6 / 11
第6話 魔法学校の日々(2)
しおりを挟む
もうすぐ夕食の時間だ。
早く女子寮に戻らなくちゃ、図書館のらせん階段を駆け下りる。
(あーもう、飛んだら一瞬なのにな)
こんな時にも空を飛べないことがもどかしく感じてしまう。
入学したばかりのころ、つい寮の窓から飛んでしまい、寮母にこっぴどく怒られたこともあった。
借りてきた本を自室に置き、急いで食堂に向かう。
コートニーとルッカもちょうど外出から戻ってきたところだった。
「ごはん行こうよ」
デライラはすでに食堂に来ていた。
みなで席に着く。
「コーラル、数学の課題はどうだった?わからないところある?」
「何とか終わったよ、カフェに行ったらケリーがいて教えてくれたんだ」
隣で聞いていたコートニーの目がきらっと輝く。
「そうなの?あーあ、私も行って教わりたかったよーー」
「コートニー、数学得意じゃん……」
コートニーはケリーが好きらしい。
「コートニーは面食いだよね」
とルッカ。
「いやいや、ケリーは顔だけじゃないから、いや顔も好きなんだけど!頭もよくて面倒見もよくて優しくて!パーフェクトだよ」
うっとりとした表情で、手に持ったフォークでハートマークを描く。
「デライラは魔法医師志望だから、中等科でもケリーと一緒だよね」
「たぶんそうなるんじゃない?」
「いいなあ、私も医学部にいこうかな」
「天文学部はどうするのよ。進路を変えるなんて簡単じゃないのよ、適性検査だってもうすぐあるのに」
「もー、堅いなあ。進路のことより恋バナしようよ、コイバナ、ね?」
「今は好きだのなんだのやっている暇はないでしょ」
「デライラ、何を言っているのよ!青春時代に恋をしないで他に何するっていうの!!」
「……勉強」
興奮気味のコートニーをなだめようとルッカが割って入る。
「まあまあ。ケリーは地元でもモテていたみたいだし、ライバル多そうだよね」
「そうなんだよ、ほかの学年の女の子からも注目されているしさあ……。あ、そういえば、イーライは2年生の女子に人気だよね」
「えぇ?あの脳筋が??」
「ほんと、ほんと」
イーライに想いを寄せているらしい2年生女子の名前を二人あげた。
「えー、趣味悪いなあ」
ルッカが眉間にしわを寄せている。
「ところでさ、コーラルは好きな人いないの?」
「えっ??な、なに??」
急に矛先がむいてとまどう。
「それは気になるかも」
恋愛には興味ないスタンスだったはずのデライラまで身を乗り出してきた。
「もしかしてクリムゾンヘブンの男の子だったり?」
「そんな人いないから!」
「あれ?ちょっと赤くなった?」
「なってないし!」
ぶんぶんと手を振って全力で否定する。
「その慌てぶりは怪しいなー」
「ごちそうさま!!レポートやるから部屋に戻るね!」
これ以上追及されないように、コーラルは慌てて席を立った。
自室のベッドに寝転がりながら、食堂での話を考えていた。
好きな男の子の話になったとき、思い浮かんでいたのはウィルだった。
でも、ほんとに「好き」って気持ちがよくわからない。
コートニーの言うように一緒にいてドキドキしたりはしないけれど、優しい暖かい気持ちになる。
これは恋なのか?
