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プリンツおおいにはしゃぐ

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 「どこから現れて来たんだ?このワンちゃんは!めっちゃ可愛いぞ」


 ヴォルデは実は子犬が大好きであった。


 「よしよし、よしよし」


 ヴォルデはプリンツの頭を撫で回す。


 「やめろ!くすぐったいじゃないか」


 プリンツは頭を振ってヴォルデの手を振り払おうとする。


 「このワンちゃん、言葉を喋るのか!気に入ったぞ」


 ヴォルフはプリンツを抱き上げて嬉しそうに抱きしめた。


 「ヴォルフ、何を子犬と戯れているのだ。その小娘を連れ行かないのか?」

 「そうだった。俺のお楽しみはこれからだぜ。ナイトバード様もあの商業ギルドの女を抱いてみたらどうですか?なかなかの上玉ですよ」

 「そうだな。壊れない程度に俺が抱いてやるか」


 ナイトバードはカリーナの方へ歩いていく。


 「あの小娘の相手もしてやりたいが、もう少しだけこのワンちゃんと遊びたいな。ほれ!この皿を空中でキャッチしてみな」


 ヴォルデは皿をフリスビーのように投げ飛ばす。プリンツは条件反射でさっと走り出し、すぐに皿を咥える。


 「は!僕は何をしているんだ。僕はハツキお姉ちゃんを守らないといけないのに」

 「すごいぞ!ワンちゃん。これならどうだ!」


 ヴォルデは5枚の皿をプリンツの方へ投げ飛ばす。プリンツは条件反射で全ての皿を口でキャッチした。


 「神業だ」


 プリンツの華麗なキャッチにヴォルデは感動をしていた。


 「あの女は俺が相手をする。その筋肉女はお前たちの好きにしていいが、壊すなよ」

 「もちろんです!地下の監禁室で俺たちは楽しませてもらいます。ナイトバード様はここでお楽しみください」

 「そうだな」

 
 10名ほどの男たちが『肉の壁』の3人を担いで地下の監禁室に連れて行く。ナイトバードはカリーナの衣服を剥ぎ取ろうカリーナの衣服に手をかける。そして、ヴォルデは私に近寄ってきた。


 「ワンちゃんとの遊びはこの辺にしておこう。俺もこの小娘を抱いて楽しませてもらうぞ」

 「やめろ!ハツキお姉ちゃんに手を出すな」


 プリンツは咥えていた皿を床に丁寧に重ねてから、無敵の毛を逆立たせて威嚇する。


 『バタン・バタン バタン・バタン』


 ナイトバードとヴォルデが膝を落として倒れ込む。そして、地下室で人が倒れる音がした。


 「何が起こったのだ・・・」


 食事処は黒い霧で覆われていた。これはプリンツが発した恐怖のオーラの影響である。この黒いオーラに取り込まれた者は、強烈な畏怖の念に心が支配されて、魔力量の少ないものは恐怖のあまりにショック死してしまうのである。

 お食事処にいたナイトバードとヴォルデ以外は畏怖の念に心が支配されてショック死してしまった。ナイトバードとヴォルデは恐怖のあまりに倒れ込んこみ床を這いつくばりながら、食事処から逃げようとしている。


 「ヴォルデ、他に冒険者がいるのか?これはそいつらの仕業なのか」

 「わかりません。しかし、この急に発生した黒い霧はかなり危険です。すぐにここから逃げましょう」

 「お前たちも逃さない。ハツキお姉ちゃんとその友達に危害を加えようとした罰を受けるのだ」


 プリンツは本来の姿である1mほどに体を元に戻した。そして、さらに強化した畏怖の念を発してマグノリアの村ごと黒い霧で覆い尽くす。本来の姿に戻ったプリンツの畏怖の念に耐えれる者はこの村にはいなかった。ブリガントの村に潜んでいた100人ほどの盗賊たちは全てショック死してしまった。その中にはアーベンから依頼を受けていた『風前の灯火』のメンバーも同様に死んでいた。


 「このまま死体を放置すると僕の存在に気づかれてしまう・・・そうだ!お片付けをしよう」


 プリンツは村にいた全ての盗賊の死体を拾い集め、大きな穴を掘って死体をその穴に埋めることにした。


 「これで、大丈夫かな」


 プリンツは死体の処理を終えると私のワンピースのポケットに戻って、私と一緒にスヤスヤと眠りだした。




 「ここはどこだ!なんで俺たちは牢屋にいるのだ」


 最初に目を覚ましたのはニーゼンであった。ニーゼンは目を覚ますとムスケルと一緒に牢屋の中にいた。


 「ムスケル、起きろ!」

 「もう少し寝かせろよ」

 「ムスケル!ムスケル!俺たちは食事処で楽しく食事をしていたはずだ。それなのに俺たちは牢屋の中にいるのだ」

 「・・・なんだと!」


 ムスケルは飛び起きた。


 「本当だぜ・・・俺たちはなんで牢屋の中にいるんだ?」

 「そういうことか・・・」

 「ニーゼン何かわかったのか?」

 「隣の牢屋を見てみろ」

 「シェーンまで牢屋に捕らえられているではないか」

 「俺たちは見知らぬ村に来て、見知らぬ村人に、何故だか豪華な食事を奢ってもらっていた」

 「それは、村人が滅多に来ない冒険者の冒険話を聞きたくて、その謝礼として食事を奢ってくれたのだろ?」

 「そうだ。俺たちは機嫌よく自分たちの冒険自慢を村人に話しまくっていた」

 「そうだ。そこまでは俺も覚えている」

 「なぜ、途中から記憶が失っているかわかるか?」

 「もしかして、睡眠薬でも盛られていたのか?」

 「ばかやろー!そんなことあるわけないだろう。俺たちは途中から村人たちのお酒に手を出してしまったのだ。そして、お酒を飲んだ俺たちはいつものアレをやって牢屋に隔離されたのが真実だろう」

 「そうだったのか・・・」

 「シェーンまで牢屋にいることがそれを物語っている。俺たちは酔うと必ずマッスルポージングをしてしまう。シェーンにいたっては、周りの人たちにもマッスルポージングを強要したがる。村人たちはあいつのマッスルポージングにつき合わされるのが嫌で、俺たちを牢屋に監禁したのだろう。いつものことだ・・・」

 「そうだな、朝までマッスルポージングを付き合わされるのは地獄だからなぁ。あいつもあれさえなければ嫁の貰い手も数多にあるだろうに・・・」


 ニーゼンは大きな勘違いをしているのであった。
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