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【後日譚】幸せ貞操危機生活 〜ちゃすてぃてぃくらいしす・らいふ!〜

Special Day ♡2/22♡ 猫耳メイド

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猫の日に書いたネタです

【※ 女装 / 猫耳】



 -----------------------------




    ―― side:スピカ ――

 
 麗らかな午後の日差しを浴びながら、ベッドに寝そべり過ごす怠惰な昼下がり。


「スピカ……大事な話がある」

 さっきまで与太話で盛り上がっていた相手――ベルンハルトくんが、急に深刻な表情になった。

「ん? なぁに?」

 とはいえ、今までの流れ的に大した問題じゃないだろう。大した問題だったとしても、私は魔王なので大抵解決できます。

「……『追放皇帝』のヒロインの“スピカ“のキャラデザは叔父さ……グレンなんだ」

「うん。私がエミュろう真似しようとしてたやつね」

「そう。あの猫耳美少女ヒロイン。……ずっと思ってたんだけど――グレンってさ、猫耳フェチなのかな」

 はい。やっぱり大した問題じゃなかった。てか、その誤解まだ続いてたんだね。

 
 ちなみにそのグレンくんはクラウス・ベネトナシュとがあるらしく、王都へプチ出張中だから、今私と彼とは二人っきりだ。
 
 だからこそ彼も、本人の前では言いづらい性癖フェチの話を始めたんだろうけど。


「少なくとも、私の耳には無反応だけどね」

 耳をぴろぴろと動かせば、ベルンハルトくんの空色の瞳がふわふわと蕩けて揺れる。
 君は猫が好きだねぇ。というか可愛いもの全般が好きなのかな。可愛いねぇ……。

「じゃあ……猫耳フェチじゃないってことでいいんだよな?」

「う~ん……」

 発端はグレンくんが「魔王は猫」と言いかけて、それだとケモナーだと誤解されそうだな……と思ったから「魔王の眷属は猫耳が生えた女の子でどうかな」と誤魔化した……っていうしょうもないことなんだよなぁ。

 それを普通に教えたところで面白くない。

 そっか~で終わっちゃうのは勿体無いよね。そんな悪戯心が芽生えたので、そそのかしてみる。

「わかんないけど、グレンくんは君に猫耳が生えたら喜ぶと思うよ」

「…………キツくない?? 男に猫耳って……」

 自分に猫耳が生えた姿を想像したのか彼は嫌そうな顔をするけど、私には似合う確信があるよ、ベルンハルトくん。

 なぜなら君は絶世の美少年だ。
 というか、なんで女装には自信ニキだったくせに猫耳はダメなんだろ。

「逆に女に猫耳が生えてて何の意味が? 大丈夫。なんならほら、メイド服も着よう!! 前にグレンくんが、ベルンハルトくんに着せるなら“ピンクメイド服に白エプロン“って言ってたじゃん!!」

「なんでよりキツくしようとしてんの……??」

「いけるいける。可愛いカケル可愛いイコール可愛いだから。あと前も言った通り私は似合わない女装も美味しく頂けるよ」

 グレンくんもベルンハルトくんのコスプレなら、似合おうが似合わまいが跪いて喜ぶと思う。
 
 ……あれ若干信仰の域だよね。
 我が末裔ながらちょっと怖いわ~。ベルンハルトくんが受け入れてるからいいものの、結構なストーカー気質だよなぁ。

 
「ほれ、まじかるまじかる~~」

 適当な呪文(唱える必要はまったくない)で彼の頭に耳を生やす。

「うわっ……え、今もう生えてんの??」

「生えてるよ~。うん、可愛い可愛い」

 いや、ほんとに可愛いな。
 日に透けるような金髪からぴょこんと飛び出る髪と同じ色の耳。

 自分にも同じ耳が付いてるんだけど、彼についてると途端に萌えアイテムだ。
 金髪美少年と猫耳、サイコー!!(映画の宣伝のあのテンションで。)

