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第16話 国王夫妻の結婚記念パーティ

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床から高い天井までゴールドで装飾された息を呑むような美しい大広間は、たくさんの招待客で賑わっていた。

「では、両親と兄夫婦に紹介しますね」

エリオットに連れられ、国王夫妻に挨拶に向かった。
お二人とも威厳があるのに優しく穏やかで、そしてなぜか王妃とは初めてお会いしたのに通じ合うものを感じた。

「こちらがエメラルドの加工をしてくれたビジュウ・オロールのデザイナーです」
「国王陛下、王妃殿下、本日はお招きいただきましてありがとうございます」
「さきほど、息子たちから贈り物を受け取りました。素晴らしい出来でしたわ」

国王陛下からも、とても気に入った、つけるのが楽しみだとお褒めの言葉をいただいた。

「ありがたいお言葉、感謝いたします。かならず店の者にも伝えます。」
「来てもらえてよかったわ。朝からリリアがあなたに会えるのを楽しみにしていたの。ねえ?」

そばでは、リリア王太子妃が目をきらきら輝かせていた。

「今、話題のジュエリーデザイナーに会えてうれしいわ。エリオットからも聞いていたけれど、こんなに可愛らしい方だなんて」

今にも抱き着かんばかりにはしゃいで喜んでいる。

「私、ブリエ・フルールの大ファンで全種類コレクションしているのよ。集めるの、本当に大変だったんだから」
「まあ、王太子妃様に使っていただいているなんて光栄ですわ」

リリアは夫に向かって言う。

「ねえ、ライアス、私も彼女にアクセサリーをお願いしたいわ」
「そうだな、再来月が妻の誕生日なのだが、オートクチュールの一点ものは受けてくれるかい?」
「もちろんです。喜んで」
「嬉しい!!これを機に、ぜひ、仲良くしてね!ね?」
「あ、ありがとうございます」
「私もアビーって呼んでいいかしら?」
「はい」
「私のことはリリアって呼んで欲しいの」
「それは恐れ多いのですが……」

エリオットが待ちくたびれたように口をはさむ。

「義姉さん、そろそろアビーを解放してもらえませんか?今日は僕のパートナーなので」
「はいはい」


人の多いホールから離れ、テラスのソファで休憩する。

「大丈夫でしたか?義姉は押しが強いでしょう?」
「とんでもない。王太子妃様の誕生日プレゼントを手がけることができるなんて感激です」
「店のみなさんにいい報告ができますね」
「ええ、絶対に注文を取ってこいって言われましたから、手ぶらで帰ったら叱られるところでしたわ」

お互いの冗談にくすくすと笑いあった。

「それで、さっそく明日、王太子妃様からご要望を伺うことになりました」
「こちらにいらっしゃるのですか?では、打ち合わせが終わったら、少し僕に時間をいただけますか」
「はい!」

思わず喜びが顔に出てしまった。
エメラルドのプレゼントが出来上がってしまったから、もうエリオットに会えなくなると思っていた。
まだ会う口実ができてうれしい。王太子妃様に感謝しなくては。

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