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ホロスコープ星国 パート54

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 私は、目を覚ますと楽園にいた。確か、ライちゃん達と王都の門を目指して、競走をしていて、見事一位でゴールしたはずなのに、ベガちゃんが、門の前で急停止した反動で、私は門にぶつかって、気を失ったはず・・・しかし、目を覚ましてみると、王都の門の前ではなく、たくんさんの食事に囲まれた楽園にいたのであった。


 ★少し時間を遡ります。


 私は、門に激突して気を失った。そして、私を手配書の女の子だと気付いたグェイ、シーシェによって、シリウス城の地下牢へ幽閉されたのである。私は、気を失っているので、幽閉されたことは全く覚えていない。しかし、地下牢の冷たい地べたに這いつくばって、気持ちよく寝ているのであった。

 私は、パースリの町では、汚い地下室で生活をしていた。なので、地下牢でも、気持ちよく眠ることができるのである。しかし、気を失って、気持ちよく寝ている私の眠気を覚ます案件が、現れたのである。それは、空服である。

 私は、王都で美味しいパンを食べることを期待で胸を膨らましていた。なので、美味しいパンを食べるために、食事を少し制限していたのであった。だから、絶望的な空腹が押し寄せてきたのであった。しかも私は、いつもなら寝ている時間に王都を目指していた。それは、夜中に王都に着くためである。夜中なら、ヴァンピーが、王都の門を警護をしているので、容易く王都へ侵入することができるからである。

 この二つの出来事が、私を今苦しめているのである。早く食事を取りたい私と、もっと睡眠と取りたい私が格闘しているのである。2人の私は、格闘のすえ妥協点を導き出したのである。それは、眠りながら食事をするのである。私は、眠りながら、収納ボックスから食べ物を取り出そうとするが、うまく取り出すことができない。空腹を支配する私が、イライラしている時に、地下牢の向こうから、美味しい匂いがするのであった。

 空腹を支配する私は、収納ボックスから食事をするのを諦めて、美味しい匂いのする方へ、行くことにした。しかし、匂いのする方向は、地下牢の壁の向こう側である。

 ここでなぜ、地下牢に美味しい匂いがするのかを説明しておきます。それは、地下牢に閉じ込められている罪人に、食事を少ししか与えずに、美味しい食事の匂いだけ与えて、罪人達に嫌がらせをする為である。なので、ジェミニの指示により、地下牢の通気口に、料理場から美味しい匂いを流しているのであった。

 私は、その通気口から流れてくる美味しい匂いに、誘惑されているのであった。

 私は、美味しい匂いのする方向へ進む。しかし、そこには牢屋の壁が、立ちはだかるのである。なので、私は何度も壁にぶつかるのである。しかし、壁にぶつかる痛みよりも、睡魔の方が勝っているので、目覚めることはない。しかし、私は馬鹿ではない。寝ている私は、自分が攻撃されていると思い、ライトシールドを無意識に張る。私には起きるという選択肢はないのである。あくまで睡眠ファーストの私であった。

 ライトシールドのおかげで、私はいくら壁に激突しても痛みはない。逆に地下牢の壁の方が私の衝突により、壁が崩れだしたのであった。空腹を支配する私は、諦めることはしない。何度も何度も壁にぶち当たりながら、美味しい匂いのする方へ、一直線に向かうのであった。

 どんなに険しく大きな壁があろうとも、一歩一歩諦めずに歩き続ければ、必ずゴールに辿り着けるものである。空腹を支配する私は、その言葉を実現するのであった。

 数時間後、地下牢には、私の体サイズの穴が、食堂の調理場まで続いているのであった。

 調理場には、たくさんの料理が並んでいた。そして、たくさんの料理を目の前にした睡眠を支配する私は、目を覚ます許可を与えてたのであった。
 

 ★時は戻ります


 「美味しそうですぅ」


 目を覚ました私は、迷うことなく、食事に手をつける。私は、たくさんある料理の中から、特に美味しそうで、豪華なお食事を食べることにした。その豪華な食事は、肉汁たっぷりの柔らかいステーキと、よく煮込んだ牛骨とたくさんの野菜が入ったスープ、それに、玉子と分厚い肉を挟んだサンドウイッチなどであった。私は、お腹がいっぱいになるまで、食事を堪能するのであった。

 私が楽園で食事を堪能している頃、ヴァンピーは、私が閉じ込めらていた地下牢に到着するのであった。


 「どうなっているのよ」


 ヴァンピーは、私が作った穴を見て、呆れているのであった。


 「フェニちゃん・・・あなたは私の予想の斜め上をいくのね」


 呆れた表情でヴァンピーは言った。


 「フェニさんは規格外ですね」


 私が閉じ込めれている地下牢の反対側に、スコーピオが閉じ込められていた。


 「スコーピオ大丈夫?」


 ヴァンピーは、スコーピオに気付いた。


 「私は大丈夫ですよ。ついに革命を起こすのですね」


 スコーピオは、期待に胸を弾ませているのである。


 「そうみたいね。でも、肝心の革命のリーダーが、地下牢で暴走しているみたいなので、どうなるか心配だわ」


 ヴァンピー、スコーピオは『レッドブラッド』のメンバーである。


 「フェニさんにも考えがあるのですよ」


 スコーピオは、真剣な表情になる。


 「どういうことなの」


 ヴァンピーは驚きを隠せない。


 「あなたも知っているでしょう・・・ジェミニ王とアリエルは食にこだわりがあることを!」

 「それは知っているは。特に朝食は1日のパワーの源と言って、厳選されたモノしか食べることはしないと聞いているわ。でもそれがどうしたのよ」


 ヴァンピーは、不思議そうな顔をする。


 「そして、兵士たちも朝の食事をとても楽しみにしている。奴隷のように働かさせれている兵士たちだが、シリウス城内では、とても美味しい食事を取ることができるので、シリウス城の兵士の指揮は高いと言われている」

 「それがどうしたのよ」


 イライラするヴァンピーである。


 「もし、朝の朝食が用意されていなかったら、どうなる思いますか?」


 スコーピオはヴァンピーに問いかける。


 「楽しみしている食事をなくなっていたら、兵士の指揮は下がるわ。いや、それどころじゃないわ。兵士たちの日頃の不満が爆発するかもね・・・」


 ヴァンピーは、スコーピオの言いたいことを理解したみたいである。


 「兵士の不満が溜まれば、ヴァルゴの『魅惑』で扱いやすくなります。それに、空腹で平常心を保てないジェミニ王・アリエルを倒すのも容易になるはずです。フェニさんはそのために、地下牢に忍び込んで、怪しまれずに食堂へ向かったのでしょう」


 スコーピオは、見事に私の行動を、良いように解釈してくれたのであった。


 「偶然よ」


 ヴァンピーの私への評価はブレないのであった。
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