 
「よし、ついでにメイド服も着ようか」

 自分の頭を触って困惑する彼に提案する。

「なんのついでですか。いやいや……持ってないんで」

「大丈夫、ここにあるよ」

「なんで用意してあんだよ!!」

 私はBLあるあるの便利キャラ自認なので、常に二人のラブイベ発生装置になるべく、色々持ち歩いているのだよ。

 ピンクを基調としたメイドワンピと白エプロン。フリルカチューシャ。ついでに白のニーハイソックス。

 時空魔法で次々と取り出して、シーツの上に並べる。

「よし!! 後ろ向いとくんで着替えてください!!」

「着ません!!!!」


 彼はその後も首を振り続けたけど――。

「ベルンハルトくんがこれ着て出迎えたら……グレンくん、死ぬほど喜ぶと思うなぁ~! 今日も、ベルンハルトくんのために王都に行ってくれてるんだよねっ」

 私のその一言で押し黙り。

「…………どうせなら、尻尾も生やしてくれ」

 そう男らしく宣言してシャツのボタンを外した。



 
 。.。:+* ゜ ゜゜ *+:。.。:+* ゜ ゜゜ *+:。.。.。:+*




     ―― side:グレン ――


「ベ、ベル…………!!!」

 膝から崩れ落ちそうになった。
 どうにか耐えたけど、それぐらいの衝撃だった。


 ――クソ猫から、「できるだけ早く帰ってくることをオススメするよ!」と連絡テレパシーが送られてきたから、どうせどうでもいい用事だろうと思いつつも一応急いで帰ってきてみれば……!

 
「……なんか言えよ」

 天使が家に降臨してた。
 ベッドの上に座ってオレを出迎えてくれたのは、金髪碧眼猫耳メイド……。

「愛してます好きです可愛いですキスしていいですかしますね」

「息継ぎしろよ……ん」

 返事も待たずに唇を塞いで、その可愛い耳がぴるぴると揺れるのを眺める。
 可愛い……え、こんなに可愛くて大丈夫なのか??

「ベル……大丈夫ですか」

「いや、お前が大丈夫か」

 ベルンハルトは俺の身体を押すと口元を拭い、下に視線を遣る。

「人前……猫前なんですけど」

「私のことは置物だと思ってくれて構わんよ」

 彼の足元に猫――本物の――がいる。

「まだいたのか」

「グレンくんが! “俺が帰ってくるまではベルンハルトの傍にいろ“って言ったんじゃん!!! 私悪くないよね!!??」

「そうですね。じゃあ俺帰ってきたんで、貴女はとっとと帰ってください。……と、言いたいところですが、帰る前にこれだけ言わせてください」

 しゃがみ込んで、猫の小さな手を握る。

「――ありがとうございます」

「……声音がガチ過ぎて怖いよ。ほれ、ベルンハルトくん。言った通り死ぬほど喜んでるでしょ」

「これ喜んでんの……? ずっと真顔なんだけど」

 彼は白いエプロンのフリルを所在なさげに触りながら首を傾げた。

「死ぬほど嬉しいです。今なら俺、世界征服できそうなぐらい元気です」

「それはいつもできるだろ……。まあ喜んでくれたなら何よりです」

 俺の頭を撫でて乾いた笑みを浮かべる様も素晴らしく素敵だ。
 えっ……ベルって元から世界で一番素敵なのにまだこんなに素敵になれたんですか……??

