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果実ジュース
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私はフンデルトミリオーネン帝国の帝都イリスに到着した。イリスの町壁は空に届きそうなくらいに高く、巨人でさえ侵入できないほどの高さであった。しかし、私の跳躍力なら簡単に飛び越える事が出来そうだったが、きちんと正門を通ることにした。
「冒険者の方ですね。冒険者証を確認させてもらってよろしいでしょうか?」
私は冒険者証の提示を求められ冒険者証を門兵に見せた。
「これは!!!」
門兵の顔が一瞬凍り付いた・・・がしかし、すぐに門兵の顔は喜びの顔に変化した。
「あなた様が0の少女ですか」
私の冒険者証の備考欄には取扱注意事項が記載されている。なので、その内容を読めば私が0の少女だとすぐにわかるのである。
「そう呼ばれることもあります」
「本当に0の少女が存在するのですね。私は子供たちに勇気を与えるための作り話だと思っていました。ここまでお一人で来られたのでしょうか?」
「はい。一人できました」
「なんと!ヴァイセスハール王国から一人で来られるなんて、とても大変な旅だったでしょう。すぐに馬車を用意させて宿屋に案内致します」
「本当に!それはありがたいわ」
「ガリス、ちょっと待て!皇帝陛下に連絡するのが先ではないのか」
「わかっている。皇帝陛下の支持があるまで宿屋で待機をしてもらうつもりなのだ」
「そういうことか」
「モリス、すぐに皇帝陛下に0の少女がお越しになったと連絡して来い」
「わかったぜ」
モリスは馬に乗り急いで皇帝陛下の元へ向かった。
「あの~私皇帝陛下にお会いしないといけないのでしょうか?」
「はい。皇帝陛下より、もしも0の少女が帝都に来ることがあれば連絡するように命令されています。もちろん、悪い話ではありません。皇帝陛下は0の少女の噂を聞いて一度会ってみたいと望んでいたのです。ご迷惑かもしれませんが、お会いしていただけないでしょうか」
私は少し悩んでいた。最近0の少女ともてはやされているが、実際に魔力量は0だが、それを上回る怪力と頑丈な体があるので、みんなが思っているような悲劇のヒロインでないからである。異世界を目立つことなく細々と暮らすことを願っていた私だが、いつの間にか異世界に希望を与えるヒロイン扱いに少し負い目を感じていたのである。それに、私なんかよりも世界を救っている『黒天使』をヒーローとして祭り上げる方が、絶対にこの異世界にとって有益なことであるとも感じていた。
「長旅で疲れているので、少しゆっくりさせてもらえるとうれしいです。明日には体力も回復すると思いますので、皇帝陛下にはそのようにお伝えください」
私は美味しい果実ジュースだけを飲んですぐに帰る事にした。
「わかりました。そのように伝えておきます。あと、体が疲れているのならば疲労回復と美容効果もあるイリス名物の果実ジュースをお飲みになってはいかがでしょうか」
「果実ジュース!!!」
「はい。イリスではヴァイセスハール王国のアーモンド様が開発された美容魔法を学び、それを果実ジュースに応用した特性の果実ジュースがたくさんあります。特に皇帝陛下御用達の果実ジュースは甘くておいしいのにカロリーはゼロなので太ることはなく、逆にダイエット効果もある優れものです」
「それを飲んでみたいです」
甘くておいしいのに太らないなんて私が今一番飲みたいジュースであった。
「ぜひとも飲んで欲しいのですか、その果実ジュースはお城の敷地内にあり王族関係者もしくは城で働いている者しか入手できません。明日、皇帝陛下にお会いする時に飲んでみてはいかかでしょうか」
「いますぐにお城へ行きます」
「え!長旅で疲れていたのではないのでしょうか?」
「そ・・・そうよ。だからこそ美味しい果実ジュースを飲んで疲労回復に努めたいのです」
「そういうことでしたか!では、もうじき皇帝陛下の使いの者が来るはずなので、宿屋でお待ちください」
「まってなんかいられないわ。あの聳え立つ真っ白できれいなお城に皇帝陛下がいるのですね」
「はい」
「いますぐに乗り込みます」
私は門兵を振り切りお城へとむかった。
私は人気のない裏路地に入ると、ひょいっとジャンプして民家の天井に上り、人目につかないように天井をジャンプしてお城へと向かった。
「ここがお城よね」
私の目の前には、大きな湖があり湖の中心には白く輝くお城がある。お城に渡る道はなく、船も一隻も見当たらない。私ならジャンプして渡ることも可能だが、ほかの人たちはどのように通行するのだろうかと考えていた。私はお城の門が見える場所に移動すると、赤のフルプレートアーマーに身を包んだ衛兵の姿が見えた。私は衛兵に近づいて、果実ジュースを飲みたいことを伝えた。
「お嬢さん、お城に入るには入場許可証が必要になります。許可のない者はお城に入ることはできません」
「私、どうしてもいくら飲んでもふとらない果実ジュースが飲みたいのです!」
「ご婦人たちに人気のあるあの果実ジュースのことですね。飲みたい気持ちはわかりますが、あの果実ジュースは皇帝陛下みずから考案した貴重な果実ジュースです。貴族でも皇帝陛下に気に入らなければ飲むことは出来ないのです。あなたのような一般庶民が飲めるしろものではないのです。ご理解いただけたのなら帰ってください」
「一口だけでも飲ませてください」
「ダメです!警備の邪魔になるので立ち去ってください!」
衛兵は私を付き飛ばそうとした!