考えたところで、今すぐに結論が出る気はしない。
この問題の答えはしばらく保留にしよう。
「元気がないね」
ウィルが心配そうに声をかける。
「そうかな?」
「声が疲れているよ、勉強が大変?」
確かに疲れている。
補習や課題や自習がてんこ盛りで、ここに遊びに来る時間を作るのも一苦労だ。
まだクリムゾンヘブンにいたときのほうが、こまめに会いに来れていた。
「ん-、クラスのみんなが助けてくれるからなんとかなっているけど、正直なところ、ついていくので精一杯で」
「そうなんだ」
「でもね、薬草学だけは褒められるんだ。先週もマンドラゴラの根っこを使って薬を作ったけど、クラスで一番出来が良かったって。ウィルとカリンダのおかげだよ」
勉強もハードだが、マケドニアでのささやかな生活習慣の違いもストレスになっていた。
空を飛べないことがこんなに不便だなんて想像以上だった。
「故郷が懐かしい?」
「ちょっとだけ、ね」
クラスメイトたちのことは大好きだし、寮母さんも母親のように優しく面倒を見てくれる。
それでもクリムゾンヘブンの友だちに会いたいし、父さんや母さんが元気か心配になるときがある。
ダイニングキッチンからカリンダが呼ぶ声がした。
「今日はいいものがあるよ」
テーブルに並んでいたのはオレンフルーツのパイだった。
オレンフルーツはクリムゾンヘブンでしか採れない果物で、強い甘みと酸味が特徴だ。
大きめの角切りにした果肉をたっぷりのスパイスで煮込んだらパイ生地で包み、オーブンで香ばしく焼き上げる。
軽食やおやつでよく食べられているクリムゾンヘブンの郷土料理だ。
「わあ、どうしたの、これ?」
「ちょっと昔の伝手を使ってね」
カリンダが王宮の魔導士だったころの知人をたどって果物とレシピを手に入れたそうだ。
「さあ、おあがり」
「いただきます」
オレンフルーツの甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、スパイスが鼻に抜けてゆく。
コーラルには懐かしい故郷の味だ。
「おいしい!」
「少しは元気でたかい?」
「うん、元気になった。まだまだクリムゾンヘブンのために頑張れる。あの国は私にかかっているんだもの」
そして1年後、コーラルは14歳になっていた。
「集中しなさい!」
練習場にダイアンの厳しい声が飛んだ。
深く呼吸し、錫杖に意識を集中させる。
よし!
「真空の刃!」
呪文を唱えると、空気から生み出された鋭い風の刃が木製の的を二つに切り裂いた。
「いいわね、威力が出てきたわ。今日の授業はこれでお終いにしましょう」
「ありがとうございました!」
後ろから拍手と声がする。
「すげーな!!」
「あは、ザック、見ていたんだ」
ザックがカバンから封筒を取り出す。
「はい、おふくろさんとジリアンから預かった手紙」
「ありがとう」
ザックは父親の家業を継ぐため、トランスポーター見習いとして半年前からマケドニア王宮に出入りする様になっていた。
「そろそろ卒業だったよな」
「うん、来月が卒業式」
初等科を卒業すれば魔導士と名乗ることができる。
その後は中等科、高等科へ進み、専門の学部で王宮魔導士に必要な技術や知識を学んでいくことになる。
イーライとルッカは軍事・防衛学部に、ケリーとデライラは魔法医学部、マタンは考古学部、コートニーは天文学部へそれぞれ進学する。
そして、コーラルにとっては、宝玉を手に入れる旅の始まりだ。
卒業式の翌日、王宮の会議室で遠征のミーティングが行われた。
ルモンド博士より調査団の報告書が読み上げられた。
宝玉は旧バルクムーン帝国の中央部に位置するアル・コバール連峰にあることがわかった。
かつてホワイトエデンが浮かんでいたとされる場所にほど近い。
続いて旅の進路について。
シルフォニア大陸は横長のリンゴのような形をしており、南北につらなるカーヴァーホルン山脈が二つの国を隔てている。
標高の高い山脈を超えるよりは、海に出て船で大陸沿いに移動し、東側に上陸するほうが安全だということになった。
そこから砂漠を縦断し、目的地を目指すことになる。
砂漠のあちこちにならず者たちが集落を作っており、縄張り争いで死傷者がでたり、また旅人が強盗に合う被害も報告されている。
コーラルには王宮魔導士で結成した護衛団が同行することになった。
「では、これより具体的な日程と……」
「お話し中に失礼します!」
突然、会議室の扉が開き、イーライとルッカが入ってきた。
「ルモンド博士、俺たちにコーラルの護衛をさせてください」
「君たちはコーラルのクラスメイトだね。護衛は腕利きの魔導士たちにあたってもらうことになっている。君たちのような若者を無駄に危険にさらすわけにいかないんだ」
「ルモンド博士、お言葉を返すようですが、私と兄は十分な訓練をこなし、護衛団の魔導士に劣らない技量を身に着けていると自負しています。それに私たち兄妹とコーラルはこの2年間を共に過ごし、強い信頼関係を築いてきました。長旅に必要なのは仲間同士の絆ではないでしょうか」
「もちろん、気心が知れているほうがやりやすいこともあるだろうが……。コーラル、君の意見は?」
この二人が一緒ならどれほど力強いだろう。
「一緒に行きたいです」
「わかった、君の意見を尊重しよう」
よっしゃ!とイーライとルッカはハイタッチをした。
「お任せください、必ず責務を果たします」
早く女子寮に戻らなくちゃ、図書館のらせん階段を駆け下りる。