 
「ベル……っ」

「おお……どうした、王都でなんかあったのか」

 膝をついて彼の腿に縋り付く。

「いや、別にトラブルはなかったと思うよ。あったら連絡あったはずだし。単に猫耳メイドにキャパオーバーなだけだよ」

「そんなに効果あるのこれ……」

 あります。
 もう口に出す余裕もないけど、威力がすごいです。

「じゃっ! 帰ります!!」
 
「ばいばい、スピカ。ありがと~」


 スピカが去ってすぐ、どうにか口を開く。

「……ベル。今履いてるのってタイツですか……」

「違うけど……グレン、お前ほんとに疲れてるんだね……可哀想に」

 確認しただけなのに哀れまれた。
 でもよしよしと優しく頭を撫でてくれるのが嬉しいから否定はしないでおこう。



 ◆


 
「――で、“猫耳フェチ“のグレンくんから見て、どう?」

 落ち着いたところで隣に座って、ベルンハルトの姿を上から下までじっと観察していると、唐突にそう問いかけられた。

「…………猫耳フェチ??」

 惚けた声で聞き返すと、彼はため息を吐く。
 
「違うんだ……まじかぁ……オレ、お前が猫耳好きなんだと思ってこんな格好したんだからな!!??」

 ――わかってはいたけど、俺のため……俺のためなんですね!! ベル!!

「好きです」

 猫耳じゃなくて貴方が。

「あ、やっぱり? で、どうなの。似合う?」

「はい。世界一可愛いです」

 手を握って頷けば、彼は照れながらも満足そうに笑う。

「ん……よかった」

 目元を赤らめて俯くその表情にたまらなくなって、またキスをした。

「っ、ふ……あ、もう……がっつくなって……」

「だって……ベルが……ベルが、可愛い……」

 譫語のように呟きながら、夢中で唇を貪り、シーツの上に彼の身体を組み敷く。

「オレ、恥ずかしかったから鏡とか見てないんだけど……本当に似合ってる? 気持ち悪くない?」

「ええ……本当に、とても似合ってます」

 以前、戯れに口にした“ピンクメイド服“もとてもよく似合っている。
 
 想像通り――いや、想像以上だ。

 彼の白い肌に馴染む桃色が、常は美しさを感じることの方が多い彼の容姿に可憐さを加えていて……うん、可愛い。

 可愛くて、愛らしくて――でも、その……結構、かなりエロい。露出が少ないのが逆にクる。


 この衣装、用意したのスピカだよな。
 なんであの女、ここまで俺の性癖を知り尽くしたような真似ができるんだ……。


 白く細やかなレースが裾についた桃色のワンピースは、彼の長い膝下の半分より少し上までを覆っている。
 そしてその下は素足ではなく、エプロンと同じ純白だ。

 俺がまた、その辺りに目を奪われているのに気がついたらしい。

「な……この下。どうなってるのか気になるだろ」

 ベルンハルトは、妖艶に笑うと裾を指先で少しだけめくった。

「確かめてみるか? ――ご主人さま?」


 
 ◆



 ――確かめた。


「ガーター……」
 
 スカートの下の脚を覆う白は、タイツではなく薄手の、太ももまであるストッキングだった。

 それが、リボンの付いたガーターリングで留められている。

 ガーター……。

「ずり落ちるからつけた」

 そうですね。
 ベルの脚は細いから……そういえば子供の頃もソックスガーター使ってましたね。


 …………だめだ。
 日本のオタク知識があるせいなのか、ガーター全般がいかがわしく思える。

 
「ごめんなさい、ベル。正直ちょっとエロいなって思いました」

「大丈夫。オレも思った。……ガーターベルトじゃなくてよかったね」

「あー……やめてください。想像しちゃうので……」


 裾をもう少しめくると、いつも履いているのと同じような男物の下着が見えた。よかった。スピカもさすがにここまでは女装させなかったんだな。

「……グレンさん、いますごい体勢なんですけど気づいてる?」

「気づいてますよ……完全にメイドさんを襲ってる図ですよね」

 嗜めつつも彼も満更ではないようなので、そのまま滑らかな太ももを撫で、その奥に手を伸ばしていく。

「ん……っ、汚しそう、だし……このままは恥ずかしいから、脱ぎたい……」

 彼は言いながら胸元のボタンを外そうとしたが、制止した。
 
「汚れぐらい魔法でどうとでもできます。それに、は着たままするのが醍醐味でしょう?」

「そうだけどさ……あー……」

 想像以上に恥ずかしい、と顔を隠す仕草が、可愛い。
 耳も彼の心情に呼応するように垂れ下がって……。

 ああ、俺、猫耳フェチだったのかもしれない。

「はぁ……ベル……かわいい……好きです……」

 言葉はもう見つからない。
 代わりに、身体は彼を求めて自然に動いた。

 脚を持ち上げて、白い腿の内側に唇を押し当てる。

「や……あ、っ」

 彼は捲れ上がったスカートを抑えるようにして抵抗した。
 それを無視して肌を赤く染めながら、服の中に腕を侵入させて下着をずらす。
 スカートだと脱がせやすくて便利だ。(まあ転送魔法で脱がした方が早いけど情緒がない。)
 