「お前たち何をしているのだ!その方は0の少女だぞ」
衛兵の前に姿をみせたのは門兵のモリスであった。
「冒険者の方ですね。冒険者証を確認させてもらってよろしいでしょうか?」
私は冒険者証の提示を求められ冒険者証を門兵に見せた。
「これは!!!」
門兵の顔が一瞬凍り付いた・・・がしかし、すぐに門兵の顔は喜びの顔に変化した。
「あなた様が0の少女ですか」
私の冒険者証の備考欄には取扱注意事項が記載されている。なので、その内容を読めば私が0の少女だとすぐにわかるのである。
「そう呼ばれることもあります」
「本当に0の少女が存在するのですね。私は子供たちに勇気を与えるための作り話だと思っていました。ここまでお一人で来られたのでしょうか?」
「はい。一人できました」
「なんと!ヴァイセスハール王国から一人で来られるなんて、とても大変な旅だったでしょう。すぐに馬車を用意させて宿屋に案内致します」
「本当に!それはありがたいわ」
「ガリス、ちょっと待て!皇帝陛下に連絡するのが先ではないのか」
「わかっている。皇帝陛下の支持があるまで宿屋で待機をしてもらうつもりなのだ」
「そういうことか」
「モリス、すぐに皇帝陛下に0の少女がお越しになったと連絡して来い」
「わかったぜ」
モリスは馬に乗り急いで皇帝陛下の元へ向かった。
「あの~私皇帝陛下にお会いしないといけないのでしょうか?」
「はい。皇帝陛下より、もしも0の少女が帝都に来ることがあれば連絡するように命令されています。もちろん、悪い話ではありません。皇帝陛下は0の少女の噂を聞いて一度会ってみたいと望んでいたのです。ご迷惑かもしれませんが、お会いしていただけないでしょうか」
私は少し悩んでいた。最近0の少女ともてはやされているが、実際に魔力量は0だが、それを上回る怪力と頑丈な体があるので、みんなが思っているような悲劇のヒロインでないからである。異世界を目立つことなく細々と暮らすことを願っていた私だが、いつの間にか異世界に希望を与えるヒロイン扱いに少し負い目を感じていたのである。それに、私なんかよりも世界を救っている『黒天使』をヒーローとして祭り上げる方が、絶対にこの異世界にとって有益なことであるとも感じていた。
「長旅で疲れているので、少しゆっくりさせてもらえるとうれしいです。明日には体力も回復すると思いますので、皇帝陛下にはそのようにお伝えください」
私は美味しい果実ジュースだけを飲んですぐに帰る事にした。
「わかりました。そのように伝えておきます。あと、体が疲れているのならば疲労回復と美容効果もあるイリス名物の果実ジュースをお飲みになってはいかがでしょうか」
「果実ジュース!!!」
「はい。イリスではヴァイセスハール王国のアーモンド様が開発された美容魔法を学び、それを果実ジュースに応用した特性の果実ジュースがたくさんあります。特に皇帝陛下御用達の果実ジュースは甘くておいしいのにカロリーはゼロなので太ることはなく、逆にダイエット効果もある優れものです」
「それを飲んでみたいです」
甘くておいしいのに太らないなんて私が今一番飲みたいジュースであった。
「ぜひとも飲んで欲しいのですか、その果実ジュースはお城の敷地内にあり王族関係者もしくは城で働いている者しか入手できません。明日、皇帝陛下にお会いする時に飲んでみてはいかかでしょうか」
「いますぐにお城へ行きます」
「え!長旅で疲れていたのではないのでしょうか?」
「そ・・・そうよ。だからこそ美味しい果実ジュースを飲んで疲労回復に努めたいのです」
「そういうことでしたか!では、もうじき皇帝陛下の使いの者が来るはずなので、宿屋でお待ちください」
「まってなんかいられないわ。あの聳え立つ真っ白できれいなお城に皇帝陛下がいるのですね」
「はい」
「いますぐに乗り込みます」
私は門兵を振り切りお城へとむかった。
私は人気のない裏路地に入ると、ひょいっとジャンプして民家の天井に上り、人目につかないように天井をジャンプしてお城へと向かった。
「ここがお城よね」
私の目の前には、大きな湖があり湖の中心には白く輝くお城がある。お城に渡る道はなく、船も一隻も見当たらない。私ならジャンプして渡ることも可能だが、ほかの人たちはどのように通行するのだろうかと考えていた。私はお城の門が見える場所に移動すると、赤のフルプレートアーマーに身を包んだ衛兵の姿が見えた。私は衛兵に近づいて、果実ジュースを飲みたいことを伝えた。
「お嬢さん、お城に入るには入場許可証が必要になります。許可のない者はお城に入ることはできません」
「私、どうしてもいくら飲んでもふとらない果実ジュースが飲みたいのです!」
「ご婦人たちに人気のあるあの果実ジュースのことですね。飲みたい気持ちはわかりますが、あの果実ジュースは皇帝陛下みずから考案した貴重な果実ジュースです。貴族でも皇帝陛下に気に入らなければ飲むことは出来ないのです。あなたのような一般庶民が飲めるしろものではないのです。ご理解いただけたのなら帰ってください」
「一口だけでも飲ませてください」
「ダメです!警備の邪魔になるので立ち去ってください!」
衛兵は私を付き飛ばそうとした!
「お前たち何をしているのだ!その方は0の少女だぞ」
衛兵の前に姿をみせたのは門兵のモリスであった。
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