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3カ国会議 パート2
しおりを挟むシメーレ王女の隣には全裸で四つんばの細身の男性とゴブリンキングのモルカナがいた。
「グリム・リィーパー国王様、シメーレ・ウンゲテューム王女殿下様並びにタナトス国王様、わざわざデンメルンク王国城まで足を運んでいただきありがとうございます」
デンメルンク王国、アルストロメリア国、ユスティーツ国の3カ国会議を取り仕切るのはデンメルンク王国の宰相であるウイズダムである。
「今回集まって頂いたのは4カ国同盟を裏切り、こちらの情報をエールデアース帝国に提供していたアストラガルス国の処分についてです。アストラガルス国はシメーレ王女殿下の活躍により一夜にして殲滅され、デストルドー国王に至ってはシメーレ王女殿下様の下僕になりました。アストラガルス国には豊富な資源がたくさんあり、その全てをユスティーツ国が独占するのはいかがなものかと思います。裏切り者のせいでデンメルンク王国・アルストロメリア国も被害はありますので、3カ国の意見を考慮してからアストラガルス国の配分を行いたいと思います」
今回の3カ国会議は、シメーレがアストラガルス国を滅ぼしたことによりアストラガルス国の資源をシメーレが独占することに対して、ロード国王がデンメルンク王国とアルストロメリア国にも資源を分配しろと激昂したことによって開催されたのである。
「怪物王女、資源の独り占めは良くないぞ!お前が先走ってアストラガルス国を滅ぼしたのは大罪であり、本当なら俺が滅ぼす予定だったのだ。デストルドーの裏切りを発見し、即座にアストラガルス国を滅ぼしたお前の自己中心的な行動は極刑に値するが、アストラガルス国の資源を放棄するなら許してやっても良い・・・いや、もう少し寛大な処置をしてやろう・・・」
ロード国王はしばらく考えるフリをする。
「そうだ!俺は寛大な男だから怪物王女の自己中心的な行為はこの際見逃してやろう。しかしだ、本当は俺が滅ぼすはずだったのだから、アストラガルス国の資源の配分は俺が決めることにしてやる。もちろん、先ほど話した資源の放棄と極刑は許してやる。俺の慈悲深い行動に感謝するのだな」
「さすが、寛大で知られるロード国王様。私もその意見に賛成でございます。怪物王女が余計なことをしたばっかりに私たちの作戦は失敗に終わりました。怪物王女よ、よく聞いておけ!俺もロード国王様もデストルドーの裏切りには気付いていたのだ。お前が余計なことをしなければアストラガルス国だけでなくエールデアース帝国も滅ぼせたかもしれないのだ。この責任は極めて重大だぞ。しかし、ロード国王様も俺もお前の安易な行動を許してやると言っているのだ。感謝しろ!」
グリム国王は大声でシメーレを叱咤した。
アルストロメリア国のグリム・リィーパーは少し白髪まじりの黒髪の中肉中背の50歳の男性である。派手な王族衣装を身につけ、全ての指にはダイヤなどの宝飾品をつけるなど贅の限り尽くしている。ロード国王と同じような性格をしているため、2人はかなり親交が深い。
「そうね。私の安易な行動でお二人にはたくさんのご迷惑をおかけしましたわ。この場を借りてお詫びを申し上げます。そして、アストラガルス国に関しては、お二人の意見を尊重させていただきます。しかし。アストラガルス国はまだ私の支配下ではありませんわ。この犬がまだ国王として成立していますのよ」
シメーレの横に犬のように四つんばになってる黒髪を束ねた細身の男が、アストラガルス国のデストルドー国王である。
「解除」
シメーレはデストルドーの支配の首を解除した。デストルドーの首にあった黒い首輪が消えてなくなり、自由に自分の意思で動けるようになった。
「た・た・助けてくれ」
デストルドーはすぐに頭を下げて命乞いをする。
「お前の命などは興味はない。まずは俺に王位を譲ると宣言しろ」
ロード国王がデストルドーに近寄る。
「神の誓約によって誓います。私デストルドーは国王の座から退き新たな王をロード国王様にお譲りします」
「よし、これでアストラガルス国は俺のものだ。ウイズダムこいつを地下牢へ連れて行け、そしてヒディアスにこいつをダルマにしろ伝えろ」
「わかりました」
「待て、ダルマとはどういうことだ!国を渡せば許してくれるのではないか!」
「そこに展示されているだろ。お前も展示物になるのだ。俺たちを裏切った報いを受けろ」
「待て俺は『覇王』の称号を持っているのだぞ!俺への制裁は神への冒涜に値するぞ」
「ガハハハハ、ガハハハハ、お前は俺に敗北を認めたのだぞ!敗北者には神の誓約はない。俺の命令なら誰でもお前をいたぶることはできるのだ。忘れたのか?」
「・・・約束しただろ・・・国を渡す代わりに助けてくれと」
「忘れたわそんな約束」
「・・・」
「心配するな、殺したりはしない。ただ四肢を切り取り全ての歯を抜き取るだけだ。あとはヒディアスが優しく接してくれるはずだ。だから何も問題はない」
「いやだ・いやだ・助けてくれ」
ウィズダムは泣き喚くデストルドーを抱えげて会議室を後にした。
「うるさい奴もいなくなったし、アストラガルス国の配分をしようではないか。ルクバー例のやつを2人に配れ」
「かしこまりました」
ルクバーは2人に地図を渡した。
「この地図はロード国王様が決めたアストラガルス国の配分です」
これまでの経緯はロード国王の想定通りである。なので地図もあらかじめ用意されていた。そして地図に各国の配分が記されていた。アストラガルス国の7割がデンメルンク王国で2割がアルストロメリア国、残りの1割がユスティーツ国であった。
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