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1人の少女の独り言
『何も、望んではいけないわ。幸せになりたいなら。』
しおりを挟む私は何も望まない。
それは命でも、なんでも。
望んではいけないのだと知ったあの日。
望みすぎた私は、すべてを失ってしまったのだから…。
―ー―魔王の再来によってアイスリート王国で勇者召喚の儀が執り行われたあの日…
私はクラスメイトの安達美桜さんと二人で隣国のフランデル帝国に飛ばされていた。
私達を…いや、主に私をかくまってくれたフランデル帝国の公爵令息カイザー・フォン・ハーケンベルク様は私と彼女の魔力量が多すぎたせいだろうと語った。
美桜さんはこの世界のことをよく知っているらしく(本人から聞いたわけではないけれども)別段彼のお世話になる必要はなかったらしい。
止める彼を振り切って私を連れて外の世界に飛び込んだ。
その先で出会ったのだ。
あの優しい人に。
すべてを包み込んでくれた優しい人に…。
あそこで満足しておけばよかったのに…。
おさまらない後悔の念を胸に、私はそっと寝台から降りた。
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