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第24話 ローマンの来襲②
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エリオットが駆けつけたときには、アビーは毛布にくるまり震えていた。
「オーナー、いったい何があったんですか?」
「昔の旦那がアビーの部屋の前で待ち伏せしていたんですよ。どうやら、無理やり連れて帰ろうとしたらしくて。幸い、うちの夫が忘れていった財布を届けに行ったところで、大事には至らなかったんですけど」
「ローマン・ケッペルが?あの男の動向は探っていたんですが、甘かった。僕のミスです」
エリオットは忸怩たる思いだった。
もう絶対に彼女を危険な目に遇わせたくはない。
「アビーを僕の別宅へ移そうと思うのですが、いいでしょうか」
マシューもオーナーも賛成する。
「ああ、それがいい。ここはおそらくあの男にも知られている。押し掛けてこないとも限らない」
すぐに馬車に乗せ、アビゲイルを別宅へ連れて帰った。
王宮の主治医を呼び治療にあたる。
「身体の傷は軽傷です。かなり興奮していたので鎮静薬を飲ませました。今は睡眠が一番の薬でしょう」
エリオットはベッドでこんこんと眠るアビーの頬をそっと撫でた。
首には指の跡がくっきり残っている。
ローマンへの怒りを抑えることができず、壁を殴りつけた。
側近を呼び、ローマンを探すように命じた。
「すぐにあの男を見つけ出せ。絶対に償わせてやる」
カーテンの隙間から差し込む朝日に照らされて、アビゲイルは目を覚ました。
締め付けられた首だけではなく、腕や背中、身体のあちこちが痛む。
ローマンの顔を思い出しただけで吐き気がした。
とても食欲なんかないかと思ったが、エリオットの顔をみたらすっと不安が和らいだ。
「聞きたくはないかもしれませんが、ケッペル子爵についてです。探させていますが、行方が知れません。破産寸前の家を建て直すためにあなたを連れ戻す気だったのでしょうね」
「そんな。とっくに縁が切れたと思っていたのに……」
昨晩の恐怖を思い出して体が震えた。
「アビー、しばらくここで暮らしませんか?護衛がつけられますし、仕事場へも送り迎えできます。あの男がいつ現れるかわかりません。十分に用心しないと」
「もう、あのアパートの部屋には戻りたくないんです。お言葉に甘えてもいいでしょうか」
「もちろんです。荷物は人をやってここへ運ばせましょう。なにかほかに必要なものはありますか?」
「そうですね……」
少し考えこむアビー。
「殿下、ひとつ、わがままを聞いていただけますか?」
エリオットの表情が緩む。
「なんなりと仰ってください。あなたの望みなら何でも叶えますよ」
「オーナー、いったい何があったんですか?」
「昔の旦那がアビーの部屋の前で待ち伏せしていたんですよ。どうやら、無理やり連れて帰ろうとしたらしくて。幸い、うちの夫が忘れていった財布を届けに行ったところで、大事には至らなかったんですけど」
「ローマン・ケッペルが?あの男の動向は探っていたんですが、甘かった。僕のミスです」
エリオットは忸怩たる思いだった。
もう絶対に彼女を危険な目に遇わせたくはない。
「アビーを僕の別宅へ移そうと思うのですが、いいでしょうか」
マシューもオーナーも賛成する。
「ああ、それがいい。ここはおそらくあの男にも知られている。押し掛けてこないとも限らない」
すぐに馬車に乗せ、アビゲイルを別宅へ連れて帰った。
王宮の主治医を呼び治療にあたる。
「身体の傷は軽傷です。かなり興奮していたので鎮静薬を飲ませました。今は睡眠が一番の薬でしょう」
エリオットはベッドでこんこんと眠るアビーの頬をそっと撫でた。
首には指の跡がくっきり残っている。
ローマンへの怒りを抑えることができず、壁を殴りつけた。
側近を呼び、ローマンを探すように命じた。
「すぐにあの男を見つけ出せ。絶対に償わせてやる」
カーテンの隙間から差し込む朝日に照らされて、アビゲイルは目を覚ました。
締め付けられた首だけではなく、腕や背中、身体のあちこちが痛む。
ローマンの顔を思い出しただけで吐き気がした。
とても食欲なんかないかと思ったが、エリオットの顔をみたらすっと不安が和らいだ。
「聞きたくはないかもしれませんが、ケッペル子爵についてです。探させていますが、行方が知れません。破産寸前の家を建て直すためにあなたを連れ戻す気だったのでしょうね」
「そんな。とっくに縁が切れたと思っていたのに……」
昨晩の恐怖を思い出して体が震えた。
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「もちろんです。荷物は人をやってここへ運ばせましょう。なにかほかに必要なものはありますか?」
「そうですね……」
少し考えこむアビー。
「殿下、ひとつ、わがままを聞いていただけますか?」
エリオットの表情が緩む。
「なんなりと仰ってください。あなたの望みなら何でも叶えますよ」
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