 つま先から薄布を引き抜いてしまえば、彼の下肢を守るのはひらひらした布地だけ。

 …………つまり。
 

「ノーパン猫耳メイド……って……エロ漫画みたいだよなぁ」

「俺も思ったのに我慢したんですよ。なんで本人が言うんですか??!!」

 頭をよぎったものの、下品すぎるか、と自重した言葉をベルンハルト本人が呟くものだから、思わず声を張り上げてしまう。

「いや……もう、羞恥心が一周まわって他人事みたいになってきてて……」

「当事者意識を取り戻してください」

「わかってるよ……ね、前のリベンジしていい?」

 彼はそう言うと身を起こし、俺の下腹に顔を寄せた。

「リベンジ」

「そ。前結局、口で最後までできなかったから」

 ああ……精液の味が無理でやめたあれか。

「今度こそ“超絶テクニック“を披露してくれるんですか?」

「からかうなよ。……こういうのは視覚効果も大事って、書いてあったから……ほら」

 ベルンハルトは上目遣いに俺を見上げて、唇を持ち上げる。

「――今なら視覚効果、抜群だろ?」

 可愛い耳と、フリルのカチューシャで飾られた頭。
 細い腰に後ろで結ばれたエプロンのリボン。ピンクのワンピースに包まれた小さなお尻が突き出されて――。
 
「…………はい」

 普通にされるだけで十分クるのに、こんなの見てるだけでイきそうだ。

「テクが足りない分は愛嬌とシチュエーションで補えって。……BL本の受け売りだけどな」

 彼は得意げに笑って、俺のスラックスの前をくつろげる。前よりも随分とスムーズだ。
 
 イメトレの成果なのかな……やっぱり何回考えても想像の中の俺が羨ましい。練習台も本番も俺にしてくれればよかったのに。

 
「もう……大きくなってる」

 窮屈な布地の中から脱出したモノを、彼のすべやかな手の甲が撫でた。

「ん……」

 赤い舌が裏筋を舐めて、それから、小さな唇に先端が迎え入れられ……熱い口腔の中でじゅぶじゅぶと扱かれる。

「っ……」

 プロの女性とは比べるまでもない拙い口淫だ。けれど、彼の狙い通り、視覚効果が……すごい。

 耳が、尻が揺れて。
 朱色に染まった目元が時折、反応を伺うように見つめてくる。

「…………っ、あ」

 刺激というよりかはその状況に我慢できなくなって、彼の口腔へ精を放ってしまった。

 
「ご、ごめんなさい……っ、口に入りましたよね?! 出して……あ、顔も汚れて……」

「大丈夫だって。今日は前より少ないね」

 白濁で顔と、胸元を汚しながら微笑む猫耳メイドさんは……ほんと、もう……。


「すみません我慢できないので挿れますね」

 一方的に宣言すると、抱き上げ、膝を跨がせた。
 
 対面座位、というやつだ。体格差の都合上、こうした方がやりやすいのでよくする。顔も見えるし、この体勢でするのが一番好きだ。

「っ……お前、最近なんか強引……」

「でも、こういうのも嫌じゃないでしょう?」

「……ばーか」

 彼は肯定しなかったが、俺の肩から手を離そうとはしないのが答えだろう。

「ね……ベル。そのまま……ワンピースとエプロン、めくってみせてください」

「変態。オレ、いまこの下、何も履いてないんだけど」

「だからですよ。ダメ?」

 耳を撫で付けて、強請る。


 彼は眉をしかめつつも、おずおずとワンピースの裾を両手で握って、少しずつめくりあげていく。

 ゆっくり、ゆっくりと。
 細い脚が見えて、ガーター。そして、その先の素肌。
 
