上 下
93 / 100

リヴィエール大司教

しおりを挟む
 ルーベルカイムの教会の主任司祭執務室

「セレス殿、事件の糸口は見つかりましたか?」

 白髪の混じった老神父が修道服を着た褐色肌の女に問いかける。

「いえ、なかなか……」

「ここ一か月、王都とルーベルカイムで50人近くの若い女が血を奪われ昏睡状態に陥っています……幸いにも死者はでていませんが……」

「……神父殿、ルーベルカイム市内を巡回しましたが、吸血鬼らしき魔力波長は探知できませんでした」

「隠匿能力に長けているか、市外に隠れているということですか?或いは単独犯ではなく匿ってる者がいると」

「おそらくはそうでしょう」

「……ああ、言い忘れていましたセレス殿、何人かの追加人員が数日後に来るようです……ん?おや……」

 木のドアが開き、執務室に年老いた女と金髪の若い女が入ってきた。

「リヴィエール大司教猊下、いらっしゃったのですか?どうしてこの街に?」

 セレスが年老いた女大司教に問いかけた……その年老いた女大司教の背後に、丸眼鏡をかけた金髪の黒い修道服をまとった女が影のように立っている。

「カストル東部へ視察帰りに寄ったのです」

「猊下、明日、マリエスブールへお帰りに?」

 老神父がリヴィエール大司教に尋ねる。

「ええ」

 リヴィエール大司教は老神父の問いに答えると、セレスへ顔を向ける。

「吸血鬼討伐の為の修道騎士の追加人員ですが、予定より少し時間がかかります、帝国から荒くれ者の傭兵や賊が流入していて、治安維持の人員をさけないのです」

「わかりました」

「……ああ、そうだ、セレス、彼女を紹介します」

 大司教の背後に控えていた眼鏡をかけた金髪の女が歩みでる。

「彼女の名はウルスラ、きっと貴女にとって大きな助けとなるでしょう」

「ウルスラです、多少魔術に心得があります、セリス様よろしくお願い致します」

「セレス、民草を守る天の主の剣の刃たる修道騎士の務めを果たしなさい」

「はい、お任せください、大司教猊下」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

処理中です...