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名残

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 ハイディは続ける。

「シェイマの覚醒が悪魔の力の顕現というのは神話の話で生物学的にはシェイマの覚醒は発情期の名残だと言われている……シェイマは霊長類では珍しく、猫やウサギと同じ交尾排卵でなんだが、かつては発情期があった」

「へえ、そうなのか」

「獣性をコントロールし、身体能力強化が出来る個体が繁殖や生存に有利で子孫を残したわけだ、で更に発情期がなくなり時節に関係なく繁殖が出来るようになった、男の数が少ないのはそのほうが繁殖にコストがかからないからだ、男が5人、女が5人で一人の女から産まれる子供が平均3人なら一世代で1.5倍増だが、男が一人、女が9人で子供が平均3人なら一世代でに2.7倍になる、例えばアブラムシはオスもいるがメスのみで単一生殖で繁殖することができる、アブラムシの異常な繁殖力はそれと成長の早さで……少し話がそれたな」

「メスだけの単一生殖が出来るならオス要らなくないか?」

「メスだけの単一生殖だと種の多様性を維持できない、形質のパターンが減ると環境の変化に種が対応しにくくなる、一つの病で壊滅する危険性もある」

「弱点も同じだとマズイってか」

「神話の中で人間が進歩の炎を選んだというのは人間が加速術式の資質を持つ者が多いことから火の種族と呼ばれていたというのもあるだろう……左利きの人間が割合では少ないが、絶対数でいえばそれなりの数がいるように減速術式の資質持ちもある程度いるがね」

「ハイディも減速術式は苦手じゃなかったか?」

「ああそうだな、リンアルドは加速術式の資質持ちが若干多い、減速術式は魚人の方が多いかな……神話はただのおとぎ話ではなく何かしらの意味をもつ……まあ、後世のこじつけもあるが……アルタイルの各種族や各民族、各部族はそれぞれの神話を持っていた……多くは廃れてしまったが……古代リンアルドは文字を持たなかったから資料が残っていないんだ、口述による伝承も途絶えてるものが多くてね、古代のエルフの文献からみるにリンアルド族が大昔からアルタイルにいたことは確かなんだがね」
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