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カースド共和国編 パート4

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 私たちは、王都ジンジャーに着くとすぐにネテア王の面会をお願いした。しばらくすると、王国騎士団長のフレイヤ様が姿を見せた。


 「ロキさん、今日はどのような御用件でネテア王にお会いにきたのですか?」


 ロキさんは『ホロスコープ星国』の件を説明してくれた。


 「それは、ちょうどよかったわ。ネテア王もあの3名を『ホロスコープ星国』へ送還する予定だったのよ。今日にでも『ホロスコープ星国』に使者を送るつもりだったので余計な手間が省けるわ」

 「ジェミニが反抗的な態度をとっているとお伺いしていますが、大丈夫なのでしょうか?」

 「問題ないわ。『神剣』の能力を取り戻したみたいだけど、私がコテンパに叩きのめしたら大人しくなったわ」

 「さすが、フレイヤ様です。ところで3人は誰が『ホロスコープ星国』に送り届けるのでしょうか?」

 「もちろん『ラスパ』に依頼をする予定だわ。あなた方はサラマンダー様を召喚して、空輸をできるから安心して任せられるわ」

 「わかりました。責任を持って3人を『ホロスコープ星国』へ連れて行きます」

 「3日後にオリュンポス城に来てくれるかしら、それまでに準備を整えておくわ」


 私たちは、フレイヤ様から依頼を受けて『ホロスコープ星国』へジェミニたちを運ぶことになった。




 「ロキ・・・早く迎えに来てくれよ」

 「何か美味しい物はないのかしら」



 トールさんは牢屋に入れられてナーバスになっているが、ポロンさんは相変わらずのマイペースである。



 「牢屋内では一日三食となっています。それ以外は何も出ません」

 「そこをなんとかして欲しいわ。私はおやつを取らないと肌の調子が悪くなるよ」

 「無理です。例外を認めるわけにはいきません」

 「それならブドウジュースだけでもお願いしますわ。ジュースは食事に該当しませんわ」

 「それもできません」


 兵士はキッパリと断る。


 「水分補給もできないのかしら?このまま牢屋で脱水で死んでしまったらどうするのかしら?」


 いちゃもんをつけるポロンさん。


 「問題ありません。ちゃんと栄養管理はしっかりとしています。今まで脱水で死んだ者はいません」

 「私はエルフよ。エルフの体調まで把握できるのかしら?」

 「それは・・・」

 「ネテア王の基本概念である全ての種族が仲良く暮らし行くには、様々な種族の特徴を理解しないと実現は難しいと思いますわ。私がエルフの代表として助言させてもらいますわ。エルフは水分補給を怠ると脱水で死んでしまうのよ」


 ポロンさんは親切心で言っているのではない。ただブドウジュースが飲みたいだけである。しかし兵士は悩んだ挙句ブドウジュースを取りに行ったのである。


 「ポロン、よかったな。これで命の危機を脱したのだな?」


 トールさんもポロンさんの話を信用していた。


 「ありがとう。トール。あなたの分も頼めばよかったわ」

 「俺は大丈夫だ。少しくらい水分を取らなくても死ぬ事はない」


 へんなところで真面目なトールさんである。


 「こんな牢屋簡単に出ることはできるけど、脱走したら立場が悪くなるわよね」

 「そうだな。自分らの立場悪くなるような事はできないぜ。ロキが戻ってくるまで大人しくするしかないぜ」


 トールさんは、腹を決めたみたいで睡眠をとって大人しく過ごしていたが、ポロンさんは、エルフ特権で一日五食必要だとか色々と難癖をつけて、快適な牢屋ライフを過ごしいた。


 次の日。


 「トール、ポロン、ちゃんと反省をしていますか?」


 私とロキさんはトールさんとポロンさんの様子を伺いに来た。


 「ロキ早く出してくれ!」


 少しやつれた顔をしたトールさんがロキさんに助けを求める。一方ポロンさんは血色の良い顔つきでブドウジュースを美味しそうに飲んでいた。


 「もう少しここにいてもかまわないわ」


 ポロンさんは全く反省の色はない。


 「ロキ、腹ぺこだぜ。1日3食なんて辛すぎるぜ」


 トールさんは涙目で訴える。


 「もう、ルシスちゃんのお金を勝手に使わないと誓いますか?」

 「もちろんだぜ。ちゃんと許可を得て使わせてもらうぜ」


 金を使わないとは言わないのである。


 「ロキお姉ちゃん、私の稼いだお金はみんなで使ってもいいので、2人を牢屋から出してください」


 私は、天使様から授かったチートな力に、前世の記憶というチート級の記憶がある。なので、稼いだお金に対してはそんなに執着はしていない。


 「ルシス様、ありがたいお言葉感謝するぜ」


 トールさんに笑顔が戻った。そんな中、マイペースでブドウジュースを嬉しそうに飲んでいるポロンさん。


 「ルシスちゃん、2人を甘やかしたらダメよ。ルシスちゃんの稼いだお金を湯水のようにあの2人は使ってしまうわ」


 散財王の2人の浪費癖をロキさんは気にかけている。


 「いいのです。なくなったらまた稼げばいいのです。私が力が失ったときに優しくしてくれた『ラスパ』のメンバーには私は感謝しているのです」


 これは本当である。私は魔界から追放されて絶望的なところ助けてくれたのが『ラスパ』であった。そして『ラスパ』の3人がいるから楽しい異世界生活を満喫しているのである。


 「いい子に育ったものだぜ」


 トールさんは感動して涙を流している。


 「トールお姉ちゃん、ハンカチです」


 子ルシスは鉄格子の隙間を通ってトールさんにハンカチを渡した。


 「ルシスちゃんがそういうならトール達を牢屋から出してもらうことにします」


 ロキさんの考えでは、あと1日くらいは牢屋に閉じ込めて反省してもらうつもりであったが、私の意見を尊重して2人を解放することにしたのであった。

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