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ホロスコープ星国 ルシス編 パート5
しおりを挟む「もしかして・・・ゲリ、また抱きついたのか?」
トールさんは恐る恐る聞いた。
「うん」
ゲリは無邪気に返事をする。
「トール、倒れている兵士は『ホロスコープ星国』の兵士みたいだわ」
ポロンさんが兵士の鎧を見て判断した。
「この兵士の鎧・・・星座のマークが付いているわ。もしかしたら、『星の使徒』と呼ばれる『ホロスコープ星国』の重要人物かもしれないわ」
『星の使徒』の鎧には、星座のマークが付いている。ライブラには天秤座のマーク、カプリコーンには山羊座のマーク、ジェミニはポルックスと入れ替わった時に鎧はポルックスに渡ったので、普通の兵士の鎧である。
「『ホロスコープ星国』の重要人物をこんな目に合わせて、やばくないか?」
トールさんは真っ青になって言う。
「最悪・・・戦争の引き金になってしまうかもしれないわ」
ロキさんは、最悪のシナリオを想定した。
「どうしましょう!どうしましょう!」
ポロンさんはオロオロしている。
「穴に埋めてしまわないか?」
トールさんは証拠隠滅を図る事にした。
「トール!バカなことを言わないの」
ロキさんが激怒する。
「冗談だ。でも・・・どうしたらいいのだ?」
トールさんが真剣に考える。
「治療してあげましょう。そして回復したら素直に謝罪するのよ」
ロキさんは誠意ある対応をすべきと強調する。
「私が治してあげます」
私は治癒魔法を使って倒れている3人の兵士を治療してあげた。
「お前達は何者だ!」
最初に目を覚ましたジェミニが大声を上げた。
「私たちは『ラストパサー』という冒険者です」
ロキさんが対応する。
「もしかして・・・あのお嬢様のお仲間でしょうか?」
ジェミニは、目を覚ました時の横暴な言葉を反省した。ウルフキングの妹の仲間に、失礼な言葉遣いをすれば、自分の命はないと思っている。
「ゲリちゃんは仲間というよりお友達です。ゲリちゃんが失礼な態度をとって申し訳ありません。ゲリちゃんはまだ幼いので、力の加減がわからないのです」
ロキさんは真摯な対応をする。相手は『ホロスコープ星国』の重要人物である。ロキさんは揉め事を起こしたくない。
「いえ、気にしていません。元気があって良いと思います」
ジェミニは様子を伺っている。私たちとどう接すればいいのか迷ってるのである。
「あなた達は『ホロスコープ星国』からきたのでしょうか?」
「そうです。『ホロスコープ星国』は反乱軍によって支配されました。なので、私たちは『神守聖王国オリュンポス』に亡命しにきたのです」
「亡命?」
「はい。私は『ホロスコープ星国』の国王ジェミニと申します。国を奪われて逃げてきたのです」
「それは、大変だったでしょう。私たちに何かできることがあれば言ってください」
ロキさんの親切な対応にジェミニはホッとした。
「それならば、『神守聖王国オリュンポス』へ連れていってください。私たちは、反乱軍により多大な被害を受けました。そして、捕虜となった仲間達をすぐにでも救出したいのです。もしよろしければ、お力添えしてくれる方を教えて欲しいのです」
「自分からもお願いします。私たちの国を助けてください」
ジェミニたちは適当な事を言って、同情を誘う作戦に出た。
「わかりました。協力いたしましょう」
ロキさんは、素直にジェミニの話を信じたのである。
「できれば、ゲリさんも協力してくれれば助かるます」
ジェミニは欲を出した。ウルフキングの妹を味方にすれば、フェニを倒せると思ったのである。
「ロキ、迂闊にこいつらの話を信じるのは危険だぞ」
トールさんは違和感を感じていた。
「トール、ジェミニ王に失礼ではないか!」
ロキさんは、ジェミニの言葉を信じている。
「ロキ、ジェミニはどう見ても悪人顔だぞ。あんなやつの言うことを間に受けるのは危険だ」
トールさんは、顔で判断した。
「ロキ、トールの言うとおりですわ。どう見てもあの3人の顔は、悪人そのものですわ」
ポロンさんも顔で判断している。
「確かに人相は良くないかもしれないわ・・・でも困っている人を放って置くことはできないわ」
ロキさんは、人が良すぎるのである。
「私たちの話を信じてください。今も私たちの大事な仲間達が、残虐な反乱軍によって殺されています。このままだと罪もない一般市民にも被害が広まるのです。どうか助けてください」
ジェミニは、迫真の演技で涙を流しながら助けを訴える。
「私たちはどうなってもいいのです。私たちの愛する一般市民だけでも救ってください。そのためにも『神守聖王国オリュンポス』の力を貸してください。お願いします」
ライブラも渾身の演技で頭を下げながらお願いした。
「クックック・クックック」
2人の迫真の演技を見たカプリコーンは、あまりにも2人の姿が滑稽で、笑いを抑えるので必死である。
「ガハハハハ・ガハハハハ」
カプリコーンは、初めは小声で笑いを堪えていたが、我慢の限界がきて、大声で笑うのであった。
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