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謎の少女
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ケモ耳族とは古い伝承で言い伝えられる最強の種族。ケモ耳族は体長3m超す巨人とも言われ、ケモ耳族1人は、万の兵に匹敵する力を持つと言われている。ケモ耳族が歩いた後には何も残らないデスロードが形成され、魔獣の大群ですら赤子の手をひねるように簡単に殲滅させる恐ろし種族。しかし、これはあくまで噂であり、実在しているのかは不明である。100年前に目撃情報はあるが、その証拠は何も残っていないで伝説上の生物だと言われている。
「あれ!ここはどこかしら?さっきまで家でビスケットを作っていたはずなのに」
私は突如、見知らぬ場所に立っていた。
「なぜ、私は森の中にいるの?いったい私の身に何がおこったの?」
辺りを見渡すと、そこは鬱蒼とした木々が生い茂る森の中であり、まったく身に覚えのない場所であった。
「どうしよう・・・私はこれからどうすればいいの」
自分の身に何が起こったのか全く理解できず、不安で心臓が激しく動きだし、心臓音が耳元に響き渡る。
「甘い匂いがする不思議な人間だな。我の食料にしてやろう」
木々の隙間から一体の狼ような生き物が姿をみせた。
「狼が人間の言葉を喋っている!!!」
私は狼のような生き物が出現したことにも驚いていたが、それ以上に人間の言葉を喋っていることにビックリして、しりもちをついてしまう。
「狼?そんな下等生物と一緒にするな!我は漆黒の王ブラックウルフ!我を侮辱した罰として、地獄の苦しみを味わいながら、恐怖に怯えて死ぬがいい」
全身を黒の毛で覆われた体長2mほどのブラックウルフは、不気味な真っ赤な目で私を睨みつけながらゆっくりと近づいて来る。そして、口元を大きく開き、よだれを垂らしながら、鋭い20㎝ほどの牙を光らせて、私の首元にかぶりついてきた。
「キャー――――」
血しぶきが舞い、甲高い私の声が森の中をこだまして、一瞬でどす黒い血の池が出来上がった。そして、血の池の中心に私が横たわって・・・い・・・ない!
「こんなところで人間さんが何をしているの?」
私がブラックウルフに噛みつかれる寸前の所で1人の少女が現れた。少女は長い銀髪をなびかせ、頭には猫のような耳が生えていた。そして、大きく綺麗な紫色の瞳は、宝石のように美しく輝いている。少女は、ブラックウルフをチョップで簡単に真っ二つに切り裂き私を救ってくれた。ブラックウルフを退治した少女は、ニコリと笑って私に話しかけてきたのである。
「助けてくださってありがとうございます。なぜ?このような場所に居るのか私自身にもわからないのです」
「あなたがここに居る理由なんてどうでもいいの。そんなことよりも、あなたの体からとっても甘い匂いがするの。何か隠しているでしょ!」
少女の笑顔は一変して、鬼のような形相に変わり私を睨みつける。
「え!あなたがここに居る理由を聞いたのに・・・」
私は思わず理不尽な少女の返答に、思っていた言葉を素直にぶつける。
「そうだったかしら???」
少女の表情は、もとの可愛らしい顔に戻るが、全くそのような言葉を言った記憶がないかのように不思議そうな顔をした。
「甘い匂いが気になるの!絶対に甘いモノがこの辺りにあるはずなの!」
再び少女の顔は一変し顔をくしゃくしゃにして、ダダをこねる子供のようにジタバタする。
甘い匂い?少女が何を言っているのかすぐには理解できなかった。しかし、私は、偶然ポケットに手が触れて、ある事を思い出した。
「もしかして、これのことかしら」
私のポケットの中には、この世界に来る前に作っていたビスケットが入っていた。私はポケットからビスケットを取り出して少女に見せた。
「それよ。それなのよ!この重厚で香ばしい甘い匂い・・・今まで嗅いだことのないアメージングな匂いだわ。私はこの匂いに誘われてこの場所に辿り着いたの。あと少し遅ければ、この素晴らしい食べ物をブラックウルフに奪われていたと思うと怒りが収まらないわ!」
少女は怪盗百面相のように、喜んだり、怒ったりとせわしなく表情を変える。
「助けてあげたのだからそれを全部よこすの!」
少女は、ブラックウルフに襲われている私を助けるために来たのではなく、ビスケットの匂いに誘われてこの場所に来た。そして、ブラックウルフにビスケットを奪われるのを防ぐために、ブラックウルフを退治したのであった。
ポケットに入っているビスケットは、どのような世界に来たのかわからない私にとっては、簡単に渡すことはできない貴重な食料である。しかし、恐ろしいブラックウルフを簡単に倒した少女に逆らうのは危険である。
「どうしても欲しいの!甘い食べ物がどうしても欲しいの」
少女は涙目で私にすり寄ってきた。
「わかりました。このビスケットは差し上げます」
私はビスケットを必死に欲しがる少女の姿を見てかわいそうになりビスケットをあげる事にした。それに、理由はどうあれ、ブラックウルフから私を救ってくれたのは事実である。きちんとお礼はしないといけないと思った。
