟が今、どんな気持ちでいるのか犬神にはまるでわからなかった。
「多分ですけど」
前置きを添えた圭吾が、思案顔で一瞬口をつぐむ。
「あれはフェイクです」
真顔で告げられた言葉には、僅かに力強さがあった。
〝フェイク……?〟
言い切られた単語の真意がわからず、犬神は弱々しい声で問い掛ける。平均と比べても遥かに頭の回転が早いだろうその男は、数珠を恭介に渡した時のようにひどく落ち着いた素振りで、斜めにずれていた台所の椅子を手前に引いてそこに座った。
「ずっと気になってたんですよね。僕が旅立つ二日前のあの日、どうして烏丸さんは唐突に呪殺の話をしたんだろうって」
〝……そんなの、恭介にベタベタひっつくお前を牽制したかったんだろうが〟
「まぁ、七割以上はそうだと思いますけど」
肩を竦めて、圭吾が即答した。
「あの日烏丸さんは、自身が呪殺を行える知識を持っていること、その上で誰かを殺すのにナイフを使うのは馬鹿げていると思っていることを、念を押すように話していましたよね? あれは、もし今後自分がナイフを使って先輩を脅すようなことがあったとしたら、それはポーズであって本気ではない、ということを暗に伝えたかったからだとは思いませんか?」
〝……〟
僅かな期待が頭をもたげ、だからこそ犬神は圭吾の結論に賛同しかねた。
彼の言うように、烏丸の裏切りがフェイクであればいい。そう願うのは犬神の私情だった。今自分は、正しい判断ができているとはとても思えない。あの男へ向けた情愛が、信頼が、いちいち犬神の目を曇らせるのだ。
この神社で共に過ごした、重ねた七年は長かった。
「勿論、これだけではご都合解釈に他なりません。なので、念のため確認もしましたし」
〝確認?〟
「『お味噌汁くらい、飲んで行きませんか?』ですよ」
胸ポケットから脱脂綿を取り出しながら、意味のよくわからないことを圭吾が呟いた。
〝はあ?〟
味噌汁が何だって? という言葉はとりあえず飲み込んで、犬神は目を白黒させながら相槌になりそこねたような声を上げる。
「烏丸さんが呪殺の話をした日、僕とあの人が交わした、僕とあの人しか知らない会話です」
指についた血を綿で拭いながら圭吾が、足りなかっただろう説明を付け足した。
「わざと同じ言い方をしたんですけど、同じ言葉を返されました。先輩がけんちん汁を作っていたこの状況で、改めて汁物を調理する必要はないあの献立を知っていて、まぁ……知っていたというか食べたのかもしれませんが」
〝お前すげェけんちん汁のことねちねち言うのな〟
「とにかくそういった状況の把握はしていて、更に言えば今この場に駆けつけたばかりの僕らがわざわざ必要のない味噌汁を作る理由も時間もなかったことをわかっていて『何言ってるんだ』という言葉も、表情もなく、です――迷わず合言葉のように、或いは交わした会話を意図的に再現するかのように、同じ台詞をなぞってくれました。あの日の烏丸さんの発言に、何かしらの意味があった証拠でしょう」
〝……〟
圭吾のどこまでも冷静な声が、じわじわと犬神を警醒する。それは、まるで世の理をただ口にしているかのように、揺るぎのない蓋然性に溢れている声だった。フーダニット・ゲームを楽しんでいるだけだなんて、笑い飛ばすことはできない。素人の当て推量だと、切り捨てることもできない。猜疑心に飲まれて、今立っている足元さえ信じることもできず、感情のコントロールさえもままならなかった自分が恥ずかしくなった。
烏丸の掌返しが本心からでなければいいと、願う気持ちが眼を曇らせていたのではない。そう願う気持ちが足枷になるという思い込みこそが、犬神の嗅覚を鈍らせていた。
「烏丸さんを真っ先に疑う前に、他に心当たりはないんです?」
〝心当たりも何も……〟
「先輩は今、九尾を使えない。つまり、どこかへ連れ出すには絶好のチャンスです。そのことを僕たち以外で知っていたのは、ほんとに烏丸さんだけだったんですか?」
〝いや……〟
見透かすようにクリアな目で、圭吾がじっと犬神を見遣る。自分でも驚くほどに頭の靄が晴れていき、犬神はふいにその一言を思い出した。
そうだ、あの日。
圭吾に武器を持たせてしまったことを嘆き、昏倒した恭介が目覚めない現状に疲れ切っていた犬神を、甘い紫煙を燻らせながら烏丸はただ諭してくれた。左手の治療にかかる具体的日数を説明し、絶対に直すと約束し、その間は九尾を呼ぶなと言い含める烏丸と犬神の会話を、確かに聞くことができた人物は。
――私の方こそ、お話し中にすみません……あの、どうしても今日のことお礼が言いたくて。
〝……しまった〟
