上 下
346 / 453

魔石国家ケルト王国編 パート14

しおりを挟む

 すぐにバクはアネモネの体内から出てきて、フェニに腕に飛び込んだ。


 「バクちゃんお帰りですぅ。呪いを食べてきたの?」

 「バグググゥウー」

 「フェニ、バクはアネモネさんの呪いを食べてきたと言ってるよ」

 「バクちゃん、えらいですぅ」


 フェニはバクを抱きしめて頭をナデナデする。

 
  アネモネさんの呪いは無くなったので、ポーラを部屋に呼び戻した。


 「お母さんの呪いは解除できたのですか?」


 ポーラは心配そうにしている。


 「ポーラさん、もう大丈夫です。すぐにアネモネさんは目覚めるはずです」

 「本当ですか?」


 不安そうな目をでポーラは僕を見ている。


 「ポーラ、お友達を連れてきたの?お母さんの寝室に友達を入れてはダメじゃないの?」


 バクに呪いを食べてもらったアネモネが目を覚まして、自分のベットの周りに見知らぬ客人が居て驚いている。


 「お母さーーん」


 ポーラは母親に抱きついた。


 「ポーラどうしたのよ?」


 アネモネは現状を理解できていない。しかも、母親が目を覚ました喜びで、ポーラは泣きじゃくって、ポーラは現状を説明できる状態ではない。


 「アネモネさん、あなたは呪いによって数日間眠っていたのです。僕はポーラさんが困っていたので、あなたの呪いを解除しにきたのです」

 「それは、本当なの?」

 「お母さん、お母さん」

 「本当です。ポーラさんの様子を見れば納得いただけるでしょう。あなたがずっと眠っていたので、とても辛い思いをしたのです」

 「ポーラ・・・心配かけてごめんね」


 アネモネはそっとポーラを抱きしめた。


 「アネモネさん、あなたは、まだ眠っている状態の演技を続けた方が良いと思います」

 「どうしてですか?」

 「なぜ、あなたは呪いをかけれてと思いますか?」

 「それは、井戸に毒を発生する魔石具あることを報告しよとしたからですか?」

 「そうだと思います」

 「私に呪いをかけたの村長なのですか?」

 「村長か魔石具屋の店主のグリシャである可能性が高いと思います」

 「それなら、早くこの事をみんなに知らせてあげないと!」

 「危険ですよ。あなたは嘘つきだと村長は村人に吹聴しています。あなたの話を信じてくれる人は少ないでしょう」

 「大丈夫です。私は女神教の信者です。女神様が必ず私を守ってくれます」

 「女神様を信じることは間違ってはいませんが、今すぐに助けてくれるとは思いません。現にあなたは呪いにかけられて、眠った状態になっていました。なので、今は女神様よりも僕の意見に従ってくれませんか?」

 「そうですぅ。アネモネさんの呪いを解除できたのは、リプロ様のおかげですぅ」

 「お母さん、リプロさんに従いましょう」

 「わかったわ。私はどうすればいいのかしら」

 「今日はこのまま大人しく家に居てください。そして、ポーラもお母さんが目を覚ましたことを誰にも言ってはいけないよ。僕は井戸を調査するので、調査が終わるまでは騒ぎを起こして欲しくないのです」

 「わかりました。私は家でおとなしくしています」

 「私もです」

 「私は着いていきますぅ」

 「そうだね。フェニは一緒に行こうか!」

 「はーーい」

 「アネモネさん、井戸の場所を教えてもらえませんか?」

 「わかりました。井戸の場所の地図を書きます」


 アネモネは井戸の場所の地図を書いて僕に渡してくれた。


 「ありがとうございます。一旦宿屋で休んでから、夜に井戸の探索をするので、明日の朝にご報告に来ます」

 「お願いします。本当に井戸に毒の魔石具があるのか確認してください」

 「任せてください。アネモネさんが嘘つきでないと僕が立証してみせます」


 僕はポーラの家を出て、村の宿屋に泊まることにした。宿屋で少してゆっくりした。そして、日が落ちて村の灯りも消えかけた深夜あたりに宿屋を抜け出して、アネモネさんが書いてくれた地図を頼りに井戸へ向かった。

 井戸は村の中心にある。井戸といってもバケツで組み上げるような井戸ではない。村の中心部に大きな円状の建物あり、そこから階段を下っていくと貯水場がある。昔は井戸から直接バケツで水を運んでいたが、魔石具の技術の向上により、魔石具を介して各家庭に水が供給されるようになったのである。

 井戸と呼ばれる貯水場の円状の建物に入るには、2人の門番の許可をもらわないと中へ入ることはできない。


 「リプロ様、バクちゃんを使うのですか?」

 「このまま入っていくよ」

 「えっ大丈夫なのですか?」

 「問題ないよ」

 「でも・・・門兵がいるのですぅ」

 「大丈夫だよ」


 僕は門兵がいる井戸の施設に向かっていく。門兵二人は暇そうにボーとしている。僕は門兵の腰につけている鍵を奪うが、門兵はボーとして動かない。僕は鍵で井戸の施設の扉を開いて中へ入る。


 「リプロ様、どうして門兵は何も言ってこないのですか?」

 「『時の守護者』の能力の一つの『タイムキーパー』を使ったのだよ」

 「『タイムキーパー』?」

 「そうだよ。門番の時を少し奪ったのだよ。だから、僕たちが通ったいる時間は彼らには存在しない時間なんだよ」

 「ふーーん、なんだかよくわからないけどリプロ様はすごいですぅ」

 「僕の能力なんてお姉ちゃんやお兄ちゃんに比べたら、大した事ないよ」

 「リプロ様のお姉様とお兄様はすごいんですね」

 「そうだよ。特にお姉ちゃんは僕が憧れの存在なんだぁ」


 僕はお姉ちゃんのことも思い出して嬉そうにニコニコしながら言った。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...