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【後日譚】幸せ貞操危機生活 〜ちゃすてぃてぃくらいしす・らいふ!〜
Days1.5『なんだこの官能小説みたいな語彙』
しおりを挟む―― side:グレン ――
「……っ、お前、なんでいつも最初にそこ、触るの」
ベルンハルトの言葉に、俺は内心酷く動揺した。
え、そんなに触ってたか……?
いや別にそんなつもりは、と思い返してみると。
……触ってるな。
なんだったら、初めて彼の身体に意図を持って触れた日――“追放前夜“も、触っていた。
俺……乳首フェチだったのかな……いや、別に他の人のは興味ないけど。ベルのは可愛いし、仕方ない。
無自覚な性癖を思い知らされつつも開き直って答える。
「触りたいからですけど……だめですか?」
膝の上に乗せるとちょうど顔の高さが同じになる。
真っ直ぐに目を見つめれば、ベルンハルトは顔を赤らめた。
「ダメとか、じゃ……ないんだけど……」
小さな唇をためらいがちに動かし、俺に肩に乗せた指をまごつかせる。それから。
「その、たまに痛いから……いや、痛くはない、けど」
放たれた言葉に、ほとんど反射的に問いかけた。
「前よりも敏感になってるってことですか」
ストレートな物言いに、彼はより一層顔を赤くする。
「……っ、そうだよ! お前が、いつも弄るから……なんか、変になってる」
尻すぼみになっていく言葉。
もう……この人は、これで計算じゃないんだから困る。
「変じゃありませんよ。ほら……今日も可愛い」
シャツを捲り上げ、可憐なそこを手のひらで撫でながら、白い頬に口付ける。
「あ、っう……そんなところに、可愛いとか可愛くないとか……ないからッ」
「ありますよ。貴方は、隅から隅まで全部可愛くって、綺麗です」
「う、っく……あ」
人差し指で軽く戯れれば、彼の唇からは甘く声が漏れていく。
「確かに……ここ、可愛いピンクだったのに……少し赤くなってきてますね」
雪に桜の花弁が散ったような美しいその様が、これからどんどん淫靡に変わっていくのが楽しみ――。
……いや、なんだこの官能小説みたいな語彙。これもあの魔王のせいだ。
彼女は、昔の人間だからか趣味が古臭かった。
BLの勉強をする、と言って読み始めた本もなぜか最新から少し離れたものばかり。
そのせいで俺が読まされるのも……なんか、やたらと“受け“の身体を花とか宝石に例えがちな……官能小説的な文体の作品が多かったのだ。
いや、ベルの身体は花だし宝石だし、ベルは天使だから間違ってないんですけどね。
「やっ、ぱ……お前が、触る、せいだ」
一切迫力のない顔で睨みつけられて思わず天を仰ぐ。
はい、無理です。好き、無理。
さっきまでの語彙力どっかいきました。
日本で“オタク“と呼ばれる人たちがよく、「可愛すぎて語彙力なくなる」みたいなことを言っていたのを嘘だと思ってたけど、本当になくなる。
「なら、しばらく触らないでおきましょうか」
自制心をかき集めて指を離す。
「え? あ、うん……」
彼はまだ疑っているのか手で胸元をかばったままだ。
「ベル。誤解してるみたいですけど、俺は別に乳首に執着してませんよ」
弁解するために彼を膝から下ろし、ソファーに横たわらせる。
「ただ……いずれ、どこを触られても反応するように貴方の身体を作り替えたいなって思ってるだけです」
決して乳首にだけ執着しているわけではなく。
「……お手柔らかにお願いします……」
彼の全部に、執着しているだけだ。
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