あの時、遮るように声を掛けてきたのは誰だ。おそらくは会話の一部始終を聞いていて、申し訳なさそうにそう呟いた人物は。投げられた台詞が、交わしたやりとりが、録音テープを再生するかのように、ふいに脳内ですべて甦る。
「……犬神さん?」
〝戻るぞ、圭吾! 鳴海が危ねェ!!〟
「すみません、取り急ぎ必要なものだけ買ってきました」
恭介の家から徒歩十分の圏内を二分オーバーすれば、どうにかコンビニエンスストアと呼ばれる店に辿り着くことができる。片道、十分と少し。それはつまり、往復で三十分弱ということ。普段なら買い出しを頼むのにもやや躊躇う距離だが、今日はあの神社に繋がる嫌味のように長い階段を降りた場所にいたのが功を奏していた。お陰で平均時間より早く買い出しを済ませてきた拓真が、いそいそとビニール袋を漁っている。
拓真の取り急ぎ買ってきたものが何なのかもその用途もわかっていた一之進は、その体の持ち主に代わって胸元のボタンを乱雑に外した。肩からシャツを抜こうとして、一瞬顔をしかめる。血液に張り付いた布地に引っ張られて、傷口に僅かな刺激が走った。
こういう時に躊躇ってしまうと、より長い時間痛みへの恐怖と格闘しなければならないから。意を決して、シャツを引っ張った。勢い外していなかったボタンまで引きちぎってしまい、すぐ隣で鳴海の悲鳴か上がる。
〝ちょ、ちょっと! それまだ今季は着なきゃいけないんだからね!? 乱暴に扱わないでよ、もう……!〟
耳元で騒ぎ立てられるクレームは聞き流した。消毒液の蓋を開けた拓真が、その傷口にたっぷりと噴き掛ける。加減を忘れた量の多いそれは、血液に混じって二の腕を伝い落ちていた。
ガーゼを当てて吸い取りながら、拓真は丹念に傷口の手当てを進めている。拭ったそばから滲み出る血液に、臨時的にその体の持ち主となった一之進が露骨に眉を寄せた。
「おい鳴海。この肩の怪我結構ひどいぞ。こんな目に遭っといて、犬神に、恭介のところに行けなんて簡単に言うなよ」
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〝うん……へへ〟
「うんじゃねェよ馬鹿。ほんとにわかってんのかお前。アア?」
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「あの、イチャイチャしてるところすみません」
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「あの……僕急いでいて、飲み物も何も、買ってこなくて……もう一度コンビニに行ってくるので、他にも何か必要なものがあれば教えてもらえますか」
「いや、もう恭介んち近ェし、安全が確保されていない現状からして、何度もバラバラになるのは悪手だろ。ひとまず全員で神社に急ごうぜ」
あれから拍子抜けるぐらいあっさりと負けを認めた智也が退却し事無き事を得たものの、仲間を引き連れて再び襲われるとも限らない。ひとまずの危機は回避できたとはいえ、用心するに越したことはない状況だった。
「でも……喉、乾きません?」
「……」
先程までは何とも思わなかったが、改めて確認されると乾いているような気もした。自分はともかく鳴海の体はこれだけ出血しているのだし、水分補給は可及的速やかに必要な治療のひとつかもしれない。
「水、余ってんだろ。一旦それをくれよ。後は恭介に、何か茶ァ淹れてもらうわ」
「わ……わかりました」
くるりと背を向けて、拓真がペットボトルの蓋をひねっている。別にそれくらい自分でできるけど、は言いかけてやめた。いまいち怪我の規模がわかってないふわふわした砂糖菓子のようなこの男に少しでも自覚を持たせるため、甘えられるところはとことん甘えて何もしないと心に決めたのだ。
〝……もう、君に会えないと思ってた〟
芽吹く前の蕾のように、鳴海の頬が柔らかなピンクに彩られている。まるで恋する乙女のようだ。そんな顔で話し掛けるのはやめて欲しかった。何だかこちらまで、よくわからない甘酸っぱさに照れてしまうから。
「俺は、そのつもりだったけど」
〝意地悪ばっか言う……ね、どうしてまたここに来れたの?〟
「一之進」
遮るように、水を渡された。空気を読んだつもりなのか、それきり拓真は少し距離をあけて二人きりにしてくれている。
「……や、話せば長くなるんだがよ」
花見客のような浮かれた空気を払拭するべく、一之進はたった今受け取ったペットボトルを左手に持ち替え、煽り飲んでから簡潔に答えた。
「今の、拓真の守護霊が――……」
〝……いち君?〟
――否、答えた、筈だった。
握っていた筈のペットボトルが、太股にバウンドし、ゴロゴロと地面を転がる。スローモーションというより、コマ送りに感覚は近い。まるで急に握力がなくなったかのように、ぴたりと腕が動かせなくなった。
「……あ……?」
違和感に気づく頃には、もう一之進の意志で動かせるパーツはどこにもなくなっていた。
まさか。
俄かには信じがたかったが、この異変がペットボトルを受け取って口にした直後に訪れたものだということは、鈍い頭でも確信している。
無理に動かそうとして、ぐらり。体が前傾姿勢を維持出来ずに土の上に倒れ込んだ。
〝いち君っ……!〟
近寄った、鳴海の幽体が蜃気楼のように揺れている。その透き通る体の背後から、招かれざる客はやってきた。
「よくやった。拓真」
細い目だと揶揄した相貌をより一層線のように歪めて、智也がゆうるりと笑った。小脇に抱えた金魚鉢を、愛おしげに撫でている。硝子で出来たそれには、金魚の尻尾を模したようなデザインの口が上向きに大きく開いており、オレンジと濃紺のグラデーションが施されていた。その小さな水槽の中には、元気良く泳ぐ一匹と、水死体のように浮いている一匹。
くつくつと不気味に笑う智也が、掌を掲げた。伸ばされるその腕が、翳された対象を見て愕然とする。
獲物は、ピクリとも動けない自分じゃない。標的を何の弊害もなく拐うために、一之進を動けなくする必要があった、ということ。
「お前ら……最初っから、鳴海を……!」
「煩いな。お前には用はない」
神経質そうに歪められた眉毛の下で、光のない瞳が冷たく一之進を睨めつける。
今何時だろうと、ふいに鳴海は思った。現実逃避の一種だったのかもしれないし、単純に浮かんだ疑問のようでもあった。そうしてから漸く、自分が拓真に抱いた違和感の正体に気づいた。彼は、恭介のところに先日のお礼と、挨拶をしに来たと言っていた。携帯に親指の指紋を当てて正確な時間を確認できる肉体は今現在持ち合わせていないが、本当に恭介に感謝しており挨拶をしたいと思っているなら、少なくとも訪れるにふさわしい時間帯をもう少し考える筈だ――今更、気づいたって遅いのだけれど。
そう。何もかもが遅かった。もう時間がないのだと、鳴海は静かに悟った。この男に拐われて、どこかに連れていかれてしまった後では、次はいつ一之進に会えるかもわからない。だったら――だったら。
一之進が去ってしまったあの日から、伝えれば良かったとずっと思っていたことがあった。バイバイ、でもなく、また会おうね、でもない。鳴海はずっと、言わずに終わってしまったこの言葉を、抱えながら後悔していた。
〝いち君〟
目の前に骸骨のような掌を掲げられる。不思議と、声は震えなかった。
〝だいすき〟
子供が親に伝えるかのような、どこまでも無垢で、あどけない声。見慣れた筈の自分の顔が、驚きに目を瞠るのが見えた。不思議だなと思った。顔が鳴海でも、その表情がすべて、一之進の動かしたものだと思うと、堪らなく愛しくて――世界一可愛い。
「鳴海っ……!」
喉を切り裂くような声が、鳴海に縋る。動かない手を伸ばそうとして、土の上を引き摺っても、その指先は届かない。智也の掌に吸い込まれるようにして、鳴海の魂が消えた。掲げていたそれを軽く握って、人差し指を金魚の死骸に向ける。ピチャン。今までピクリとも動かなかった一匹が、息を吹き返したように鉢の中で踊った。
「くそっ……鳴海を返せよ! おいコラ! 糸目野郎!」
智也は躊躇わず、噛みつく勢いで叫ぶ一之進の肩を踏みつける。
「ぐっ……!」
「死に損ないが」
生気のない眼で一瞥してから、智也はわざとゆっくりとした話し方で言い置いた。
「これは人質だ。意味はわかるな? もし恭介が、再びこの神社に逃げ帰ることがあれば、この金魚の命はないと思え」
「逃げるって、どういうことだよ……!? おめェらまさか、恭介まで……!」
「行くぞ、拓真」
泣きそうな顔で、拓真が頷いた。まるで見えない何かに怯えるようにして、従順に智也の言葉に従う。
「待てよ! 鳴海を……鳴海を返せ……っ!!」
痺れの残る左腕を軸にして体を前へ進めようとするが、まるで金縛りにあったかのように重かった。引きつれる喉にまで痺れ毒が回り、ついに一之進は手を伸ばしたまま意識を手放した。
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21.11.7~8、ホットランキング・小説・恋愛部門で一位となりました! 皆様のおかげです。ありがとうございました。
※「小説家になろう」さまにも掲載しております。
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