 愛らしい姿の中央で、男の象徴が熱を持って首をもたげている。そのアンバランスさが、とてつもなく淫猥で、魅力的だった。
 
「グレン……挿れるなら、早く……っ」

 ベルンハルトは上に持ち上げたスカートで紅潮した顔を隠して、促してくる。

「はい……ベル……」

 スカートの裾から指を潜り込ませて、後孔を指でなぞる。そこはもう、生暖かく潤んで、指が吸い込まれていきそうだった。

「準備、してくれてたんですか」

「……だって、こんな格好して……健全に終わるはず、ないだろ。手間を省いてやったんだから感謝しろよ」

 逸らされた視線を取り戻すように顎を掴んで、唇を塞ぐ。

「ん……ふ、あ……」

 
 彼と繋がるための準備を手間だなんて思ったことは一度もない。
 それでも……彼も、期待してくれていたのだと。その証明のように思われて、身体がより一層熱くなる。


 ああ――この熱を早く、放ってしまいたい。

「……ベル、腰……おろしてください」

 濡れた穴へと熱を押し当て、肩を抱き、囁いた。

「ん、う……」

 彼が腰を沈め、それが秘口を押し開き、内側へと侵入していく様を肩越しに眺める。

 全てが奥まで飲み込まれたのを見届けて、身体を少しだけ離す。

「は、あ……う、グレン……」

 濡れた瞳に促されて、軽い口付けを送った。
 そして、下から突き上げる。
 
「ベル……ッ」

「あっ、ん……う、グレン……あっ」

 激しい抽送にベルンハルトの身体は震えて、声は欲求に乱れた。

「やっ、あッ……ン、う……そこ、あっ」

 絡みつくような内壁の狭さに息を詰めながらも、どうにか絶頂を堪える。まだ……イきたくない。このまま、ずっと。

「ベル……ベルンハルト……」

 そう思うのに、堪え性のない肉体は彼の奥へと白濁を吐き出してしまう。

「あ……あ、グレン……イ、った……?」

「……貴方が可愛いから、我慢できなかったんです」

 萎えたものを引き抜いて、彼の身体をそっと横たえる。

「ベルも……ああ、イったんですね。いつ?」

「……わかんない。いいだろ……いつでも」

 荒くなった息を整えるように、ベルンハルトは目を閉じた。

「寝るんですか?」

「うん……疲れた…………」

 消え入るようなその呟きは寝息に変わる。耳と尻尾もパッと消えた。

 
「あ」

 ――もうちょっと見たかったの?

 頭の中でスピカが問いかけてくる。

「……はい」

 彼の身体と服に洗浄魔法をかけながら答えた。

 ――まあ、またやってもらいなよ。今度はハロウィンとかさ。黒猫ちゃん!!

「ああ……いいですね。でも俺、ハロウィンだったら、ベルにはヴァンパイアが似合うと思うんですよ」

 ――わかる~!! 絶対いいよねぇ……。


 そうして二人で盛り上がっていると(傍目から見たら完全に独り言だ)、声が大きくなりすぎたのかベルンハルトが小さく呻く。
 
「んん……う」

 ――っと……起こしちゃ悪いから話やめようか。あ、そうだ最後に一つだけ。

 ――猫の性感帯は尻尾の付け根らしいよ。


「…………尻尾」

 もう、彼女は答えない。

 消えてしまった尻尾のあった辺りを恨めしく見つめてしまう。

 ……絶対、いつかリベンジしよう。
 尻尾の付け根、触らせてもらおう。


 そう決心して、俺も彼の隣に潜り込んだ。

「可愛い……好きです、ベル」

 いつもの彼も当然可愛いけど、たまにはこういうのもいいな、なんて微笑みながら目を閉じた。
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