(あーもう、飛んだら一瞬なのにな)
こんな時にも空を飛べないことがもどかしく感じてしまう。
入学したばかりのころ、つい寮の窓から飛んでしまい、寮母にこっぴどく怒られたこともあった。
借りてきた本を自室に置き、急いで食堂に向かう。
コートニーとルッカもちょうど外出から戻ってきたところだった。
「ごはん行こうよ」
デライラはすでに食堂に来ていた。
みなで席に着く。
「コーラル、数学の課題はどうだった?わからないところある?」
「何とか終わったよ、カフェに行ったらケリーがいて教えてくれたんだ」
隣で聞いていたコートニーの目がきらっと輝く。
「そうなの?あーあ、私も行って教わりたかったよーー」
「コートニー、数学得意じゃん……」
コートニーはケリーが好きらしい。
「コートニーは面食いだよね」
とルッカ。
「いやいや、ケリーは顔だけじゃないから、いや顔も好きなんだけど!頭もよくて面倒見もよくて優しくて!パーフェクトだよ」
うっとりとした表情で、手に持ったフォークでハートマークを描く。
「デライラは魔法医師志望だから、中等科でもケリーと一緒だよね」
「たぶんそうなるんじゃない?」
「いいなあ、私も医学部にいこうかな」
「天文学部はどうするのよ。進路を変えるなんて簡単じゃないのよ、適性検査だってもうすぐあるのに」
「もー、堅いなあ。進路のことより恋バナしようよ、コイバナ、ね?」
「今は好きだのなんだのやっている暇はないでしょ」
「デライラ、何を言っているのよ!青春時代に恋をしないで他に何するっていうの!!」
「……勉強」
興奮気味のコートニーをなだめようとルッカが割って入る。
「まあまあ。ケリーは地元でもモテていたみたいだし、ライバル多そうだよね」
「そうなんだよ、ほかの学年の女の子からも注目されているしさあ……。あ、そういえば、イーライは2年生の女子に人気だよね」
「えぇ?あの脳筋が??」
「ほんと、ほんと」
イーライに想いを寄せているらしい2年生女子の名前を二人あげた。
「えー、趣味悪いなあ」
ルッカが眉間にしわを寄せている。
「ところでさ、コーラルは好きな人いないの?」
「えっ??な、なに??」
急に矛先がむいてとまどう。
「それは気になるかも」
恋愛には興味ないスタンスだったはずのデライラまで身を乗り出してきた。
「もしかしてクリムゾンヘブンの男の子だったり?」
「そんな人いないから!」
「あれ?ちょっと赤くなった?」
「なってないし!」
ぶんぶんと手を振って全力で否定する。
「その慌てぶりは怪しいなー」
「ごちそうさま!!レポートやるから部屋に戻るね!」
これ以上追及されないように、コーラルは慌てて席を立った。
自室のベッドに寝転がりながら、食堂での話を考えていた。
好きな男の子の話になったとき、思い浮かんでいたのはウィルだった。
でも、ほんとに「好き」って気持ちがよくわからない。
コートニーの言うように一緒にいてドキドキしたりはしないけれど、優しい暖かい気持ちになる。
これは恋なのか?
考えたところで、今すぐに結論が出る気はしない。
この問題の答えはしばらく保留にしよう。
「元気がないね」
ウィルが心配そうに声をかける。
「そうかな?」
「声が疲れているよ、勉強が大変?」
確かに疲れている。
補習や課題や自習がてんこ盛りで、ここに遊びに来る時間を作るのも一苦労だ。
まだクリムゾンヘブンにいたときのほうが、こまめに会いに来れていた。
「ん-、クラスのみんなが助けてくれるからなんとかなっているけど、正直なところ、ついていくので精一杯で」
「そうなんだ」
「でもね、薬草学だけは褒められるんだ。先週もマンドラゴラの根っこを使って薬を作ったけど、クラスで一番出来が良かったって。ウィルとカリンダのおかげだよ」
勉強もハードだが、マケドニアでのささやかな生活習慣の違いもストレスになっていた。
空を飛べないことがこんなに不便だなんて想像以上だった。
「故郷が懐かしい?」
「ちょっとだけ、ね」
クラスメイトたちのことは大好きだし、寮母さんも母親のように優しく面倒を見てくれる。
それでもクリムゾンヘブンの友だちに会いたいし、父さんや母さんが元気か心配になるときがある。
ダイニングキッチンからカリンダが呼ぶ声がした。
「今日はいいものがあるよ」
テーブルに並んでいたのはオレンフルーツのパイだった。
オレンフルーツはクリムゾンヘブンでしか採れない果物で、強い甘みと酸味が特徴だ。
大きめの角切りにした果肉をたっぷりのスパイスで煮込んだらパイ生地で包み、オーブンで香ばしく焼き上げる。
軽食やおやつでよく食べられているクリムゾンヘブンの郷土料理だ。
「わあ、どうしたの、これ?」
「ちょっと昔の伝手を使ってね」
カリンダが王宮の魔導士だったころの知人をたどって果物とレシピを手に入れたそうだ。
「さあ、おあがり」
「いただきます」
オレンフルーツの甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、スパイスが鼻に抜けてゆく。
コーラルには懐かしい故郷の味だ。
「おいしい!」
「少しは元気でたかい?」
「うん、元気になった。まだまだクリムゾンヘブンのために頑張れる。あの国は私にかかっているんだもの」
そして1年後、コーラルは14歳になっていた。
「集中しなさい!」
練習場にダイアンの厳しい声が飛んだ。
深く呼吸し、錫杖に意識を集中させる。
よし!
