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スカンディナビア帝国編 パート29

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 「ティターンさん、何があったのですか?」


 長い赤い髪の美しい女性がティターンに声を掛けた。私はその女性を見てすぐにこの方がカレン様だと気づいた。上品な顔立ちと気品ある佇まいからはトールさんとは真逆であるが、燃えるような赤い髪と紫色の美しい瞳はトールさんに似ている。


 「これはカレン様。外は危険だから屋敷に隠れているようにお伝えしたはずです」

 「私だけ隠れるわけには行きません。足手まといになるかもしれませんが、一緒に戦いたくてここに訪れたのですが・・・ジャイアントを退治したのですか?」



 カレン様は、門の近くで呆然と座り込んでいるジャイアントを目にして、何が起こったのか気になるのである。


 「私が退治したのではありません。目の前にいる可愛いお嬢さんのルシスさんと小さな精霊さんがジャイアントを倒したそうです。しかも、ジャイアントだけでなくヘカトンケイルも彼女に恐れをなして、味方になったそうです」

 「それは本当なの?!」

 「間違いないと思います。ジャイアントの様子を見れば彼女は尋常ではないほど強さなのは確実です」

 「そうなのね。あなたがそういうのなら間違い無いでしょう」
 「ルシスさん。この町を救ってくださりありがとうございます。何かお礼をしてあげたいのですか・・・この町は貧乏な町なので、これといったことは出来そうにありません」

 「カレン様、私はロキお姉ちゃんとトールお姉ちゃんに頼まれてここに来たのです。カレン様がご無事で何よりです」

 「あなたは、ロキとトールのことをご存知なのですか?」

 「私は『ラストパサー』のメンバーです。お二人には良くしてもらっています」

 「2人は立派な冒険者になっているのね。とても嬉しいわ」

 「ロキお姉ちゃん達は、スカンディナビア帝国を正常の国に戻すために戦うことを決意しました。そして、私とエルフの第3王女であるポロンお姉ちゃんと、『オリュンポス国』の王国騎士団の団長であるフレイヤ様もロキお姉ちゃん達に協力をすることと言っていました」

 「それは頼もしいわ。今回のクーデターの件、それに今後のスカンディナビア帝国の行く末はロキ達に任せるわ。私たちができなかったこの国の悪し風習をここで終わりしてくれることを願っているわ」

 「わかりました。ロキお姉ちゃん達に伝えておきます」

 「ファールバウティ、あなたもロキ達に協力するのよ」

 「それはできません。私はここに残ってカレン様をお守りします」

 「これは命令です。あなた方若い世代が今までの間違った行いを正すべきなのです。2度と同じ過ちを起こさないためにも、あなたもロキ達と一緒にこの国の行く末を決めるのです。それに、あなたもロキに会いたいでしょう。私に遠慮することはないのよ」

 「ありがとうございます。カレン様。いますぐにでも王都パステックに向かいます」

 「気をつけるのよ」

 「はい」


 こうして、ファールバウティは、王都パステックに向かうことになった。私もカレン様の安否確認とロキさん達のメッセージも伝えたので役割は終了したので、すぐにでもロキさん達のところへ戻りたいと思ったが、もう日がくれてあたりもだいぶ暗くなってきたので、今日はソイビーンの町で泊まることにした。

 ジャイアントの処遇は一旦保留になり、再び異空間に戻すことになった。



⭐️場面は変わってロキさん達へ


 「このペースだと明日には王都パステックに着きそうね」

 「そうだな。フワリンならもっと早くつけるのにな・・・」

 「それを言うならサラちゃんを使えばもっと早く着くはずよ」

 「それだ!サラを使おうぜ。すっかり忘れていたぜ。ポロン、サラを呼んでくれ!」

 「トール、サラちゃんならメロンパンの食べ過ぎでイディ山に帰ってしまったのよ」


 ポロンさんは残念なサラちゃんのことを説明する。


 「またか!!!あいつは大事な時に使えないぜ」

 「明日なら問題ないと思うわ。ここは魔獣の姿を見えないし、ここで野営をしましょうよ」

 「そうだな。明日のために体力を温存しとかないといけないぜ」

 「そうね。明日は厳しい戦いになると思うわ。今日はゆっくりと休みましょ」

 「ルシスちゃん。快適な簡易の家をお願いするわ・・・ってルシスちゃんがいないじゃん!!」


 ポロンさんは顔面蒼白になった。ポロンさんは私と冒険するようになってからは、野営するときは簡易の家で、フカフカのベット・体温まるお風呂・美味しい食事を取れるのが当たり前になっていたのである。


 「ポロン、初心に戻ってテントを貼って野営をするのよ」

 「そんな・・・」


 ポロンさんは絶望的に目をして、空を拝み天へ救いを求め出した。


 「神様・・・私に快適な野営グッズを与えてください」

 「ポロンさん!神になんて祈りを捧げてもダメです。ポロンさんを助けてくれるのは魔王様のような慈悲深いお方なのです」

 
 ロキさんの肩から小ルシス1号が降りてきてポロンさんに説教をする。


 「ポロンさんきちんと聞いてください。魔王様に祈りを捧げればあなたの願いは叶うのです」

 「わかったわ。魔王様!私に快適な野営グッズを与えてください」

 「どうぞ!」


 私は小ルシス1号に簡易の家を渡していたので、小ルシス1号は簡易の家を収納ボックスから取り出したのである。


 「魔王様ありがとうございます」


 ポロンさんは生き返ったかのように、満面の笑みで魔王様にお礼を言った。


 「ポロン!ビューレイストが戻ってきたみたいだぜ。あいつを倒すのが先みたいだぜ!」





 
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