「わーい!わーい!甘い食べ物よぉ~」
少女は嬉しそうにビスケットを食べるのであった。
※ 人物紹介
主人公 突如異世界に転移した22歳の女性。髪はピンク色のショートボブ、瞳の色はオレンジ、笑顔が素敵な小柄な女の子。
謎の少女 年齢不詳のケモ耳族。銀髪のロングヘアー、頭には猫のような耳が生えている。瞳は髪と同じ銀色、端正な顔立ちでスタイルのよい女性。
「あれ!ここはどこかしら?さっきまで家でビスケットを作っていたはずなのに」
私は突如、見知らぬ場所に立っていた。
「なぜ、私は森の中にいるの?いったい私の身に何がおこったの?」
辺りを見渡すと、そこは鬱蒼とした木々が生い茂る森の中であり、まったく身に覚えのない場所であった。
「どうしよう・・・私はこれからどうすればいいの」
自分の身に何が起こったのか全く理解できず、不安で心臓が激しく動きだし、心臓音が耳元に響き渡る。
「甘い匂いがする不思議な人間だな。我の食料にしてやろう」
木々の隙間から一体の狼ような生き物が姿をみせた。
「狼が人間の言葉を喋っている!!!」
私は狼のような生き物が出現したことにも驚いていたが、それ以上に人間の言葉を喋っていることにビックリして、しりもちをついてしまう。
「狼?そんな下等生物と一緒にするな!我は漆黒の王ブラックウルフ!我を侮辱した罰として、地獄の苦しみを味わいながら、恐怖に怯えて死ぬがいい」
全身を黒の毛で覆われた体長2mほどのブラックウルフは、不気味な真っ赤な目で私を睨みつけながらゆっくりと近づいて来る。そして、口元を大きく開き、よだれを垂らしながら、鋭い20㎝ほどの牙を光らせて、私の首元にかぶりついてきた。
「キャー――――」
血しぶきが舞い、甲高い私の声が森の中をこだまして、一瞬でどす黒い血の池が出来上がった。そして、血の池の中心に私が横たわって・・・い・・・ない!
「こんなところで人間さんが何をしているの?」
私がブラックウルフに噛みつかれる寸前の所で1人の少女が現れた。少女は長い銀髪をなびかせ、頭には猫のような耳が生えていた。そして、大きく綺麗な紫色の瞳は、宝石のように美しく輝いている。少女は、ブラックウルフをチョップで簡単に真っ二つに切り裂き私を救ってくれた。ブラックウルフを退治した少女は、ニコリと笑って私に話しかけてきたのである。
「助けてくださってありがとうございます。なぜ?このような場所に居るのか私自身にもわからないのです」
「あなたがここに居る理由なんてどうでもいいの。そんなことよりも、あなたの体からとっても甘い匂いがするの。何か隠しているでしょ!」
少女の笑顔は一変して、鬼のような形相に変わり私を睨みつける。
「え!あなたがここに居る理由を聞いたのに・・・」
私は思わず理不尽な少女の返答に、思っていた言葉を素直にぶつける。
「そうだったかしら???」
少女の表情は、もとの可愛らしい顔に戻るが、全くそのような言葉を言った記憶がないかのように不思議そうな顔をした。
「甘い匂いが気になるの!絶対に甘いモノがこの辺りにあるはずなの!」
再び少女の顔は一変し顔をくしゃくしゃにして、ダダをこねる子供のようにジタバタする。
甘い匂い?少女が何を言っているのかすぐには理解できなかった。しかし、私は、偶然ポケットに手が触れて、ある事を思い出した。
「もしかして、これのことかしら」
私のポケットの中には、この世界に来る前に作っていたビスケットが入っていた。私はポケットからビスケットを取り出して少女に見せた。
「それよ。それなのよ!この重厚で香ばしい甘い匂い・・・今まで嗅いだことのないアメージングな匂いだわ。私はこの匂いに誘われてこの場所に辿り着いたの。あと少し遅ければ、この素晴らしい食べ物をブラックウルフに奪われていたと思うと怒りが収まらないわ!」
少女は怪盗百面相のように、喜んだり、怒ったりとせわしなく表情を変える。
「助けてあげたのだからそれを全部よこすの!」
少女は、ブラックウルフに襲われている私を助けるために来たのではなく、ビスケットの匂いに誘われてこの場所に来た。そして、ブラックウルフにビスケットを奪われるのを防ぐために、ブラックウルフを退治したのであった。
ポケットに入っているビスケットは、どのような世界に来たのかわからない私にとっては、簡単に渡すことはできない貴重な食料である。しかし、恐ろしいブラックウルフを簡単に倒した少女に逆らうのは危険である。
「どうしても欲しいの!甘い食べ物がどうしても欲しいの」
少女は涙目で私にすり寄ってきた。
「わかりました。このビスケットは差し上げます」
私はビスケットを必死に欲しがる少女の姿を見てかわいそうになりビスケットをあげる事にした。それに、理由はどうあれ、ブラックウルフから私を救ってくれたのは事実である。きちんとお礼はしないといけないと思った。
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