「真空の刃!」
呪文を唱えると、空気から生み出された鋭い風の刃が木製の的を二つに切り裂いた。
「いいわね、威力が出てきたわ。今日の授業はこれでお終いにしましょう」
「ありがとうございました!」
後ろから拍手と声がする。
「すげーな!!」
「あは、ザック、見ていたんだ」
ザックがカバンから封筒を取り出す。
「はい、おふくろさんとジリアンから預かった手紙」
「ありがとう」
ザックは父親の家業を継ぐため、トランスポーター見習いとして半年前からマケドニア王宮に出入りする様になっていた。
「そろそろ卒業だったよな」
「うん、来月が卒業式」
初等科を卒業すれば魔導士と名乗ることができる。
その後は中等科、高等科へ進み、専門の学部で王宮魔導士に必要な技術や知識を学んでいくことになる。
イーライとルッカは軍事・防衛学部に、ケリーとデライラは魔法医学部、マタンは考古学部、コートニーは天文学部へそれぞれ進学する。
そして、コーラルにとっては、宝玉を手に入れる旅の始まりだ。
卒業式の翌日、王宮の会議室で遠征のミーティングが行われた。
ルモンド博士より調査団の報告書が読み上げられた。
宝玉は旧バルクムーン帝国の中央部に位置するアル・コバール連峰にあることがわかった。
かつてホワイトエデンが浮かんでいたとされる場所にほど近い。
続いて旅の進路について。
シルフォニア大陸は横長のリンゴのような形をしており、南北につらなるカーヴァーホルン山脈が二つの国を隔てている。
標高の高い山脈を超えるよりは、海に出て船で大陸沿いに移動し、東側に上陸するほうが安全だということになった。
そこから砂漠を縦断し、目的地を目指すことになる。
砂漠のあちこちにならず者たちが集落を作っており、縄張り争いで死傷者がでたり、また旅人が強盗に合う被害も報告されている。
コーラルには王宮魔導士で結成した護衛団が同行することになった。
「では、これより具体的な日程と……」
「お話し中に失礼します!」
突然、会議室の扉が開き、イーライとルッカが入ってきた。
「ルモンド博士、俺たちにコーラルの護衛をさせてください」
「君たちはコーラルのクラスメイトだね。護衛は腕利きの魔導士たちにあたってもらうことになっている。君たちのような若者を無駄に危険にさらすわけにいかないんだ」
「ルモンド博士、お言葉を返すようですが、私と兄は十分な訓練をこなし、護衛団の魔導士に劣らない技量を身に着けていると自負しています。それに私たち兄妹とコーラルはこの2年間を共に過ごし、強い信頼関係を築いてきました。長旅に必要なのは仲間同士の絆ではないでしょうか」
「もちろん、気心が知れているほうがやりやすいこともあるだろうが……。コーラル、君の意見は?」
この二人が一緒ならどれほど力強いだろう。
「一緒に行きたいです」
「わかった、君の意見を尊重しよう」
よっしゃ!とイーライとルッカはハイタッチをした。
「お任せください、必ず責務を果たします」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。
アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。
【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】
地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。
同じ状況の少女と共に。
そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!?
怯える少女と睨みつける私。
オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。
だったら『勝手にする』から放っておいて!
同時公開
☆カクヨム さん
✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉
タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。
そして番外編もはじめました。
相変わらず不定期です。
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます🙇💕
これからもよろしくお願いします。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる